我々は、母親の卵子と父親の精子が合体し、一個の単細胞として母親の体内に宿る。

母親の羊水すなわち太古の海の中で、約270日の間に、我々は、過去38億年の進化の過程を再度たどりながら子として誕生する。

これらのすべての過程で、遺伝子(DNA)に刻み込まれた情報が利用される。

DNAは、親から子へ遺伝物質として伝えられ、一個体の誕生から死まで、ありとあらゆる細胞の中で、生きる上で必要な反応を絶え間なく、直接的または間接的に指図しているのである。

DNAのそのような能力は、親から子へ代々正確に伝達されていく。

実際に親から子へ物として伝えられるのは、わずかに一個の生殖細胞の中の一個のDNAであり、 この微少なDNAの働きに、自らの子孫の運命を託しているのである。