私たちはどこから来たのか、私たちは何か、私たちはどこに行くのか

画家ゴーギャンは、人生のうちで誰もが一度は思い浮かべる疑問を一枚の絵のなかに書き残しました。その絵には「私たちはどこから来たのか、私たちは何か、私たちはどこに行くのか」と書かれていました。

様々な動物とともに、右側には赤ん坊が、左側には死にゆく老婆が描かれています。生命の輪廻転生を描いたとも言われていますが、ヨーロッパの文明社会から南海の楽園タヒチに移り住んだゴーギャンは、その豊かな自然の中で人間という存在の不思議さに悩まされたのかもしれません。

私たちもこのシリーズを通して、ゴーギャンと同じ疑問を問い続けました。しかし知ろうとすればするほど、私たちは生命についてほとんど知らないことを思い知らされました。私たち自身についても、分かることはわずかです。

しかし少なくとも、生命40億年の歴史と私たち人類の歴史を一つの流れとして見てきたことで問題の本質は見えてきたように思います。人類は確かに、他の生命とは違った道を歩み始めました。そのことが人類の繁栄と同時に、様々な深刻な問題をもたらしています。

しかし、生命の歴史は、進化とは常に大きな飛躍であることを教えてくれます。

私たちは、次に来るべき生命の飛躍とは何かを、悲観的になることなくもっと前向きに考えてもいいのではないでしょうか。農耕牧畜は、生命が初めて自然と向き合いコントロールしようとしたことから生まれました。

次の飛躍は、その自然を、地球と生命を、深く理解することから始まるのではないでしょうか。

地球環境と生命、そして生命と生命とが複雑に絡み合いながら40億年の歴史を歩んできました。その歴史に、いま人類が加わって地球の生命圏はさらに複雑になっています。

私たちが未来を切り開けるとすれば、それは、この大きな、そしてかけがえのない地球生命圏というシステムを、じっくりと理解することから始まるのではないでしょうか。

NHK「生命 40億年はるかな旅」
チーフ・プロデューサー 日向英実