BOOK REVIEW

VOLUME 3

 

愛蘭土紀行T・U

司馬 遼太郎 (朝日文芸文庫)

街道をゆくシリーズの数少ない海外ものの一つである。
この旅行においては、政治的な考察は除いたイギリスとアイルランド、カトリックとプロテスタントの 対比を中心に、独特のタッチで語られてゆく。
今回で二度目の訪問となるロンドンの印象を「・・この街へのなつかしさがこみあげてきた。」と言い、 古さに感嘆するとともに、その保存に対し「大変ですね」と道行くロンドン市民につぶやくのであった。
リバプール経由でアイルランドに渡った後、縦断してアラン島へ渡りほぼアイルランドを半周してダブリン へ戻るまで、語る旅は続く。

 

英国生活誌T・U

出口 保夫 (中公文庫)

英文学専攻の早稲田大学教授らしい、とても高品位な文章でつづられたエッセイ集である。
多めの写真と自身による挿し絵が大変読みやすくしている。
話題は広く、具体的に生活の中にまで及んでいるが、美しいイギリスという基本線は貫かれており、 反面イギリスの直面する現実、泥臭さがない不満もある。

 

イギリス式人生

黒岩 (岩波新書)

話題毎に関連あるイギリス人の挿話を紹介し、例えばお茶の話題ではサミュエル・トワイニング会長、 演説という話題にはトニー・ブレア首相など、有名人・庶民入り乱れて登場する。
そして日本との価値観の違いをうきぼりにする手法で大変ユニークな構成である。

 

ロンドン再発見の旅

信吾 (中公文庫)

10年間のロンドン生活後、帰国した著者は3年のブランクをおいて再びロンドンを訪れて、その印象 を切れ味鋭く語る。
空港、ホテル、ショッピングなど目に入るところを片っ端から切る(?)。
行った事のある方には「ああ、あそこね」と分かるはず。

 

ロンドン

鈴木 博之 (ちくま新書)

西洋建築史を専門とする著者らしく、ロンドン市内の建築物を主人公にすえて、その歴史を交えながら 縦横に歩く案内書である。
ロンドン市内を巡った経験者なら興味を覚えるが、未体験者には少々苦しい。

 

イギリス気ままカレンダー

マークス 寿子 (中公文庫)

ロンドンを中心にしたイギリスを1〜12月に分けて、それぞれの話題を語る、非常に季節感あふれる エッセーである。
さすがに滞英生活の長い著者らしく、具体的な内容、ある時は俗っぽい話題と、なかなか面白い。