ロンドン街路名面白事典
StreetとRoadはどう違う?”通り”の種類あれこれ
- Street
- 語源的には、古代ローマ人が作った道である。ローマ軍団が建造した都市間を結ぶ軍用道
路にこのstreetという語を含んでいたが、それがやがて幹線道路とか街道というニュアンスで
使われるようになった。12世紀頃までには町の比較的大きな「通り」の意味で用いられるよ
うになったが、現在では狭い「通り」にも使われており、他の呼び名と明確な違いはない。
- Place
- 大通りから入り込んだ狭い空き地、横道、袋小路などに用いられる。例外的に大通りに使
われている例(Gloucester Place,Portland Place)もあるが、多くは大きな通りからの脇道が多
い。
- Mews
- 中世の鷹狩りに使った鷹小屋がその後馬小屋に変わり、現在ではガレージのあるマンション
や小さな家の並びにとって変わった。そのような場所をMewsと呼び、裏道であるのが普通である
が、表通りと名前が共通なのが多い。例えばGloucester Place MewsはGloucester Placeの奥に
ある。
- Road
- 語源は"Ride"(馬に乗る)に由来し、ある程度距離がある幹線道路が多く、streetよりも後
の用法である。ロンドンの周辺の町、地域に至る道に使われる場合(Edgware Roadなど)と、どの
橋に至る道かを示す場合(Tower Bredge Roadなど)が多い。
- Gardens
- 18世紀中頃から使われ、「植え込みの周囲に建てられた家並み、公共の庭園が眺められる
位置に建てられた家並みのある通り」という意味で使われている。
- Lane
- 元来狭い通り、曲がりくねった道という意味を持つ。中世においては、広いstreetと狭いlane
という区別が守られていたらしい。
- Court/Yard
- 両方とも周囲を家または塀で囲まれた空き地とか中庭のことである。courtの方が多く使われ
ているが、いずれにしろ袋小路状の道という感じで用いられる。
- Square/Circus/Crescent
- これらはそれぞれその形状から名づけられている。
squareは、正方形か長方形の空き地の周囲の通りに用いられ、circusは、そこからいくつかの方向
に放射状に道路がのびているやや円形になった広場に用いられ、crescentは、三日月(半円)形の
家並みの前の通りに用いられることが多い。
- Close
- 「袋小路」に用いられるが、行き止まりには前述のplace,court,yard,mewsも使われており、
厳密な区別はないようだ。
- Terrace
- 「周囲よりも高くされた土地に建てた家並」を意味したが、後に車道から見て高いという程度
の土地に並んで建てられた同じ格好の家並に用いられるのが一般的となった。
- Row
- streetと同様、古くから用いられ、家並(a row of houses)という意味から、片側または両側
に家並のある比較的狭い通りの名前に使用されるようになった。
- Avenue
- 基本的には広い立派な通り、並木が両側にある市街地の通りということになろうが、実際には
並木と広さに関係なく使われている。比較的新しい使い方で、市街地というより中心から離れた住
宅地でよく使われる。
- Hill
- もともとは「丘の上の道」であったが、やがて坂道に用いられ、これが一般的となった。
- Passage
- 文字通り「通路」の意味であり、シティでは教会(Trinity Church Passege)とか居酒屋(Bulls Head Passege)
など固有の建物への通路を指して使われることが多い。
- Way
- 古代ローマ軍用道路に用いられたことから、歴史は古い。現在では大きな通りを含めて、さまざ
まな種類の通りに使われている。
- Gate
- シティには城門や水門が多く、それらの名前が道路の名前になったものが多い。用法としてはMoorgate,
Watergateのように一語のものと、Cambridge Gate,Chester Gateのように二語のものがある。
- Walk
- 庭園・公園を横切る広い道または周囲の道に対して多く用いられるが、ごく普通の街路にも使
われる場合がある。
- Buildings
- 重要な建物のかたわらの短い通りとか、建築者の名前に関係する通りなどの意味で持ちいられている。
例えばRoyal Exchange Buildings,Rolls Buildingsなど。
- Alley/Market/Villas/Wharf/Friars
- Allayは「家に入るための通路」の意味だったが、現在では建物と建物の間の狭い通りに用いら
れる。
marketはマーケットがある通りで、現在あるいはかつて市が立つ通りである。
villasは一戸建てまたは二軒続きの家が集まった通りに好んで持ちいられる傾向がある。
wharfは波止場(テームズ川)に由来し、Bull Wharf LaneのようにLaneを付け加えて使われることが多い。
friarsは修道士の意味であり、修道院や修道会があった通りに対して用いられた。
- Embankment/Bank/Grove
- embankmentもbankも「土手、堤防」の意味であり、テームズ川に沿った通りに好んで用いられる。
groveは森や木立を背景にした通りに用いられ、郊外の新しい住宅地で好まれている
これらの街路名の由来が分かってくると、地図上でも探しやすくなり、ウォーキングにも”ハリ”が出る
というもんでございます。
参考資料:「ロンドン地名由来事典」渡辺和幸 著(鷹書房プレス)