1. 二人が出会った日



陽光の中、消えていく二人の影を見送るヴァンの顔は渋い。
「何考えてんだよ ラモン」
攫われたと聞いてパンネロを探しに遥々ビュエルバのルース魔石鉱に来たというのに
入れ違いになった挙句、ようやく見つけたパンネロは帝国軍に、
否、先程まで同行していた少年が攫うように連れ去ってしまった。
「ラモンじゃない、ラーサー・ファルナス・ソリドール。皇帝の四男坊…ヴェインの弟だ」
はぁ!?と素っ頓狂な声を上げて目を白黒させているヴァンを他所に、
しなやかな肢体をくねらせてフランがぽつりと言葉を零す。
「大丈夫、彼、女の子は大切にする」
いや、そういう事を聞いてるんじゃなくて。
あのヴェインの弟だぞ?帝国の人間だぞ?信用なんか―・・・、
とまくしたててヴァンがはたと動きを止めた。
「え?」
「フランは男を見る目はあるぜ」
にやりと意地悪な笑みを浮かべたバルフレアが相棒の同意を得るように視線を送ると、
美しいヴィエラもまた意味ありげな笑みをその口元に薄く浮かべた。
「えええ?」
フランの言葉をゆっくりと租借しているヴァンを置いて、
バルフレア達はルース魔石鉱の出口へと歩いていく。
「最近のガキは積極的だねぇ」
「昔のアナタを見ているようだわ」
げぇほ、と突如むせるバルフレアの横を涼しい顔でフランが通り過ぎる。
「なー、フランー!どーゆー意味だよー」
わんわんと魔石鉱に反響するヴァンの声に少しだけ振り返って、フランは小さく、
同じヴィエラ族の耳でしか拾えないような声でそっと助言した。

幼馴染で満足している内に、お嬢さん、馬鹿なバンガ族でなく王子様に攫われてしまうわよ


■ モドル ■





二人が出会った日は時系列の「はじまりの日」で書いているので省略
というかラサパンお題なのに別キャラ視点なのでした
ヴァンはとことんお子様だとフラン姉さんを呆れさせてくれればいい

ちなみにラーサーが自分の心に気付くより大分前に、何となくバルフラの お二人には予感があった、ってかんじがいいかなとこんな感じに