『はなキリン』
昔むかし、遠いアフリカでのお話です。
サバンナに暮らすキリンたちの中に、とても良く鼻のきく”鼻キリン”が一匹おりました。
キリンたちを狙って、ライオンやチーターがこっそり近づいてきても、
”鼻キリン”は、たちまちその良くきく鼻で気配を嗅ぎ取って、
仲間達に危険を知らせることができました。
おかげで”鼻キリン”が見張り当番の時には、みんな安心して、
お腹いっぱい草や葉っぱを食べることができました。
そのうちに、”鼻キリン”ばかりが見張り当番を務めるようになりました。
他のキリンたちは、ゆうゆうと食事をすることができたけれど、
鼻のきく”鼻キリン”は、いつでも神経を張りつめているので、
リラックスすることが出来ません。
”鼻キリン”はだんだんやせ細ってきてしまいました。
そんな彼を可哀相に思った天の神様は、
”鼻キリン”の良くきく鼻を、一輪の花に変えてしまいました。
鼻が花になってしまっては、危険をかぎ取ることが出来ません。
キリンの仲間達は、そこで初めて、
彼にばかり見張りの仕事を押しつけていたことに気づいたのです。
そして、”花キリン”になった”鼻キリン”に、「ごめんなさい」と謝って、
それからは、みんなが交代で見張り当番をするようになりましたとさ。
おしまい♪