『子ぎつねとブドウ』
山で遊んでいた四匹の子ぎつねが、ブドウの木のそばを通りかかりました。
子ぎつねたちはぴょんぴょんんと飛び上がってブドウの実を取ろうとしましたが、 もうちょっとのところで届きません。
一匹目の子ぎつねは、 「あれはきっと酸っぱいぶどうだから、いらない!」 といって、さっさと行ってしまいました。
残された三匹の子ぎつねたちは、じっとこちらを見ます。
――しょうがないなぁ;
私は手をのばしてブドウの実をいくつかもぐと、子ぎつねたちの前に置きました。
二匹目の子ぎつねはそれを食べると、 「あ、やっぱり酸っぱいや〜!」 と、残念そうに顔をしかめて、行ってしまいました。
三匹目の子ぎつねは、 「せっかくだから、おうちに持って帰る!」 といって、みんなの残したブドウを集めて、巣穴の近くの木の”うろ”に入れておきました。
ブドウは木の”うろ”の中で発酵して、美味しいお酒になりました。 それをチョコッと味見させてもらった私は、とても良い気持ちになって、 そのままうとうとしてしまいました。。
しばらくして目が覚めた私は、四匹目の子ぎつねがどうしたか気になって、 ブドウの木のあったところへページを戻してみました。
四匹目の子ぎつねは、あれから毎日ブドウの木の下までやってきて、 ブドウが熟れるのを待っていたようです。
ようやくブドウが甘い香りを発して、 「私はおいしくなりましたよ、どうぞ召し上がれ」 というサインを出した頃には、四匹目の子ぎつねも充分に成長していました。
なんなくブドウの房に飛びついて、 そのジューシーな実をおなかいっぱい食べることができましたとさ。
めでたし、めでたし♪
(おわり)
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