ピーター☆パンとウェンディ
開け放した窓から入ってきて目の前に降り立ったのは、
緑色の服を着た男の子だった。
「やぁ、ウェンディ!迎えに来たよ!
君が毎晩窓を開けて僕を呼んでる声が聞こえてきたんだ。
そうさ、君を受け入れてくれない世界になんかいなくたっていいさ。
君はネバーランドで、永遠に子どもでいればいいんだ。
さぁ、今から僕と一緒に飛び立とう!」
「ああ、ピーター、ありがとう!
あなたが来てくれるのを、私ずっと待っていたわ。
この窓辺で、白いドレスを着て、あなたが通りかかったらすぐに見つけてくれるように。
でもね、、、ほら、見て、今日の私のドレス!
これは一生に一度だけ着られる純白のウェディングドレス。
見つかったのよ、私が私でいられるところ。
私が勝手に夢見ていても、たとえ他の誰から相手にされなくっても、
そしてねピーター、あなたのことを話してみても、彼は全部聞いてくれた。
私が夢見ることを受け入れてくれた。
そのままで良いよ、二つの世界を行ったり来たりすればいいよって。
だから私、彼と一緒にこちらの世界に残ることにしたの。
だから・・・ごめんね、ピーター、私、あなたと一緒に飛び立てない」
「そうなんだ、ウェンディ。でも残念だな。
今夜は月も明るいし、二人で飛んでいくのは楽しいと思ったんだけどな。
君が無理して大人ぶっているのでないのなら、君が本当に君のままでいられるのなら・・・」
「ええ、そうよピーター!私は私のままで変わらずにいられるの!」
「わかったよウェンディ。君は自分の居場所を見つけたんだね。
だけど、君は僕にとって永遠の少女。
もしもまたネバーランドに行きたくなったら、僕を呼んでくれたらいい。
僕はいつでも君を迎えに飛んでくるよ!」
緑色の服を着た男の子は笑顔でそう告げると、すっと空中に浮き上がり、
軽やかに、月の光の満ちた窓から外へと飛び去っていった。
ありがとう、ピーター☆パン。今までずっと壊れそうな心を支えていてくれて。
きっとあなたは来てくれる、そう信じることでどんなに私は勇気づけられたことでしょう。
もうあなたを呼ぶことはないかもしれないけれど、私は絶対、あなたのことを忘れない。
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