盗まれた金塊の行方を追っていた俺の携帯電話に、
情報提供屋から連絡が入った。
「銀座マリオンの前に来てください。
できれば五時前に。
潜伏中の4人組について、あっと言うような情報があります」
それだけを早口で言って、電話は切れた。
俺はすぐさま署を飛び出した。
午後五時五分前。
マリオンの正面に立った俺の横に、一人の男がすっと寄り添い、
耳元で囁いた。
「まもなく金塊を持った奴らがここに現れます。
いいですか? 5,4,3,2,1!」
ジャスト五時。
銀座マリオン正面にある大時計がせり上がり、
その後ろから、ごとごととからくり仕掛けのコビト達が登場した。
4人組の彼らは、手に手に”金塊”・・・金色に輝くマレット(木琴等を叩く棒)を持ち、
それを交互に振りながら、午後五時を告げる美しいメロディーを奏で始めた・・・
「あっ!?」
――情報提供者はとっくに姿をくらましていた。