ロンドンで見たこと考えたこと





<ロンドンへ>

 今年の夏、ロンドンを旅しました。ここ3年つづいてヨーロッパを旅しています。最初にヨーロッパ文明の源である古代ローマ発祥の地ローマ。次に古代ローマ時代のガリアの一都市であったフランスのパリ、そしてやはり古代ローマ時代にロンディニウムとして誕生したイギリスのロンドンです。ローマ文明の拡大に沿って展開した旅でした。

 さて、今回ロンドンに向かう飛行機はヴァージンアトランティックでの直行便でした。ロンドン直行は4つのエアラインがあり、VAは一番人気だそうです。なるほど食事等のサービスはこまめですが、やはり12時間のエコノミーはさすが窮屈なフライトでした。

 飛行機には、修学旅行らしい中学生が大挙乗り込み、これはうるさくなるなと心配になりましたが、飛行中は静かなものでした。見ると皆、座席のテレビ画面に釘付けです。それぞれビデオやゲームに夢中で互いに騒ぎ合う様子はありません。ああ、これが今の子供たちの姿なのか。なんか良いような悪いような。・・・・

 さて、そんなこんなで12時間のフライトでロンドンのヒースロー空港に無事到着しました。ロンドン時間で午後3時30分、天気は晴れです。

 

<テロ事件の影響>

 今回のロンドン行きの直前に、イギリスでテロ事件がありました。数週間前にロンドンで未遂、直前にグラスゴーで空港ビル爆発事件が起きました。イギリス政府は直ちにテロ脅威度を最高レベルにしました。当然、私たちのロンドン行きは果たして大丈夫なのかという不安が起きましたが、数日で犯人が逮捕されランクも一段階低くなり、特に渡航制限が出ることもなかったので、一抹の不安がありながらも旅行決行ということになりました。

 さて、ヒースロー空港に着いて、テロ事件の影響で入国審査が厳しく相当時間もかかるものと覚悟していましたが、全くスムースでした。ただ入国審査は「EU圏内旅行者」と「それ以外」二つに分かれていて、特にイスラム圏等と思われる人々は別にされてかなり渋滞していたようでした。

 意外なほどのスムースさにほっとしましたが、この後のロンドン滞在でもテロに対して何か特別な警戒や注意がなされている様子は皆無でした。私たちは、テレビや新聞報道で海外の事件を知りますが、遠くからだとどうしても点だけのことを全部のように拡大して想像しがちです。本当の現実をあるがままに判断することは難しいものだと思いました。

 

<外国人の街ロンドン>

 さて、いよいよ4日間のロンドン街歩きがスタートしましたが、最初の印象は外国人の多い街だなということでした。街を歩いている人々やいろんな所で働いている人々の顔の色が様々です。実際、この旅行を通じて多くの人々と話をしましたが、出身を聞くと実に様々です。ホテルマンはスペイン人、レストランのウェイトレスはポーランド人、ショップの店員はイタリア人・・・等々と旅の中で声を交わす人々の職業上からなのかも知れませんが、イギリス人だという人より外国出身の人が圧倒的に多いと感じました。

 これは、イギリスがもともと大英帝国という歴史的背景から各国出身者を多く引き寄せていることから当然なのかも知れません。また、ヨーロッパが互いに国の垣根が低く、言葉も近く英語をすぐにマスターできるからなのかも知れません。しかし、外国人がそんなに身近でない日本にとっては一つの驚きです。私の頭の中でしきりに次のようなことが頭に浮かびました。 ― イギリスは現在、景気が良い。イギリスの人口は日本の半分。経済の活況のためには労働力が必要で、イギリスの経済政策として外国人労働者を積極的に受け入れることによって経済を活性化させているのではないか。一方、外国人を多く受け入れることは、社会的問題も発生させる。現に今回のテロ事件もそうした事情で起きた。イギリスは、社会的問題と同居しながら経済を発展させる道を選択しているのか。日本は地方から人口を東京に吸引させて一極集中で一応の景気は維持しているものの、かたくなに外国人の受け入れに厳しい現況からすると、これから人口減少期を迎える日本においても早晩、経済の活性化と外国人労働者の問題は選択をせまられる問題になるのではないか。 ― この思いが正しいか否かは別にして、人種のるつぼのようなロンドンの街の活況を目にして、日本人の国際化や多文化共生という日本人の不得手な部分が妙に心配になってきました。

 

<大英博物館>

 ロンドンに着いた日、ホテルには夕方6時頃にチェックインしましたが、この時期のロンドンの日没は夜10時頃で、夕方と言ってもまだ昼間です。そういう訳で、早速、ホテルから徒歩10分の大英博物館へ出かけました。大英博物館も金曜日は夜8時30分まで開いています。

大英博物館は威厳あるギリシア神殿風の正面が印象的です。入場料は無料。これは驚きです。今回、大英博物館初め多くの美術館巡りをしましたが、公立は全て入場無料でした。ローマでもパリでもそれなりの入場料は取っていましたから本当にすばらしいことです。そもそも大英帝国時代の富豪が収集した展示物や美術品が国に寄贈されたものなので入場料無料は当然と言う人もいますが、ポリシーがないとできるものではありません。しかし、入り口にきちんと寄付金の受付箱がありました。大英博物館では「3£の寄付をお願いします」という表示があり、箱の中にはかなり投入されているようでした。日本人には何故か寄付の精神はなじみ薄ですが、寄付でささえる文化が定着しているのには感心します。

 大英博物館のコレクションは膨大で短時間ではとても見切れません。見たいもの数点に焦点を当てるしかありません。まず、「エルギン・マーブル」。これは、エルギン伯爵が19世紀にアテネのパルテノン神殿から持ち帰った彫刻で実に見事なものです。ギリシア政府から返還要求が出されていますが、これほど貴重な人類の財産を保存できたのは英国のおかげということで応じていないそうです。この部屋に入った時、丁度学芸員によるガイドツアーをやっていましたので英語リスニングも兼ねて参加しました。いきなりのブリティシュ・イングリッシュで戸惑いましたが、質問にも挑戦し楽しい体験でした。英語によるガイドツアーは以降の美術館巡りでも積極的に参加しました。

 次に見たマストスィーは、「ロゼッタ・ストーン」。エジプト遠征中のナポレオン軍の部下が偶然発見したものをイギリスが接収したもので、その後フランス人シャンポリオンがエジプト象形文字を解読した有名な石碑です。実際に石に刻まれた文字を見てみると、つい昨日刻まれたような鮮明な文字で、解読の誘惑に駆られる気持ちがリアルに伝わるものでした。その他、時間の許される限り多くのものを見ました。破壊と再生のエピソードのある「ポートランドのガラス壷」、ユニークなものではハリー・ポッターにも登場する「ルイス島のチェスセット」等が印象的でした。

 ただ残念なのは、旧大英図書館として使われていたリーディングルームが修復工事中で見られなかったことです。ここは昔カールマルクスが毎日通いつめで資本論を書いという話を聞いていたので是非見たいと思っていました。再訪の機会までお預けです。

 

<ロンドン市内観光>

 ロンドン2日目は、バスによる市内半日観光をしました。ロンドン三越から出発し、トラファルガー広場、金融街シティ、ロンドン塔へ、そしてテムズ川南岸の観覧車ロンドン・アイ、その後バッキンガム宮殿での衛兵交替を観てウェストミンスター寺院と国会議事堂を通り首相官邸のあるダウニング街を通過して戻るという超ダイジェストコースです。初めてのロンドンを鳥瞰するにはとても便利で、これからの街歩きに有益です。

 この観光でのエピソード二つ。若くはないバスガイドさんがテムズ川にかかる一つの橋の話をしていました。「昔のお客さんからは、よくウォータールー橋はどこですかと聞かれたものですが最近は聞かれませんね。・・あれが映画「哀愁」のウォータールー橋ですよ。」この映画、題名は聞いたことはありましたが見ていませんでしたので、帰国後に早速見てみました。昔のメロドラマですが、イギリスの階級社会の一端が垣間見える甘く悲しい映画でした。もう一つのエピソードは、バッキンガム宮殿の衛兵交替。あまりにも有名な近衛兵の交替式ですが、毎日11時過ぎに行われます。天気が雨だと中止だそうで、この日は小雨もぱらつく曇天で心配されましたが、幸い見られました。ロンドン中の観光客が押し寄せるような混雑でしたが、ベテランガイドさんのお陰で手際よく見られました。かわいらしくもある衛兵軍楽隊の行進は、何故か明治維新の薩長軍の行進を思い出しユーモラスでもありました。

 

<美術館>

 ロンドンは美術館巡りにとっても大いに楽しませてくれるところです。美術ファンの私たちにとっては、昨年のパリの美術館巡りのようにエネルギッシュに、時間の許す限り見てまわりました。何しろ入場料が無料なのですから。二日目の午後は、ナショナルギャラリーとポートレートギャラリー、三日目はテート・モダンとテート・ブリテンを訪れました。

 これだけ回ると、大英博物館のギリシア美術から始まって、中世、ルネサンス、印象派、現代美術と西洋美術の流れがすべて見られます。あらためてイギリスのコレクションの凄さに驚嘆します。

 ナショナルギャラリーは、トラファルガー広場に面したコリント式列柱の巨大な玄関をもつ古典的な建物で目を引きます。展示品総数2万点で世界最大の美術館のひとつに数えられています。イタリア・ルネサンスやオランダ、フランドルの名画が多くあります。ダ・ヴィンチの「岩窟の聖母」は昨年見たルーヴルの同名作品の対になる作品で「ダ・ヴィンチ・コード」で注目されて以来是非見てみたかったものです。フェルメールやファン・アイクの超名作も多く目にして感激です。その他、ゴッホやモネもありました。

ナショナルギャラリーでのエピソードを2、3。@学芸員による英語の無料ガイドツアーに参加しましたが、やや専門的でヒアリングに悪戦苦闘しました。A館内で面白いイベントを見ました。「岩窟の聖母」を皆で模写しようという催しで、スケッチブックと鉛筆が貸し出され多くの人が描いていました。日本では考えられない面白いイベントですね。その他、ギャラリーのあちこちで模写中のキャンバスを見かけました。B写真撮影は許されていません。その他のロンドンの美術館はいずれも同様でした。パリの美術館が許されていたことからすると意外でした。従って、今回の旅のフォトギャラリーは美術作品がなくてやや残念です。

続いて訪れたポートレートギャラリーは、ナショナルギャラリーに隣接する肖像画ばかりの美術館です。9000点近い肖像画のコレクションを持つそうですがイギリス人は本当に肖像画が好きなんですね。チューダー朝のころから歴史に沿って展示されています。ヘンリー8世やエリザベス1世の有名な肖像画がありました。実は、ここでお目当てがあったんですが、なかなか見つかりませんでした。それは、シェイクスピアの肖像画で唯一当時の本物と言われているものです。館内の人に聞くと「ああ、それは今アメリカに貸出中なんです。」ということでした。

テート・ブリテンは、ナショナルギャラリーの分室として設立され、イギリス美術の一大コレクションを有しています。館内は美しく落ち着いて鑑賞できる美術館です。ここには、今回の旅のマストスィーの作品であるミレイの「オフェリア」がありました。ミレイはイギリスのラファエロ前派と呼ばれる古典回帰風の画家ですが、以前この絵を目にした時から、その緻密さに驚嘆し、いつかは本物を見てみたいと思っていました。念願かなって感激です。長時間解説を聞きながら眺めていました。その他、この美術館ではイギリス美術の大御所ターナーの大コレクションがあります。ターナーは空気を描いている印象しか持っていませんでしたが、かなり大きなスペースに展示されているターナー作品を一挙に見ると、本当に凄い画家だということを再認識します。モネなどの印象派に影響を与えたということもうなずけます。

最後は、テート・モダンです。2000年にオープンした最新の現代美術館です。名前のテートが示しているように、もともとはテート卿が寄贈した美術館が枝分かれして現代美術専門の美術館として誕生したものです。なによりもこの美術館がユニークなのは、建物が昔の使われなくなった発電所をそのまま再利用したもので、館内の空間は巨大でクレーンのレールや煙突がそのまま残っています。この地区の再開発の目玉でもあり、その着想が世界的にも評価されています。多くの人が訪れ、地域の活性化とともに現代美術にも活気をもたらしているようです。広いスペースに思う存分遠慮することなく現代美術が展示されていました。このテート・モダンとテート・ブリテンは距離も離れていますが、テムズ川を挟んだ両岸にあり、テートtoトートというリバーボートで結ばれています。私たちもテムズの流れを味わいながら二つの大きな美術館をじっくり鑑賞しました。

 

<オペラ座の怪人>

 ロンドンは、ニューヨークのブロードウェイと並ぶミュージカルのメッカです。と言う訳で私たちもちゃんと観ました。何を観るかはだいぶ迷いましたが、折角ロンドンで観るのですから、ブリティシュ・ミュージカルを世界的にした作曲家アンドリュー・ロイド=ウェーバーに敬意を表して「オペラ座の怪人」にしました。もっとも、以前に日本の四季の公演を観たり、かつてこの主役を歌っていたサラ・ブライトマンの美声をよく聞いていたころから、やがてはロンドンの本場で観てみたいと思っていましたので、遂に念願かなったというところです。劇場はハー・マジェスティーズ・シアター(女王陛下の劇場)という格調あるところです。

劇場内の広さは日本の日劇や帝劇のイメージからするとだいぶ小さい印象です。さらに座席は舞台から最前2列目のかぶりつきでしたので、本当にリアルに鑑賞できました。「オペラ座の怪人」を観るに当たり、CDやDVDで事前学習を十分にしたお陰で英語のリスニングもなんとか出来てストーリーを楽しむことができました。この作品ほんとによく出来ていて、いつ観ても感動的します。今回はことさら感動しました。公演がはねた帰りは、ホテルまでロンドンタクシーに乗りましたが、車内で撮った写真を後から見ると、目は“うるうる”でした。

 P.S. この劇場でのエピソード。チケット購入の際、床に誰かの財布が落ちているのを発見しました。中を覗くと結構大金。受付の人に「これ落ちてましたよ。」と届けましたが、後でこの話をある人に話したら、「へえー届けたの?外国ではそういうお金、たぶん落し主には届かないよ。」と言われましたが、拾った物を届けるって日本人にはあたりまえの行動ですね。

 

<ウォーキング・ツアー>

 3日目、ロンドン街歩きにも慣れてきたころ、文字通り「London Walks」というウォーキング・ツアーに参加しました。これはボランティア(と思われる?)ガイドがロンドンを歩いて案内するとういうもので、もちろん英語によるガイドです。コースは、ビートルズやシャーロック・ホームズゆかりの場所巡りから幽霊探しやパブ巡りなど興味あるテーマごとに十数近くもコースがあります。事前予約は不要で、インターネットで指示された地下鉄出口に集合して出発です。

私たちは、「Shakespeare’s London」というロンドンのシェイクスピアにゆかりのある場所を巡るツアーに参加しました。ロンドンはシェイクスピアの活躍の場。当時の劇場グローブ座等、以前から是非見てみたと思っていましたので、心弾ませて参加しました。集合は、ウェストミンスター駅に朝10時。ウェストミンスター駅はちょうどビッグベンの向かい側で、なかなか良いところです。時間になると案内のガイドが現れて、20人ぐらいの参加者に挨拶してスタートしました。参加者の国籍も様々です。ガイドはシェイクスピア劇の元役者だそうで、さすが通る声量でブリティッシュイングリッシュを聞かせてくれます。日本人にも行ったことがあるということで、ウォーク中いろいろと話してくれました。

最初にテムズ河の船に乗り、船上から両岸のロンドンを眺め、グローブ座のある南岸のサザーク地区に着きます。グローブ座は、今あるものはシェイクスピア当時の建物ではなく最近再建されたものですが、屋根のない丸い客席で囲まれた建物は当時そのままで、今も当時のままにシェイクスピア劇が上演されています。

現在のグローブ座のあるところは当時の場所とは違っていて、ガイドは当時の跡地や向かいにあったローズ座跡地を案内してくれました。さらに、熊いじめの場所、プリズン跡、古風な通路など映画「シェイクスピア・イン・ラヴ」のシーンを彷彿とさせるような界隈を演技や歌交じりで案内し、シェイクスピアファンにとっては知的興奮を十分に与えてくれるものでした。最後は、ロンドン橋近くの教会やにぎやかなストリート・マーケットを通り、最古のパブといわれるところで終点でした。

ツアー解散後、ローズ座跡地を再度訪れました。ローズ座跡地はビルになっており、この1階を跡地ミュジアムとして取り込んで建っています。ミュジアムの中では、専門的な展示や丁寧に説明するガイドがいて、質問を交えての詳しい話を聞くことができました。シェイクスピアにゆかりのある新旧グローブ座とローズ座跡地を訪れましたが、三つを比較すると、再建されたグローブ座は現役なのでやや商業主義的、もともとのグローブ座はほんとにここにあったという跡地のみ、ローズ座は考古学的にきちんと跡地を保存していて好感がもてたという感じでした。

 

<高い物価>

 シェイクスピアツアーの途中に立ち寄ったバラ・マーケット(Borough Market)は人気のあるストリートマーケットです。オーガニック食品が中心とかで、野菜やジャム、チーズ等あらゆる食材が所狭しと並べられお昼時ということもあり大変な賑わいでした。

私たちもここでランチとしました。イギリスで一度は食べたいフィッシュ&チップスを見つけましたので、ファーストフードのような感覚で注文しましが、なんと驚いたことに値段が7£=1800円でした。鱈とポテトのフライですから量が多いとは言え、どう考えても日本の2倍の価格です。(味はおいしかったですが。)

ロンドンの物価は高いという話は聞いてはいましたが、今回ロンドンを訪れてこのフィッシュ&チップスを初めとして、やはり本当に高いんだなということをいろんなところで実感しました。よく言われるように、地下鉄の初乗り料金は4£=1000円です。日本の4倍じゃないでしょうか。(でも、これには注釈が必要で、この値段はあくまで現金購入料金で、オイスターカードというプリペイドカードを使うと400円で現地の人はほとんどこれです。)旅行者としては、ホテル代、交通料金、食事代、お土産品等からしか判断できませんが、全般的に日本のざっと倍の物価という感じがします。

世界の各都市の比較でもロンドンの物価は最高だそうです。ロンドンの人々の平均所得がどれくらいなのかということは分かりませんが、そんなに高くはないとすれば、原因はほかにもありそうです。いわゆる円安です。円の為替相場が安すぎるということも影響しているように思います。これは最近の日本の超低金利政策が円売りを助長して円安になっていることを反映していると聞いていますが、物価の比較から考えるとどうも異常な円安を早く是正しないと日本経済は大変なことになってしまうのではないかと、世界の金融中心地ロンドンで日本の一旅行者がフィッシュ&チップスをパクつきながら日本の金融を心配してしまいました。

 

<ロンドンの街並み>

 ここ3年でローマ、パリ、ロンドンと旅してきましたが、同じヨーロッパでもそれぞれの都市の風景は異なる趣きを持っています。ローマは、街が古代ローマの巨大な遺跡と同居していて今でもその辺の街角に古代ローマ人が現れそうな風情です。パリは、高い建物はエッフェル塔ぐらいで街路に面した建物も整然としていてほんとに美的なセンスのある美しい街です。この2都と比べると、ロンドンは、やや雑然とした感じがしないでもありませんが、国会議事堂やバッキンガム宮殿、セントポール大聖堂等の教会、古代ギリシア神殿のような博物館や美術館、シティの歴史ある建物など大英帝国の隆盛を思わせるような様々な様式の建物が随所にあり歴史の重みを感じます。

 テムズ河畔にそびえる時計台ビッグベンと国会議事堂は世界の模範となる議会政治が生れた所。リチャード1世やクロムウェルさらにはチャーチルの銅像に囲まれて、近くにはウェストミンスター寺院もありゴシック様式の荘厳さと威厳が周辺に漂っています。

また、ロンドンの街では古いレンガ造りの建物がそのまま残っているのを多く見かけます。日本でも明治時代にこれらの建築様式を真似た建物が多く作られましたが、日本ではとうに取壊されて残っていません。ロンドンで古風なこれらの建物を見た時になぜか懐かしい感じがしたのは、子供の時に見かけた古い記憶とダブったせいでしょう。もともとイギリス人は、新しい物より古い物を大事に使うことに価値を置くと聞いています。これらの歴史と伝統を大事にする考えが街づくりに風情と風格を与えています。

デパートもハロッズは相当に古い建物ですし、リバティというデパートはチューダー朝様式の素敵な建物でした。新しいところではテムズ河畔のテート・モダンという現代美術館は、使われなくなった発電所を再利用した建物です。何でもかんでも古いというだけで簡単に壊してしまい見掛けは新しくても張りぼての様な中身のない建物が多い日本の街とは大違いですね。

 

<ロンドンB級グルメ>

 食は旅の楽しみのひとつです。その旅先でしか味わえない食べ物を体験したり、思いがけない食べ物に遭遇して驚いたりすることが旅を面白くします。という訳で、この旅での食の体験談をご紹介します。

 一般にイギリスの食べ物はまずいという話をよく聞きます。またイギリス料理がピンと来ないのは、フレンチやイタリアンのようにイギリス料理ならこれというのが頭に浮かばないせいもあるでしょう。このことは食に限らず、目先にとらわれない質実で頑固なイギリス人の気質が影響しているのかもしれません。また、人に言わせると、旅先のホテルや安いレストランではなく、いなかの家庭料理でないと本当のイギリス料理が分からないと言います。しかし、今回の旅でそこまではできません。かなり限定的でチープなB級グルメ体験談ですのであしからず。

 まず、フィッシュ&チップス。大きな魚とジャガイモのフライで、イギリスの庶民のエネルギー源といわれるほどポピュラーな食べ物です。熱々のうちに食べるのがコツです。バラ・マーケットの露店で食しましたが、値段は別にして、美味しかったです。

 ロンドンは、人と同じく食もコスモポリタンで各国料理が豊富です。インド料理や中国料理店が多くあります。今回特にお世話になったのが中国料理店です。たぶん歩き続けていると水分と塩分補給が必要になるからでしょうか中国料理店で麺が目に入ると迷わず引き込まれてしまいました。やはり日本人は醤油味ですね。後から見た食事風景の写真は優雅なアフタヌーンティー等は1枚もなく中国料理店の写真ばかりでした。日本食も結構ありますが、コンビニで見つけた寿司はいただけませんでした。見かけは寿司でも、例えようもない代物でした。ロンドンの皆様、どうかこれを寿司とは思わないでください。・・・帰りの飛行機の中でたまたま日本へ旅するイギリス人と隣り合わせましたが、この話をして「日本で本当の寿司を食べてね」とアドバイスしました。

 さて、ピカデリー・サーカス近くの「パティスリー・ヴァレリー」というカフェの話をしましょう。ここは、今回の旅の出発前にロンドンに行くなら絶対ここに行ったほうが良いですよと福島在住のイギリス人に教えていただいたカフェです。ケーキやフルーツタルトが美味しいとロンドンでも人気のある店です。場所柄、ミュージカルや芝居のはねた関係者の出入りも多いということです。私たちのテーブルの近くにいた人もそんな雰囲気のお客さんでした。私たちはここで、ビールとピッツァを食しましたが、忙しい旅の一休みに最適のカフェでした。

 最後は、パブです。グルメの範疇には入らないかもしれませんが、イギリスと言えばパブは外せません。街のあちこちにパブがあり、街じゅうパブだらけという感じです。どのパブに入ったら良いか迷うところですが、私たちは大英博物館前の「ミュジアム・タバン」というパブに入りました。ここはシャーロック・ホームズの「青いガーネット」という話にも出てくる由緒ある店らしいです。店に入ると主人がHello. How are you! と気さくに迎えてくれます。私たちは「パブは初めてなんです。」と言うと、「それじゃ、どれがいいか試してみな。」という感じで、ビターだのエールだのと色々とテイスティングさせてもらいました。いずれも、日本で一般的なラガービールとは違って、常温で気の抜けたような味です。イギリス人はこよなくこの味を愛しているといいますから不思議ですね。もう一つ不思議なことに、何か料理をと注文したところ、時間も遅くないのに「今日は食べ物は終わりです。」と言われたこと。周りを見回すと、グラスをちびちび傾けながら仲間たちと楽しそうに話を咲かせている人たちでいっぱいです。食べ物をがつがつ食べている人はいません。どうやらパブは食べ物よりも「お話し」をおかずに語り合うところなのかもしれません。

 

<ディケンズ・ハウス>

 さて、旅も4日目。最終日も近く、残された時間で、是非行ってみたいところを可能な限り歩き回ることにしました。まずは、イギリスの文豪ゆかりのところです。

 イギリスの文豪と言えば、第1にシェイクスピアでしょう。第2位ならディケンズを挙げます。ディケンズは、ビクトリア朝を代表する小説家で、貧しい家庭に生まれ、困苦の少年時代を経験したことから、主に下層階級を主人公とし、弱者の視点で社会を風刺した作品群で知られています。悲惨な下層階級の生活をシニカルに描くとともに、温かい目を向けた作風は、多くのファンがいます。私たちも「クリスマスキャロル」や「オリバー・ツイスト」くらいしか知りませんが、好きな作家です。

 私たちが泊まったホテルから歩いてすぐのところに、ディケンズ・ハウスというディケンズが一時住んでいて、今は博物館になっているところがありましたので訪れてみました。ディケンズは、ここに25歳頃に3年間住み、代表作「オリバー・ツイスト」などを書きました。建物は19世紀初頭に建てられたタウン・ハウスだそうで、ロンドンの普通の住宅地によく見られる外観です。地下をもつ3階建てで、ディケンズが愛用した机や椅子などの家具や調度品、自筆の原稿や手紙、肖像画や遺品などが多く展示されています。

 ディケンズの本は何れも長編で、読むにはかなり大変ですが、この家を訪れて改めて再読したいなあーという気持ちにさせられました。

 

<キングズクロス駅>

 ディケンズ・ハウスから北に歩いて20分位のところにキングズクロス駅があります。なぜキングズクロス駅に行くのかって?鉄道に乗るため? いえ、そうではありません。例のあの有名な「ハリー・ポッター」に登場する「9と3/4番線」を見るためです。本や映画を見た方ならご存知だと思いますが、ハリーたちがこの駅からホグワーツに出発する時にホームのレンガの壁に突入し吸い込まれてしまうあの印象的なシーンの場所ですね。

 実は、ここに行くことは今回の旅で重要な意味がありました。旅の直前に夢のような話が舞い込みました。映画「Harry Potter」の出演者が福島に来ることになり、なんとその通訳をMichiyoがすることになったのです。来日するのは、双子のWeasly兄弟役のOliver PhelpsさんとJames Phelpsさん、そしてNevill役のMatthew Lewisさんです。こんな大役を引き受ける以上、ロンドンの「Harry Potter」ゆかりの地は外せません。

 キングズクロス駅の前には、数年前の地下鉄テロ事件で犠牲になった人々への花束がおいてありました。そう、ここは悲惨な事件のあった場所でもあったんですね。さて当然ながら、実際は「9と3/4番線」なるものは存在しません。駅員に「9と3/4番線はどこですか。」と聞くと、ニコッとしながら、「ああ、そこだよ。」と教えてくれました。映画で9と3/4番線として使用されたのは4番線と5番線の間のホームでした。

 ただし、この駅のサービス精神は微笑ましいものがあります。多くの「ハリー・ポッター」ファンから見学や問い合わせが相次いだため、「9と3/4番線」の看板を実際に作成し、9番線と10番線の間に掲げていました。私たちも、当然、レンガの壁に突入するシーンを再現してみました。ただ、あまりに本気でやりすぎてしまったため脳震とうで意識を失ってしまいましたが。(Just joking!)

 

<シャーロック・ホームズ>

 冗談ついでに次に立ち寄ったのがシャーロック・ホームズ博物館です。キングズクロス駅から地下鉄で3駅のベーカーストリート駅近くにあります。駅前にはホームズの像がちゃんと建っています。

 シャーロック・ホームズは、ご存知あのアーサー・コナン・ドイルの書いた小説の主人公の偉大なる名探偵ですが、その親友ワトソン博士と下宿していたところが、ベーカー街221B番地です。小説によると1881年から1904年まで住んでいたそうです。勿論、架空の小説の話ですから実在はしません。当時もベーカー街には100番地までしかなかったそうです。しかし、この辺がイギリス人のユーモア溢れるところで、それらしい建物が、“ここがホームズが住んでいた下宿の建物だ”として、現在政府が保護する文化的建築物としてリストされ博物館になっています。

 入り口には多くのシャーロキアンが行列待ちして、ホームズ風の格好をさせてもらって写真を撮っています。博物館の2階にはホームズの居間が再現されていて、本当に昔テレビ映画で見たそのままで、今にもホームズとワトソンが現れそうな雰囲気です。と、思いきや、本当にワトソン博士がいました。勿論お遊びで扮装した人ですが、こちらもホームズに扮して「やあ、ワトソン君元気かね。例のあの事件だが・・・・」てな会話をしながら記念写真を撮りました。さらに3階から4階にかけては小説にちなんだ展示や主要な登場人物の蝋人形などがたくさんあり、無邪気に楽しめる博物館でした。

 シャーロック・ホームズは、単なる推理小説の主人公ではありますが、膨大なシリーズの作品群とともに現在でも圧倒的な人気を誇るあらゆる名探偵たちの元祖的存在です。その後の同種のジャンルの作品にとどまらず広範囲に多くの影響を与えています。なんせ世界のどの国でもホームズの名を知らない人を探すのが難しいくらいのキャラクターなのですから。イギリス人もきっと誇りをもってこの愛すべき世界的人物を“保存”しているのでしょう。

 

<公園>

 シャーロック・ホームズ博物館はロンドン最大のリージェンツ・パークの南端にあります。折角ですのでこの公園を歩いてみることにしました。もともとジョージ4世のために1812年に造られた公園だそうで、当時摂政だったので“リージェントの”という名前がついています。

ここは本当に広くて美しい公園です。芝生はきれいに整備され、花壇には花々が咲き乱れ、森の木々は緑豊かです。大きな人口湖のボーティング湖には舟遊びのボートが見えます。人々は好き勝手にのんびりと歩いたり寝そべったりしてくつろいでいます。丁度、野外ステージではジャズバンドが演奏していて、散歩がてらの人々はスゥイングしながら楽しんでいました。

ロンドン市内には、この外にもたくさんの公園がありますが、公園巡りだけでも充実していると聞きます。これらの公園はもともと王室の狩猟場や貴族の土地だったところで、公園都市ロンドンは貴族社会の落とし子とも言われています。経緯はともあれ、日本の都市の憩いの場の少なさからみると羨ましいかぎりです。

ロンドンの公園でのエピソードを二つ。公園には勿論ごみ一つ落ちていませんが、ごみ箱は二つあります。一つは犬専用と書いてありましたが、たぶん犬の糞用だろうとは思いつつ、珍しさのあまりイギリス人に「これは何に使うのか?」と聞いてみました。その英国人、ニヤッと笑って「いらなくなった犬を捨てるのさ!」と答えました。ユーモア溢れる返答に思わずお互いゲラゲラ笑っていまいました。

さらに、ホテル近くのラッセル・スクエア公園でのこと。今回の旅でホテルから近いこともあり何回かここでのんびりしました。ある時、この公園の中心にある噴水で幼児が遊んでいました。あまりに夢中に遊んでいる幼児の姿がかわいらしく見入っていましたが、この幼児だんだんと無我の境地になり、噴水の水をかぶったり転げまわったり、こちらがハラハラするような状況になってきました。しかし周りの大人たちは誰も無関心です。親がどこにいるのか判別もつきません。こんな状況だったら日本の親は「あら、○○ちゃんダメじゃない」と直ぐ止めさせるところです。・・・ようやく、幼児も飽きて親の所に戻りましたが、親は淡々と微笑み返すだけでした。最近の異常な日本人の潔癖嗜好とあまりに過保護な日本の子育てと対比して妙に感動的なシーンでした。

さて、リージェンツ・パークに話は戻りますが、次にこの広い公園を通り抜けてロンドン動物園に向かうことにしました。ここも「ハリー・ポッター」の第1話に登場する有名な動物園です。途中、凄い夕立に見舞われて東屋で雨宿りをしながらでしたが、ロンドンの公園歩きを十分に堪能しました。

 

<運河とマーケット>

 公園を歩くこと30分程でやっと動物園近くまで来ましたが入口も分からずにうろついていると思いがけず美しい運河に出ました。ここが、まぁ何とも風情のある運河でした。・・・そこで、動物園は止めにして暫しこの運河沿いを散策することにしました。この運河、公園の北側を通っているリージェンツ運河と言います。19世紀にテムズ河から延びて内陸の水運のために造られたようですが、その後の交通の発達により、現在は実用の役割を終えています。今は、当時の風情を残して観光のリバーボート(細いのでナローボートと言います)がのんびりと往復しています。

 以前テレビでイギリスの田園風景をバックに運河をナローボートがゆっくりと旅する映像を見たときから、こういう風景にずっとあこがれていました。なにかイギリス人の古い良さと自然を大切にしているライフスタイルを目の当たりにするようで嬉しくなります。

川沿いの歩道は静寂につつまれ、散歩をする人々や釣り人が見えます。釣り人に「この先はどこに着くのか」と聞くと、「もう少し行くと船着場さ」という答え。迷わず船着場まで足を伸ばすことにしました。

さて、運河の船着場はカムデン・ロックというところ。(ロックとは水門のことで、高低差のある運河区間の水面レベルを調整して舟が行き来できるようにするところです。)ここに大きなサプライズがありました。カムデン・ロック・マーケットという凄いストリートマーケットがあったのです。ロンドンのストリートマーケットは面白いという話は聞いていましたが、これほどのものとは思いませんでした。ロンドンっ子と観光客でごった返し、まるでラッシュアワーのようです。古着やファッションから日常品、エスニックな雑貨、各国料理の店など種々雑多な店がひしめき合い、まるで東京の原宿とアメ横をひっくり返したようなところです。さらに、パンクファッションやモヒカンヘアーのお兄さんやお姉さんもあちこちにいて怪しい雰囲気もあります。ロンドンの若者に一番人気のストリートマーケットだそうです。ここでイタリア人のお兄さんからTシャツを値切って購入しました。

リージェンツ運河もカムデン・ロック・マーケットも、今回の街歩きで偶然遭遇したところですが、ロンドンの有名な観光スポットとは一味違う魅力を発見しました。予定外のこういう気ままな街歩きも思いがけない驚きがあって良いものです。

 

<イギリス英語>

 さて、気ままな街歩きも夕方になり地下鉄を使って帰ることにしました。ロンドンの地下鉄は初めての旅行者にも便利な乗り物です。表示も分かり易いです。表示といえば、地下鉄の出口は「WAY OUT」となっていました。各国を旅していると色々な所に入ったり出たりするので最初に覚える単語がこの“出口”という単語です。イタリア語なら「USCITA」、フランス語なら「SORTIE」です。同じ英語でもアメリカ英語なら「EXIT」でしょう。

 ついでながら、ここで今回のロンドンで出会った面白いイギリス英語をご紹介します。まずは「TO LET」。これは街中で多く見かけました。間にIを入れるとTOILETになりますが、これは「貸家」という表示です。アメリカ英語なら「FOR RENT」ですね。

 次に「LOO」。聞きなれない単語ですがトイレのことです。TOILETの婉曲表現らしいですが、公共の場所でもこの表示を見かけました。語源はフランス語という説もありますが諸説あって、以前Oxford English Dictionary編集部でも調査中という話を聞いたことがあります。

 地下鉄は、アメリカではsubwayですが、イギリスではundergroundまたはtubeです。何故tubeなのかは、ロンドンで地下鉄に乗ると直ぐわかります。くり貫かれたトンネルはほんと管のようで電車も管のような形をしています。よくもこんな窮屈な乗物と感じますが、世界で始めて地下鉄ができたのがロンドンなのですから敬意を払わない訳にはいきません。

 英語の発音に関しては、一般にアメリカ英語に比べてイギリス英語は聞きにくいと言われます。これは私たち日本人が普段耳にするのが圧倒的にアメリカ英語が多いせいでしょう。さらにコクニー訛りなどという英語はほとんどわからないらしいです。ただし、イギリス人はブリティシュ・イングリッシュに誇りを持っていてアメリカ英語の発音を軽蔑しているとも聞きます。今回現地でイギリス人がどんな英語を話すのかは大いに興味のあるところでした。そこで、実際どんな英語が聞かれたかについて次にご紹介します。

 

<インタビュー in London>

 旅をしていて現地の人々と話す機会はホテルや食事、ショッピングなどがありますが、それだけでは話す内容が限られてしまいます。なんとかもう少し深く話せる方法がないものかと考えて思いついたのがインタビューです。

インタビューの方法は、何か話してくれそうな人にねらいを定めて、「英語を勉強しているのでちょっと話を聞かせてください。」と録音機のマイクを向けます。質問は「どちらにお住まいですか?」とか「日本と言うと何を思いつきますか?」さらに「あなたの国で自慢できるものは何ですか?」等という簡単なものです。すると、皆さん気さくな人が多くて、だいたいは快く答えてくれます。後で録音した内容を聞くとリスニングの勉強にもなりますし、何よりも現地の人々とコミュニケーションした良い思い出になります。昨年のパリでも実行しましたが大成功でした。

今回、インタビューさせていただいたのは、ホテルのボーイさん(スペイン人)、カフェのウェイトレスさん(ポーランド人)、シェイクスピア・ウォークで案内してくれたガイドさん(ロンドン)、大英博物館前でくつろいでいた学生さんたち(スペイン人)、ディケンズ・ハウスのスタッフさん(ロンドン)、キングズクロス駅前にいた通行人(イギリス人)、キングズクロス駅9と3/4プラットホームにいた青年(ロンドン)、シャーロック・ホームズ博物館のワトソン博士(ロンドン)、ヒースロー空港の化粧品店にいたファッショナブルなお姉さん(ロンドン)など、ざっと10数人に上ります。

これらのインタビューを通して、「日本と言うと何を思いつきますか?」という質問では、”beautiful country”、 “technology”、 “Fujiyama” 、“samurai”、”sushi”等というややステレオタイプの答えが多いですが、「あなたの国で自慢できるものは何ですか?」という質問には、本当に皆さん多様で意外な答えもあり、聞いていて面白いものがあります。

これらの音声はインタビューのページにありますので、どうぞお聞きください。

 

<旅の終りに>

 さて、このようにして4泊5日の短いロンドンの旅も終わりました。イギリスいやロンドンのほんの一部を垣間見ただけですが、”Seeing is believing.”と言うとおり、旅の前にいろいろと読んだり調べたりしても、自分の目で見て初めて本当の姿がわかります。この旅で遭遇した数々の驚きや発見そして感動は忘れられないものになるでしょう。

 「イギリスは、何年いても飽きない味わいがあり、イギリスの深さは、底知れぬ深淵」とも言われています。今回は浅瀬でちょっと眺めただけでしたが、是非再訪して思う存分深みにはまりたいものだと思います。