パリの美術館巡り

2006年夏パリの美術館巡りをしてきました。この夏は猛暑でかなりハードな旅となりましたが、夏の夜は10時過ぎまで明るく3日間の滞在をフルに使ってパリの3大美術館等を楽しむことができました。今後行かれる方のために感想を含めてざっとご報告します。



<ルーヴル美術館>

 まずは何はともあれ本命のルーヴル美術館ですが、やはり巨大な美術館でした。観る者は多くの作品群と対峙して精神的緊張を強いられます。さらに元々が宮殿で歴史的に異なる建物がつなぎ合わさったため動線が複雑で体力的にも疲れます。迷宮美術館とはルーヴルのことかとさえ思えます。古代美術、絵画、彫刻、工芸等々とても短い滞在では見切れません。でも、お目当ての名画との遭遇は感動的なものでした。モナリザの本物は筆舌に尽くし難くすばらしい。アングル、ドラクロア、ルーベンス、ラトゥール、フェルメール等々にもしっかりお会いできました。


<オルセー美術館>

 次は印象派の殿堂オルセー美術館です。セーヌ川を挟んでルーヴルのほぼ向い側にあります。実に美しい美術館です。もともとは駅舎だったものを改造した建物ですが美しく装飾された天井と大空間がいい雰囲気を醸し出しています。動線も分かり易く安心して鑑賞できます。なによりも印象派の超有名作品との幸せなご対面に至福の時間を過ごせます。イチ押しの美術館です。

<オランジュリー美術館>

 次はモネの睡蓮の大作があるオランジェリー美術館です。今回の旅の密かな楽しみにしていたところです。改装工事のため数年ぶりにこの春から再公開となりました。自然光を取り入れた二つの大きな専用室でぐるりと睡蓮に囲まれて暫し陶酔感にひたりました。モネは、パリ近郊ジベルニーのアトリエ近くに日本庭園をわざわざ作って一連の制作をしましたが、今回そこへも訪れてみました。一層の味わいが深まりました。是非足を延ばすことをお薦めします。

<ポンピドー国立近代美術館>

 最後はポンピドーセンターにある国立近代美術館です。現代美術のための美術館ですが、何よりも建物が現代アートとなっています。建設当時は鉄パイプやガラスでできた外観が物議を醸しましたが、今ではパリの街に溶け込んでいます。中の展示も実験的な作品が現在進行形で展示されています。パリの子供たちが学芸員の説明を一層懸命に聞いている姿が印象に残りました。

 

今回の美術館巡りは、以上の美術館で時間いっぱいでしたが、パリには小さな魅力的な美術館がもっともっとあります。そして、なによりもパリの街自体が美術館のような美しい街ですっかり魅了されてしまいました。機会があれば是非再訪したいところです。

パリの美術館巡りのコツ

 今回の経験から、今後実際にパリの美術館巡りをする際には知っておいていた方が良い実用的なお役立ち情報の幾つかをご紹介します。

<カルトミュゼ>
 パリの主要な美術館を自由に出入りできるカルトミュゼという入場券があります。2日券(30)と4日券(45)等があり美術館の窓口で購入できます。カルトミュゼがいいのは、その都度入場券を買う手間が省けるのは言うまでもなく、入館待ちの長蛇の列に並ばなくても良いことです。今回は炎天下で並んでいるところもありましたので大助かりでした。

<開館時間>
 ルーヴルとポンピドーは火曜が休館で、オルセーは月曜休館です。またルーヴルの水、金とオルセーの木は夜9時45分まで開館。・・・等、日本のように一斉に月曜が休館日ということではないので、事前にそれぞれの休館日と開館時間を調べて効率的に回る計画を立てておいたほうが良いでしょう。なお、現地のガイドから聞いた話ですが、フランスはストライキが頻繁で美術館も突然休館になることもあるようです。

<交通>
 パリはコンパクトにまとまっている街で、主要な美術館も歩こうと思えば歩ける距離にあります。やや遠いところでも地下鉄で数駅です。パリのメトロは14線が網の目のように走っており乗り換えのコツさえ覚えれば、地図持参でどこにでも行けて便利です。

<ガイド>
 日本人ガイドが案内してくれる美術館巡りの現地ツアーもあります。ルーヴルは広くてお目当ての作品を探すのに苦労しますので、時間と体力を考えると初めての場合はガイドに案内してもらった方が良いかもしれません。(自由に見たい所には行けないでしょうが。)

<写真>
 日本の美術館では写真撮影は禁止されていますが、パリの美術館は原則自由です。ただし、フラッシュは禁止されています。例外もあり、ルーヴルでは、なぜかモナリザの周辺が撮影禁止でした。今回よくわからずにモナリザの前で記念写真を撮ろうとしていたところ厳しく制止され、ガードマンの腕だけの写真が撮れました。

<レストラン>
 美術館巡りは結構疲れます。そんな時一休みにいいのが美術館のレストランです。作品も眺められる、なかなか雰囲気のいいレストランもありますので、ランチやコーヒータイムにお薦めです。

<ボンジュール>
 フランスではどこでも“ボンジュール”という挨拶が欠かせません。さらに挨拶ばかりでなく、美術館に出入りする、道を尋ねる、買物をする、レストランで注文する、乗り物に乗る、・・・・等々の旅に欠かせない簡単なフランス語の日常会話をいくらかでも知っていた方が絶対いいです。(もちろん英語でもほとんどのところで大丈夫ですが。) 今回の旅でも必要にせまられて何人かのフランス人とカタコトの言葉を交わしましたが、皆さんとても親切でした。