マイルストーンズ投資BOOKS-2
本当に成功したい人の低位株パソコン投資術
1億円への扉がここにある
著/米田育廣 A5判・214ページ・ソフトカバー 定価/2,940円(本体2,800円+税)
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「相場士になりたい」
これは筆者が中学校の授業で「将来何になりたいか?」という質問に対して提出した内容です。「師」と書くところを間違って「士」と書いたのは恥ずかしいことですが、「弁護士」「公認会計士」など「士」の付く職業は儲かると聞いていたので、筆者にとって疑問の余地がありませんでした。
なぜ相場師を選んだのかといえば、当時流行していたタカラの「人生ゲーム」の影響でした。ゲームの中で株券を買えば、簡単にお金を殖やすことができたからです。もちろん、その回答を見た先生があきれ顔だったことは容易に想像がつくでしょう。
1980年、筆者が高校生のとき、株の勉強をしようと本屋へ行きました。当時の相場本の出版数はおそらく現在の10分の1程度で、しかも本物の相場師が書いたような良書は全く見当たりませんでした。あとでわかることですが、本当の相場師は売買だけで生活できますから、本を書く必要などありません。したがって、相場の実践で参考になる売買譜なども世に残らないことになります。今は膨大な量の相場本が毎日のように出版され、ほとんどが本を売って儲けようという”株式評論家“の書いた本とはいえ、中には良書もあるので以前と比べれば選択の幅が広がりました。
「相場師」という言葉の響きは、謎めいています。筆者はこの職業にずっと憧れを持ち続け、最後の相場師と呼ばれた”是川銀蔵“氏の存在を大学生のころ知りました。氏が東京電力や新日鉄などで大儲けする姿を見て、「相場師」への憧れは、いつしか目標へと変わりました。しかし、社会に出て少ない資金を貯めて最初に新日鉄を2000株買ったとき、「相場師」とは全く縁のない自分がそこにいました。毎日、日経新聞が気になり、暇があれば証券会社店頭の株価ボードを見に行き、ちょっと儲かったら「おれは天才だ」と勘違いしてしまうという、いわゆる「普通の投資家」が……。
そうこうしているうちに、是川銀蔵氏が亡くなりました。最期は是川氏もバブルの下げを読みきれずに大損し、自伝の印税も差し押さえられ、子息が用意した養護施設で寂しく他界したとのことです。この話を聞いたときはとてもショックを受け、一つの目指すものを失った気持ちでした。それでも「相場師」になるという目標は消えず、話は続きます。こうとも考えました。筆者は根っからの理科系、難しい計算やパソコンが得意なので、当然その能力を生かせば「現代風相場師」になれるのではないかと。売った、買ったの大勝負で生き抜く「昔風相場師」では今の時代は生き残れない、是銀さんが消えたのも時代の流れだと……。こんなふうに勝手に自分で解釈したものでした。
それから当時では50万円近くもしたパソコン一式を買いこみ、株価を中心とした数字的な分析を行い、それを売買に生かそうとしました。しかし、どうしてもうまくいきません。苦労の割には「普通の投資家」と成績が大差ないのです。「普通の投資家」から脱却できない自分が依然としてそこにいました。
そんな迷っていた時期に、パソコン通信の掲示板で林輝太郎氏の存在を知り、「FAI投資法」と出会います。紙とボールペンだけでシンプルに儲けている姿は、とても異質に見えました。しかし、自分の目指す新たな道が見えたのです。問い「相場を行う人の最終目的は何なのだろうか?」
答え「相場で儲けること」この簡単な答えにたどり着くために、いろいろ深く考えすぎたようです。パソコンを使おうが紙やボールペンを使おうが、相場師だろうがサラリーマンだろうが、相場を行うのには関係ありません。儲けるために自分が何をすればよいのか、それが本質なのです。
今の日本の投資家は、良質のパソコン環境が格安で整い、世界一安い売買手数料と回線接続料で株式投資が行えます。銘柄情報も消化しきれないほど得ることができます。しかし、実際に儲かっている人は少なく、200〜300万円のヘソクリを持った新参者が登場しては損をして消えていくような状況になっています。敗因の多くは「パソコン依存症」という部分にあると筆者は思っています。
パソコンで手数料の安い証券会社を探す。パソコンで裏情報を得る。パソコンで誰よりも早く注文を入れる。パソコンでグラフを眺める。パソコンで…パソコンで……。
こんなことではパソコンを使うことに多くの労力を費やしてしまい、実際の売買に関する感覚的なものがおろそかになってしまいます。確かに、パソコンはデータを瞬時に計算させたり、大量の情報を保存するのに優れています。しかし「ほったらかし」で巨万の富を与えてくれるものではありません。いまだにパソコンを使えば人間の能力以上のことができるという信仰のようなものが根強いのも事実ですが、実際には道具の領域を越えるものではないのです。
筆者はパソコンをうまく相場に使うことを得意にしていますし、本書のPart2にはこれからパソコン環境を整える人のための簡単な解説もしてありますが、パソコン偏重の投資スタイルには全く賛同していません。逆に「結果の出る(儲かる)方法があれば、パソコンは不要」というコトバを現在は頻繁に使っています。
書店に積まれている多くの相場本を見ると、パソコンに囲まれながらウハウハ生活というようなことが書かれています。もしあなたがそのような生活に憧れているのなら、本書は全く参考にならないでしょう。なぜなら本書は、本当に地道でつらい相場という仕事に、ほんの少しだけパソコンを取り入れて効率を上げましょう、という趣旨で書かれているからです。それでは、本書を読んだ多くの読者が、相場で独り立ちできることを期待しながら書き始めることにします。

米田育廣

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投資家として最初の目標となる一億円。
その扉を開けてくれるのがこの本なのだ
まず一億円。
多くの投資家が目指す金額であろう。しかし、その目標を達成できないどころか損失となる投資家が圧倒的に多い。それは、大半の投資家が「株は楽に儲かる」という誤った認識のもと、誤ったやり方、つまり証券会社のレポートや投資雑誌、ネット掲示板を読みあさったり、無意味な分析を行ったりすることで一攫千金を狙うためである。
株の売買で利益を残すには、正しいやり方を身につけ実践することが第一歩だ。正しいやり方はいろいろあるが、この本に書かれているFAI投資法はそのひとつである。この投資法は、銘柄を選定するルールが明確であり、実践方法が確立されいる。そのため努力さえ怠らなければ、初心者にもやさしく利益を積み上げることができるやり方だ。
本書は、そのFAI投資のやり方とともにパソコンをどのように投資活動に生かせば有効かということが実践者の立場からわかりやすく書かれている。著者ならではの本音が網羅されており低位株投資を行う投資家にはもちろん、それ以外の方にも役立つ投資家必読の書である。
投資家として最初の目標となる一億円。その扉を開けてくれるのがこの本なのだ

福田修司(アナリスト)

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