親と同居し収入を得ている20〜30代が、未だ結婚する気がない。彼らは、現役の父親の高収入によって家賃等の生活費をまかなってもらっていることから、自分自身で稼いだ給料は全て自由に使うことができる。ところが、結婚して家を離れてしまうと自分で稼いだお金を生活費にしなければならない。特に娘の場合は、彼女の父親と同等の収入を得ている夫を探すことは無理に等しい。生活水準を下げられない彼女たちを、親に寄生するという意味で東京学芸大学助教授の山田昌弘さんが「パラサイト・シングル」と名づけた。
晩婚化や少子化に憂えているのなら、娘や息子をいつまでも寄生させず、外へ放り出したら如何だろうか。社会全体を憂えるなどという態度は個々人にとって古すぎるのかもしれないが。
1999年7月19日 『よいこの今ドキ語』 毎日新聞東京本社版朝刊4面
羽渕一代 はぶちいちよ
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