女性誌は「カリスマ」が大人気。『シザーリーグ』で話題のカリスマ美容師に始まり、カリスマショップ、カリスマブランド、カリスマ店員などもいるらしい。
用例を見るかぎり、「影響力のある」「優れた」「人気のある」といった形容の最上級であって、カリスマ本来の「超人的・非日常的資質」からはほど遠い。なにより、「カリスマ」の数があまりにも多いので、「スーパーカー」から「スーパーモデル」に至る、手垢のついた言い回し「スーパー」の単なる後継に思えてくる。
寺山修司というカリスマがしばしば引用した劇作家ブレヒトに倣うならば、「カリスマのいない時代は不幸だが、カリスマを必要とする時代はもっと不幸だ」。
「カリスマ」多発の今日にも当てはまるだろうか。
1999年7月26日 『よいこの今ドキ語』 毎日新聞東京本社版朝刊4面
松田美佐 まつだみさ
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