「R&B」

 リズム&ブルースの略に由来するということは、ちょっとモノ知りな音楽好きの間では常識だろう。だが、かつて黒人音楽の代名詞だったこともあるこの言葉、最近の「R&Bブーム」といわれる際の意味は以前と少々違う。ラップ音楽に代表されるようなヒップホップと呼ばれるビートに、メロディアスな歌が乗っかった曲のたぐいを総称してこういうそうだ。  そんなブームの頂点にいるのが、CD売り上げ史上最大のヒットとなった宇多田ヒカル。佐藤良明氏のベストセラー『J−POP進化論』によれば、黒人音楽のノリと西洋音楽の流れが融合しつつ、日本の庶民の歌の伝統に着地していった先にあるのが彼女の曲だとか。そういう意味では、宇多田が演歌歌手の血をひいているのも偶然ではないのだ。

1999年8月23日  『よいこの今ドキ語』  毎日新聞東京本社版朝刊4面

岡田朋之 おかだともゆき  

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