「無料パソコン」

 「無料でパソコンをもらえる」というサービスが話題だ。実際は、月々いくらの買い物をしなければいけない、特定の商品を購入しなければならないなど様々な条件がある。しかし初期費用はほぼ不要。「パソコンは高い」と二の足を踏んでいた人々に人気を呼び、例えばFreePC社のサービスには1万人の枠に125万人の応募があったという。
 人気の秘密をメール専用端末の好調な売れ行きと関連して考えると、いま生活者が欲しいのは「パソコン」そのものでなく「インターネット/メール」であり、ケータイに代表される「コミュニケーションそのもの」だということも見えてくる。言いかえれば、透明なメディアとしてのパソコンを生活者は求めており、そこが受けているサービスなのかもしれない。

1999年9月6日  『よいこの今ドキ語』  毎日新聞東京本社版朝刊4面

高広伯彦 たかひろのりひこ  

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