「デッドビード・ファーザー」

 deadbeat-father、直訳すると借金踏み倒しの父親、怠慢な父親となる。離婚した後、子育てを母親に一任して、自分は育児費用を支払わない・支払えない父親が米国で多数現われたことからこの言葉は生まれた。つまり「子どもの養育費を出さない父親」という意味である。
 女性の社会進出が果たされつつあるとはいえ、米国と同様に日本でも「母親が育児をし父親は金を出す」という考え方が一般的である。お金を出す立場の男性諸氏は、たとえ離婚の予定がなくとも、教育費や保育費の高騰には頭が痛いことだろう。こんな悩みを解消するためには、育児も養育費も父親と母親とで平等に負担するというのも一案である。そうすれば、責任の苦しみは半分に、子育ての楽しみは2倍になるのでは。

1999年10月11日  『よいこの今ドキ語』  毎日新聞東京本社版朝刊17面

羽渕一代 はぶちいちよ  

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