京都出身のデザイナー集団、グルーヴィジョンズの送り出す少女キャラクター。つぶらな瞳とユニセックス的な風貌が合わさった愛くるしい表情が、若者の人気を呼んでいる。今年は各地でグッズの巡回展があり、先頃アルバムＣＤも発売された。
　ある意味バーチャルアイドルの一種ともいえるが、彼女にはプロフィールの設定が何もない。これまでのＶＲアイドルがあまり成功していない中での高い人気は、むしろその人格性の希薄さにありそうだ。ある種の空虚な存在である点はハローキティなどのキャラクターに近い。実の所、それこそが社会学者ボードリヤールが言うところの原型なき模像としてのシミュラークル的存在なのだ。その意味ではまさにデジタル時代のアイドルといえるのかもしれない。

1999年11月14日　　『よいこの今ドキ語』　　毎日新聞東京本社版朝刊6面

岡田朋之　おかだともゆき　　

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