昨年後半から「動物占い」に押され気味だった風水も、今年が竜の年であるからか、再び勢いを盛り返しているようだ。風水地理の略語で古代中国を起源とし、「竜脈」とよばれる運気の流れを地理や方位から鑑定する術のことだ。
最近の人気ぶりは「Dr. コパ」こと小林祥晃の「環境開運学」などに端を発する。色と方角がとくに重視され、金運を招く家具の配置だとか、恋愛に成功するカラーリングといったものが示される。
開運を願うのは人の世の常だが、これほどの過熱ぶりはある種異様だ。その背景には、努力しても報われない社会への苛立ちがあるとはいえまいか。「立身出世」ももはや死語だが、それが廃れた時代は果たしていい世の中なのかどうか。もう少しじっくり考えておく余地があるように思う。
2000年1月17日 『よいこの今ドキ語』 毎日新聞東京本社版朝刊4面
岡田朋之 おかだともゆき
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