マンナビ

 携帯用位置情報システムの通称。普及率10%を越えたカーナビの歩行者版である。
 よっぽどの方向音痴以外は、自分の現在地と目標地点までの経路を教えてもらうことなど不要だと感じるに違いない。しかし、メディアは「必要だから普及する」とは限らない。携帯電話を考えるとわかるが、なくても済んだのに、一度使い出すと手放せなくなるものも多い。実際、「道を覚えなくなる」とのアンチ・カーナビ派に対して、カーナビ・ユーザーは便利さの「発見」を口にする。
 さて、マンナビにはお店や飲食店などのタウン情報も表示される。よく知っている街を歩くときに使えば、知らない街にいるような気になるかもしれない。マンナビはむしろ「迷子」を増やすのではないか、そう思えてくる。

2000年3月20日  『よいこの今ドキ語』  毎日新聞東京本社版朝刊4面

松田美佐 まつだみさ  

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