「beat(ビート)」

 マサチューセッツ工科大のN・ネグロポンテが提唱し、スウォッチ社が同社初のデジタル時計に組み込んだインターネット時代の新しい標準時。一日を1000beatとし、1beatは26.4秒となる。
 近代的な産物であるグリニッジを基準とした世界標準時は、地球を1時間ごとに24の時間帯に分割。人々は居住地の「時間」に縛られ生活をしてきた。しかし、全世界的なネット環境の整備により、他時間帯に住む人々との時差を否応なく経験している一方、それに捕われない共時的感覚も得ている。ネット利用によって生活スタイル/生活時間が多様化すると、いかに「同じ時間」を享受するかがコミュニケーションの本質となる。そうしたネット・コミュニケーションの変容を見越した新しい「時間概念」と言えよう。(メディア文化研究者)

1999年5月17日  『よいこの今ドキ語』  毎日新聞東京本社版朝刊12面

高広伯彦 たかひろのりひこ  

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