「不正アクセス」

 ネットワークに接続したコンピューターに対し、外部から他人のID(認識番号)やパスワード(暗証番号)を盗用したり、ニセのIDを用いたりして侵入すること。これが掲載されるのは成立後かもしれないが、今国会で不正アクセス防止法案が審議中だ。
 不正アクセスを通じてデータが盗み見されたり、他人になりすましてネット上で狼藉をはたらいても、現行法では摘発が難しかった。今回見送られたログ(通信記録)の保存義務も、捜査の決め手として必要性を説く声が少なくない。だが、それを口実としてプライバシーに踏み込む動きがあるのは問題だ。同じく審議中の盗聴法案も含め、未知の犯罪を恐れるあまり、個人情報の保護がおろそかになる危険性についてはもっと注意が払われるべきだといえよう。

1999年5月31日  『よいこの今ドキ語』  毎日新聞東京本社版朝刊12面

岡田朋之 おかだともゆき  

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