水スペ川野口ノブ探検隊

「探検隊隊則!武道!」
「…隊長には絶対服従…」
−逆上ほむらと古現武道のいつもの会話(とっても少年探検隊/あろひろし/集英社)


見出しの所にも書きましたが、ベースは完全なる「とっても少年探検隊」であり、中身もまぁ、ぶっちゃけあっちこっちから摘んできたようなパクリ寸前のネタで構築されています。中堅大手のライアーソフトがこんな作りで良いのかなぁ。と思ってしまう出来で、他にライアーのゲームをやっていないので、コレがものすごく不出来なのか、上物の部類にはいるのか、判断尽きませんが、単体で評価するならば、ギリギリ合格点は取ってるけど、色々とスレスレの行為が目立ち、コレで良いの?。と言うところです。

まぁ、買う方も「とっても少年探検隊」をイメージして購入している人が殆どでしょうから、モチーフとしては良いと思うのですが…少年探検隊を知っているからこそ、あれ以上のものを期待するのが道理。と思うのですが、からっけつでした。 クラッシャーアイアン関(キャプテンラブ)の言葉を借りれば「そんな借り物の言葉では、鎧のシミにもならんわ」ってレベル。ちなみに、キャラ設定もほとんど、少年探検隊を踏襲つーか、まんま。探検テープを報道部に売るのもそう。

そもそも、なぜに公立大にしてしまったかも、全く分からず、私立でええやん?。私立の方が、無茶きくやん?。ネタバレするけど、エンディングBパターンだと、こんな事もあろうかと、校舎をロボに改造しておいた。と言うネタなんですけど、公立大の校舎を一個人でいじれる訳がねぇ。私立なら問題ないのに。と言うか、この校舎がロボになると言うネタは、同じくあろひろしの「優&魅衣」だったりします。

細かい設定ミスを上げればきりがなく、例えば、林(妹)は「私は19才で、ノブより年下だ」と言うのだが、ノブ一年生なので、二十歳で一年生…二浪です。まぁ、別に何浪してても良いんですけどね。

幸徳井は、まぁ、普通に読むと「こうとくい」って読んじゃうし、ウィキでもどっちでも良い。みたいになってるけど、確実に「かでい」と読む…ハズ。賀茂家の系統なんだけど、流れ的には、勘解由小路家から派生しているので。勘解由小路も、私が学生の頃は「かげゆこうじ」って習ったし、ATOKも「かげゆこうじ」で、変換するんだけど、「かでのこうじ」が正しい模様。ここから流れたんで「かでい」であろうと。「こうとくい」って読みたがる人は、幸コ秋水から逆上がりしたから。分家は、本家と読みを変えたり、漢字を減らしたりするのが常とうなので。

後はまぁ、おそらくシナリオライターが大学に進学していないようで、高校の組織図で色々と設定されているところが目に付きます。細かい所なんですが、手を抜いて良い所と、手を抜いてはダメなところがある訳で、この高校の組織図で大学生活を描くというのは、第二次大戦の映画で、連合軍の兵士がM16を持っているような違和感となります。ベトナム戦争初期を描いた映画なのに、M16A3持ってるのは、別に良いと思います、私は。

自治寮、学生寮、部室、サークル室など、話ごとに呼び方が変わっていたりするのもアレですわね。今思ったけど、自治寮って、自治領のシャレ?。 学生会って、高校までの生徒会のように権力ないし、ウチの大学だと、どっかの部長が兼務することになってて、部長会の進行役レベルだったなぁ。まぁ、ウチの大学、新規のサークルすら作れないような規則があるぐらいだったけど。

ノブの提出した論文に不備があって単位が取れない。とかも、実情知らない感じだよね。一般学生は基本的に論文を書くのは卒論ぐらい。あとは、レポートって呼ばれるモノをせっせこ書きます。出席日数も、そんな強力な縛りじゃない。むしろ、出席率良いとテストの点とかレポートの出来を無視して単位上げます。ぐらいの救済点な感じだし。ギリギリ足りてるとか、足りないから単位取れないとか、計算して足りてる足りてないレベルではないと思うのですが。まぁ、出身校以外の大学知らないので、そう言う大学もあるのかも知れませんし、ウチの大学がおかしかったの知れませんけども…大学、無駄に増えてるし、意味不明な学部もたくさん出来てるしねぇ。

留学も、基本的に一般教養が終わってないと出来ないはずなので、募集の基本は三回生だよねぇ?。

一番、あかんのは、キャラの信念が、コロコロ変わる事。ハル子なんて、実銃なんて。とかいってたのに、あっさりと、12.7ミリが効かない?。かと思えば、ガスガンに戻ったり。フィーネのネジも、殆ど出番無いしねぇ。 と言うか、医療担当にしないとネジ化出来ないって、どっかに書くべき。

そんな感じで、手を抜いちゃダメなところで、手を抜いている感じがするゲームです。システム的にも、探検中のイベントとすれば、それなりに変化が出たはずの、サブシナリオも、全部おまけコーナーにぶっ込む、流行の手抜き構成。探検ネタの順序も編集がおかしく、商店街が終わって、ソロモンの秘宝の位置が判明。つったら、普通、次は、ソロモンの秘宝でしょ?。なんかつなぎの探検が間にいるとと言う演出ミス。こういうのが、何回かあります。なんで間に差し込んだかなぁ?。

検証で、期日ギリギリにクリアすると、七草がゆのイベントが発生しなくなります。ちゃんと、商店街>ソロモン捜しになる訳ですが、コレはコレで問題があります。
七草がゆ探しは、順当にクリアした褒美なのか、と言う事です。七草がゆのシナリオをプレイするのが、当たり前の難度と設定しているならば、上記の通り、流れをぶった切る下手な編集ですし、特典というか、ご褒美シナリオならば、普通にプレイしていれば発生するため、そもそもの難易度設定が調整ミスと言えるでしょう。



システムは、比較的遊べるのが救いですが、基本は作業プレイ。小イベントの連続で飽きる。おまけに持ち込んだサブシナリオを探検中に発生してくれれば、まだ、メリハリが出たと思うのですが。フラグも手がかりが全くなく、日数かと思ったら、どうにも、トータルの探検ポイントのようです。初回クリア時は、林(妹)のイベントすらないほどに高速クリアしてしまったようです、私。エンディングの分岐すらよく分からず、期日が速い、遅いなのか、トータル探検ポイントなのか。

まぁ、そんな訳で、シナリオもダメ、システムも微妙、ギャグセンスもヲタオンリー、つーか、摘んで来すぎ。まぁ、それでも、それなりに遊べるのは、イベントが自動発生でない、フラグが妙に分かりにくいせいでしょうかね。探検の小イベントも、完全にランダムなので、見た事のないイベントを発見する喜び…と善意解釈しますけど、単なる完全ランダムの調整放棄とも取れる訳で。

そんな訳で、技術力と脚本力は、まぁ問題ないけど、企画力、演出力、シナリオ力は、大丈夫?って所でしょうかねぇ。
エンディングも2パターンあるのだけど、やはし、普通に考えたら、ヒロイン、ノブとHイベントある方が、トゥルーエンドだよねぇ。だけど、非常に盛り上がらないんだよね、コレが。もう一つの方が、まだマシ。そもそものネタは、まんまスプリガンのラストだったりするし、ガイアと接触て。アヤの存在意義も、非常に曖昧というか、投げっぱなしジャーマン。国常立とかも、なんかのパクリだし。

シナリオも、まぁ、ネタは正直つぎはぎだらけの感じは否めず、ギャグシーンも、「あのマンガのダレ萌え」の様な、ヲタ会話で誤魔化しているし、ここまで、露骨でなくても、映画ネタとか、殆どそのままだったりと、正直低俗。 単発ネタの連続で、伏線とかもほぼ無いので、単発の盛り上がり以上のものが存在しない。個の物語でも、特に伏線がある訳でもないので、探検スタート前の前振り、探検、出オチ。見たいな繰り返し。おまけ集に入る単発ネタも、絶対に本編に組み込むべきで、特に探検中にイベントとして引き起こすべき。なんか、おまけ集の一発ネタとしてまとめれば、確かに楽だけど…それでいいの?。まぁ、設定解説とかしないだけマシだけど。


メインストリーリーに一貫性がなく、と言うか、メインストーリーが存在せず、思いついたネタをかき集めました。って感じが、かなりするのね。ソロモンの秘宝探しの間に、別の冒険挟む編集とか見ても。がっちりとしたメインストリームがあって、バラバラの探検に見えて、最終的に一つの事象に繋がらないと、シナリオとは到底呼べない。間に、脇にそれるのがあっても良いけど、メインとしての流れを作る必要が絶対にある。

私だったら、最初の冒険で見つけるのが「川野口昭雄のノート」にする。むしろ、プロローグの探検をチュートリアルにしてしまうなぁ。 校長の間でノート発見。そして、後は、ノートに従って、探検を繰り返し、手がかりを入手しながら最終秘宝へ。何個かの手がかりは、藤村山に奪われても良い。むしろ、藤村山がわの進展と並べて、レースにしても良い。完勝>トゥルーエンド、勝ち越し>グッド、負け越し>バッドな、エンディング分岐で良いんじゃないかな?。

少なくとも、昭雄ノートに導かれて探検。と言うだけで、ストーリー性というが、話の流れ、物語の連続性を作れる訳だし、それに沿う事で、ストーリー全体の謎解きという、盛り上がりも作れる。と言うか、シナリオ作りにおいて、これらが存在しないシナリオを作っている時点で、落第点と言わざるを得ないだろう。 未完だった父の探検を完遂する事で、ノブの父親越えを演出できる。

ラストの藤村山の弁も中途半端。ノブの「昔より公害とか減ってきてるし…」に対して、「ああそうさ、昭和世代が頑張ったからな。それをどうだ、お前たち、ゆとりは?。自ら考える事もなく、言われるがまま、与えられるがままの答えに付き従う。いや、考える事を放棄して、答えをせがむ。ウィキなんて良い例だよな。誰かが書いたモノを疑いもせずに信じ込む。へたすりゃ丸写しでレポート提出だ。 ひな鳥のように、ひたすら、答えをせがむお前らの何処に未来がある?、希望がある?。お前らなんぞに、未来を託せるモノか!」ぐらいは言って欲しいなぁ。



こういうコメディーって、土台をしっかり固めてから、あえて崩すからコメディなんで、最初から崩れている土台をみてせ、コメディーです。って言うのは、バグを認めず、仕様です。と言い切るのに等しい。

コレのギャグ会話が面白いって言うのは、いいかげん、ヲタ会話で、自分の知ってるマンガや映画のマニアックな所を突いてるダケってのに気がついて欲しいわ。このゲームとは関係ないのだけど、HPLネタ、クトゥルフ神話関連でこの傾向が顕著で、ホントに、ちょっと関連した名前が出たら、すぐ神話作品とか騒ぐんだよね、日本のファン。中学生じゃないんだから、こんなネタで上等とかいう、ライターには、きつく「ノー」と言う必要がある。マジで。

サフィズムの舷窓とか、行殺新撰組など、今でも評価が高い作品を残しているライアーソフトなので、シナリオ力は高いのだろうと思っていたんですが…どうも、そうではなかったようです。ここから連想するに、マンガやアニメを列記するぐらいのヲタ会話でニヨニヨするのが楽しい人たちに受けたのかなぁとか。思っちゃいます。

この「水スペ」がライアーのゲームの中でも、ずば抜けて不出来な部類。と思いたいのだけど…正直、こんな作りでは、もうライアーのゲームを買う気持ちは起きませんね。特に、シナリオライターの人は、シナリオライティングの基礎から学び直すべき。よく言うじゃないですが、起承転結が大事って。単発ストーリー並べれば、メインストーリーになる訳じゃない。メタルサーガの砂塵の鎖も同じミスをして ましたなぁ。



簡易攻略メモ

フラグが不確定なのでメモ。

エンディング分岐。コレは多分、間違いなく、時期で分岐。
エンディングA:12月ぐらいまでに、大図書館突破。
エンディングB:2月以降に、大図書館突破。



個別イベント
固定:コヤネ、アヤ、林(姉)
準固定:ノブ(エンディングAの課程で)


ハル子:
フラグが不確定のため、発生した状況
学天測ネタの植物園で、6月第二周から4周。発生しない事もある。
探検のすすみ具合は、コヤネイベント(進行度50%程度)より前に発生した事もある。
小イベントのアイテムも、無くても発生した事がある。

推論:時期+探検ポイント(ポルノポイント?)

林(妹):
蛇王国の探検で発生した事もある。大抵は、新校舎(モヒカン)
発生せずに、クリアする事も多々。

まどか、フィーネ、高子、いまだ発生せず。

と言うか、図書館でさまよえる温泉の元を入手したら、釣り竿に変わっているのですけども…バグ?
パッケやサンプル画像に上がってた温泉イベントのトリガーアイテムじゃないかと思うんですけども…どうしたものか。
 



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