ときめきメモリアル3
愛もなくなぜ作った
−フランケンシュタイン(ケネス・ブラナー監督/ロバートデニーロ出演)−
ときメモ2の意外な出来の良さに、世間では酷評されている3も実は隠れた名作なのではないかと、手を出してみたら、下馬評以上の不出来さ、そして恥知らずこの上ないシナリオ。断罪せねばならない一本となりました。メルドルにすら…というか、メルドルは、惜しいがゆえの憎しみであり、愛憎の入交がそうさせるのですが、コレは本当に憎しかないという。 ゆえに、メルドルにすら入れません。いかに、不出来さを確かめるために手を出したとはいえ、ここまでヒドイとは、想像も出来なかった。 永遠に中空を漂うが良いサ!。
とはいえ、ときめも2で、システムが全く同じでつまらないと勘違いも甚だしいコトを得意げに語られた事も無縁ではないと思います。その怨嗟から生まれたローズマリーの赤ちゃんとも言えますが、どちらかと言えば、愛無き両親から生まれたフランケンシュタインの怪物であり、その容姿からゆがめられた悲しいモンスター。リチャード・マシスンのモンスター誕生とも言えますが…ドコが最初に歪んだかと言えば、制作者 のココロであることは間違いないでしょう。
プレイしてみた第一印象は、ときメモ1の爆弾率+ときメモ2以上のフラグ立て強要+システム一新したらやっぱり転けた。です。
ときメモ2が、あれだけ「システムが前作と全く同じでダメ」と勘違いした評価が主流になっていれば、さすがに第3弾として、同一システムを踏襲する訳にはいかず、かといって、システムはときメモ1で完成されているために、変化のさせようがない。と言う苦労は感じられます。この辺りは、デーモニッシュによって、悪魔の子と取り替えられた、ローズマリーの悲哀と言えなくもない訳ですが。そうした 温情を持っても良いかなと思える点は、システム関連のみで、他は全くダメで、愛すら感じられない。
まず、フラグ立てがときメモ2よりキツイ。というよりは、ほとんどAVGに近い…否AVGそのもののフラグ立てを必要としており、SLGとは到底呼べない仕上がりになっています。どれだけ、ときめき度と友好度を上げても、必須イベントをクリアしなければ告白されない=エンディングにならない仕様というのは、もはや、ときメモではありません。
また、その基幹イベントも、今作からレベル表記となったステータスのレベルが上がるごとに発生していくという、自動発生。ときメモらしさであった、デート先でのイベント を探す。と言うモノはナリを潜めています。 そんな好感度で自動発生なイベント、しかも自慰行為的な独善と自己満足の不出来さを見せられてもなぁ。発生の適正時期を逃すと、勝手に進行して、クリア不可になると言う不具合。牧原が突然、落ち込んでて何事かと思った。と言うぐらい、フラグ管理させられる。
さらには、ヒロインは毎回変更されると言う、まったくもって、ときメモを理解していないような作りになっており、コナミ特有の「そのジャンルに、愛があるように見せかけて、実は興味すらないディレクター」の魔手に落ちたようです。
シリーズ物としての、引き継ぎ方も、センスの欠片もないと言わざるを得ず、どうでも良いような所を丸パクリ(高慢ライバルへの電話が伊集院レイそのまま)したかと思えば、ときメモと言えばコレ。と言うようなモノはハズス(修学旅行でバトル無しってなぁ)という本当にセンスの欠片もない。としか言いようがない。
さらには、初詣で、学力を上げてしまうと、当然レベルが高いほど、必要成功値が大きくなる訳で、レベルが上がりにくくなります。それは、イベントの進行が遅れていくと言う事でもあります。 また、休日や長期休暇中に上げても同じ事が言えます。イベント発生はレベルが上がったときなので。本当に、何を考えているのか、サッパリとしか。
システム設定の面でも、変なリアル指向による自己満足に陥っている。素人に多いが、リアルにすればゲームとして出来が良くなると勘違いしている手合い。ゲームとしてのリズムやスピード感、快適性までも阻害するリアリティは、ただの足かせであり、作業性を増すだけ。その証左がこのときメモ3。今作から、評価の確認が、女の子の友達からの入手になっているのだが、交友範囲の狭いタイプの娘だと確認が取れない状況に陥る。また、ときめき度が上がると「そんな事聞くな」と 怒る訳だが、デートすらした事ないのに、ステータスだけでときめき状態に勝手に陥られては、どうしようもない。 交友範囲の広い、牧原、相沢がそうなるとほぼお手上げ状態…つーか、牧原の交友範囲が広いのも、ちょっとおかしいよなぁ。逆に河合が広い気がする。
また、電話番号も、当人から直接入手する必要があるのだが、一緒に帰宅するなり必要があり、尚かつある程度の友好度が必要で、その上、帰宅時に登場待ちという、ランダム頼み。登場しても、一緒に帰ってくれるとも限らず、デートを了承してくれるとも限らず、また、帰宅時にデートに誘って、断られても爆弾は消えないが、電話すれば消えるという、謎の設定。そうしているウチに、ときめいている子からは、帰りに誘われ、デートに誘われ、断ると爆弾が付くかも知れないから、断りにくく、爆弾の回避が出来ないままに、破裂するという。なんだよ、このシステムという。
さらには、爆弾発生率がときメモ1並なので、次から次へと点火していくのに、確認方法が脆弱すぎるので、メンドクセとコントローラーを放り投げてしまう始末。デートスポットを情報誌から取りこぼしたら、リカバリー方法も無く、ライバル二人は、ときメモ2以上に、存在意義が無く、とってつけたようなキャラと設定 だし。デブオタとナルシス君。ステレオ過ぎ。センスゼロ。
男友達から電話番号聞いて、そのまま女の子に電話してしまう。と言うのは、ときメモ最大の嘘であり、根幹部分とおもうんだけどなぁ。ここを崩すから、ゲームとしておかしくなっている訳で。本当に、ゲーム作りのセンスが(ry
ミニゲームの出来は良く、数も増えているんですけど、それ故に、本編の無駄に長引かせる。ダブルデートなんて、絶対にゴーストハウスをやらせたいからだ。と邪推してしまう。息抜き程度に、ミニゲームが入るから楽しいのであって、ミニゲームのために、ときメモやってんじゃない。本当に、何も分かってないというか。
ステータス面でも、なぜか休日には、運動と芸術が行えず、また休日の文系と理系学習も予習扱いで、平日にならないとステータスが上がらないという、謎設定。本当に何を考えているのか、サッパリ分かりません。休日に、出てきて欲しくない女の子が関連しているステータスを延ばして調整していくのが、ときメモじゃないですか。そんな戦略と言うほどでもないですか、計画性すら立てられず、六人なんだから全員出せと言わんばかりなのは、いかがなモノかと。趣味設定も、かなり浮いていて、衣装設定ともども、邪魔でしかない。
ときメモ2までは、十分に感じられた、バランス調整や設定の煮詰めが全く感じられない。本当に愛も、熱意も感じられない。 そんな投げやりに作られたのでは、悲劇しか生みようがない出来映え。そもそもにおいて、メインヒロインが毎回変わると言うのも、ふざけているとしか思えず、本当に出来の悪いエロゲのよう。あそこは、牧原で固定しとかないとアカンやろと。オープニングも、どっかで見たようなバクリっぽい構図だし、サウンドノベルコピーエロゲ的な自慰的な演出がなぁ。 丁度流行った頃だしねぇ。
そんなシステムなので、本当に、プレイしていても楽しくない。本当に、ひたすら作業、消化、そんなものの繰り返し。本当に、愛も、熱意も感じない、空虚で冷たい、真っ平らな作り。スケジュールの消化速度は、ときメモ1並のサクサクとしたスピードを持っているのに、内容からくるだらけ加減、つまらなさから来る重さというモノが、遙かに重い。
衣装システムも、粗雑極まりなく、スニーカー+黒綿パン+黒Tシャツで、決まってるね。と言ったので、次のデート、ジーンズに履き替えたら、なんてだらしない格好とか言われるわ、クリスマスパーティーも、スーツにマフラーしたらダメって言われるし、何コレ?。夏に、Tシャツとジーンズ逃げ出すって…どんなTシャツじゃい。と言うか、制作者の側にファッションセンスがなさすぎるんちゃうかと。初期の服装ライン見ても、絶対センス無いって感じだわ、金子一馬の兄貴を見習え。
衣装の入手経路もおかしくて、夜店の景品か、クリスマスパーティーでのプレゼントで入手とか、脳みそ溶けてるとしか言いようがない。普通は、休日に買いに行くとか、デート先で見立ててよ。とかやろ?。従来のおしゃれ数値を、着替えに一新したのは良い挑戦と思うけど、調整以前に、基本設定がイカレているのは、なんともはや。
EVSも、ときメモ2より、よく進化って言われているけど、コレは退化してる。2ではあったイントネーションの変更が出来なくなっていたり(ありました。が、初期設定時に設定できんとあかんやろ?)、呼びかけの抑揚が1パータンしかないので、凹み加減なのに、EVSだけ機嫌良く呼びかけられたりと、完全なる退化。みれも、やはり、愛がないゆえに、気合いが足りないから。
本当に、ときメモ2のアペンドで、寿の「御津羽だから、みっちゅんだねー」とか自然すぎて凄かった。PS1なのに!。服装システムも、むしろ、ときメモ2のときめき度が上がる度に、女子の服に気合いが入る方が、何千倍か自然だよねぇ?。なんで、そう言うところを引き継ぎませんかね?、マジでセンスが無い。
くわえて、シナリオ面では最悪、最低と断言できるモノで、特に、神条の話は、one(超今更修正kanonでした)の丸パクリも甚だしく、同級生が、実はこっそりと学校に巣くう魔物退治してますってネタ。立案した方も立案した方だが、認可したディレクターやプロデューサーの責任も、非常に重い。まぁ、学園オカルト話だと、定番と言えるのですが、学校荒らしと誤誘導させたがる、怪我が増えていく等、あかんやん。と言うラインにばっちり乗っています。時期的にも、そうだよねぇ。
まぁ、五百億歩ゆずって、単体シナリオとして見た場合でも、それこそ、伏線の張り方がなっていない、どころか、貼ってすらいないため、まさしく、降ってわいたような展開と解決を見せます。せめて、同級生から「この学校の七不思議知ってる?」との前振り(伏線)があり、荒らされている場所=七不思議の場所というリンクが最低限必要。ホントに、出来の悪い、コピーもどきエロゲのシナリオのよう。
牧原のシナリオでも、キーとなる駄菓子屋のばあさんが、なぜ主人公にきつく当たるのかは、全く触れられない。これこそが、シナリオを作る上での作法を全く理解してない証左。おそらくは、北斗の拳のバットと、口の悪いおばあさんの様な関係を狙っていたのだろうが、前設定がないために、全く掘り下げられていない。まさに、 脳内設定ありきで、上滑りを起こしている。
せめて、手紙に「あの男の子は、あの人によく似ていて、優しくて気が利くクセに、乙女心には本当に鈍感で、そんなところまでそっくりで、決心したのに伝えられなかったあの日を思い出して、ついイライラしてしまって。それでも、遊びに来てくれて、本当に嬉しかったよ」とか、一言で、全部丸く収まるのに、それが出来ないのは、本当にセンスがないと言うか、才能がない。としか言いようがない。
出だしの所でも、坂で出会ったあの子、どっかで見た事あるような気がするんだけどなぁ>クラスで、私覚えてない?>おさげメガネの牧原さん?>そのあだ名忘れてよーとかよー。あのいじめっ子、卒業式の日に牧原さんに、告白しようとしてたんだよとかねー。さんざん、イジメといて好きですは無理だろって止めたんだ。上手く行っても困るしね>え?みたいなノリがいるじゃろがー、ときメモなら!
システム的には、リアル設定に持っていこうとしているクセに、キャラ設定は、ときメモ1的…というよりは、半端な学園ギャグアニメ的な、狙いすぎのぶっ飛び設定の子ばかり。妖怪ハンターの神条はもちろん、合体変形ロボを作る河合、いまどきいねぇよなレベルのタカビーキャラの御田、卑怯なまでの声優頼みキャラ付けである関西弁+英語キャラの相沢とか、本当に目先ばかり見たキャラ作りで、奥行きが全くない。
ステレオタイプとも言えないぐらいの、こんなんで十分やろと鼻をほじりながら作った感じさえする。本当に、ひねりも何もないんだ。ときメモ2の琴子のような、光のためにあえて冷たくしている。とか、光の物わかり良い優しい子でありながら、裏側でやきもち焼きで勝ち気とか、人間味を感じる裏側が全くない、ときメモ3のキャラ設定。サブストーリーが作られない訳が分かったよ、こんなぺらぺらで、切り取り線よりも一センチは余白があるような、段ボール人形じゃ、到底、無理だよ。
そんで、告白にきた子をふる事も出来るのは、おお!と思ったんだけど、そこでバッドエンド突入で、アホかぁぁぁぁぁ!と、故あってふったのに、別の子へ、告白に行けないってどういう事じゃーい。ホンマに、脳みそはいっとんのか?と。
システムダメ、シナリオもっとダメ、キャラもダメじゃ、本当に浮かぶ要素なんて何一つ無い。本当に、愛もなくなぜ作った、と。それしか言いようがない。 本当に、恋愛という、暖かくハートウォーミングだけど激しいガチバトル世界を描いているはずなのに、この無機質な冷たい世界の感触は、ドキドキプリティリーグlovelystarとよく似ている。空虚で、実験室めいた希薄さ。そこには、意志がなく、生命の躍動も、喜びもない。無機質で無感動な、ルートチェックという実験があるだけ。
パッケージに、メタルユーキプロデュースって書いてあるのも、不思議だったんですが、やってみて分かりました。看板タイトルだけでは不安になり、メタルさんの名前を前面に出す事で、前作、前々作のファンを呼び込むつもりだったのでしょう。うがった見方…でなくとも、どう見ても、有名人の名前を被せる事しか、他に手がないぐらい出来が悪い事を分かっていたのでしょうね。
そもそも、メタルユーキさんは、音屋つーか、音楽関連の人で、生粋の企画屋でもない訳で、そんな人のプロデュースを看板版にする時点で、根幹に歪みがあるとしか言えません。 肝心の音楽はと言うと、メタルユーキさんの関与は薄く、本当に名前だけ貸した感じで、良い迷惑と言えるでしょう。zardとか、大物に頼むぐらいなら、もっと他に予算回すべきところがあるでしょうに。
トゥーンレンダーとかトゥーンシェーダーも、私は嫌いでして、絵的にどうこうでなく、ムービーだと、別個に構えて作らなきゃ行けないけど、トゥーンレンダーなら、全編アニメーションみたいなモンだから、アホなゲーマーは、絵が動けば面白いと思うはず。と言う、黒い部分が丸出しになってる気がしてなりません。
フリートークも、バッドエンド名物男性キャラ担当も無いし、女キャラは女キャラで、映像付きだし…そんなに容量余りましたかと、聞きたいぐらい。
本当に、2002年前後に出たゲームは、程度が低いなんてモノではなく、歴史上から抹殺しておきたいほどの大汚点と言えるモノが多く、ドキドキプリティリーグlovelystarとか、このときメモ3もそうだし、ペルソナ3も2003年とかじゃなかったかなぁ…XTH1もこの辺だったような…それを考えると、よくぞ五年で立ち返ったとも言えるかなぁ。と言うか、本来なら、管理職になってるはずの人が、現場に戻ってきただけのその場しのぎとも言えるんだけどね。
アトラスなんか良い例で、ペルソナ3とかで、いったん引いた人たち(礒貝さんとか金子さんとか)が、表舞台に帰ってきている訳で、後進が育っている訳ではないのがキビシイ現状。ストレンジジャーニーも、詰めの設定がかなり歪だし。 ラスボスレベル77で全く手が出ないんですけど…
話を戻して、このときメモ3のディレクターとシナリオ制作に関わった人間は、温情を持って、所払いという名の営業とか事務職への配置換えか、厳しくするなら、地方送りという名の島送りだ。ただし、神条のシナリオ書いた奴だけは、極刑以外あり得ない。あんな、展開や設定まで丸バクリで、尚かつ、伏線も張れてないような奴に、シナリオライターなんて名乗らせたら、全体が腐敗する。チェックを怠ったディレクターも同罪だけども。つーか、チェックで弾かない時点で、愛がない、熱意がない、本気になってない事が分かると言うモノ。
本当に、大暗黒時代だったと実感します2002年あたり。まぁ、それを実感できるという事は、大暗黒時代を通り抜けたからだと思いたい……
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