MS−06S

指揮官用カスタム機という言葉通り、実際には、S型という生産ラインは存在しない。

C型から耐核装備を除装して出来た、空きスペースと重量を利用して、個々のパイロットにあわせたカスタムチューニングを施した機体が、このS型で、C型の潜在能力を極限まで引き出した機体と言える。

車で言うならば、市販車をカスタムチューンしたレーシングカーと言えよう。

パイロットの特性、趣向によりカスタムの方向を決定していたため、様々なバリエーションが存在する。

もっとも有名な機体は、赤い彗星ことシャア・アズナブル少佐機で、装甲などの強化は一切行わず、機動力の増強にのみ特化したチューニングは、C型の三倍のスピードを有すると言われた。

MS06Fsは、ガルマ・ザビ大佐機で、総合的な戦力アップをバランス良く行った機体。MS06DZは、ドズル・ザビ中将機で、両肩をスパイクアーマーとし、大型のヒートホークのみで出陣するという、格闘特化型と、それぞれのパイロットの性格が如実に表れている。

こうしたパイロットは、ブリティッシュ作戦、ルウム戦役と生き残ったエースパイロットであり、たいていの場合、小隊長を勤めていたことからS型は指揮官カスタムと言われるが、実際は、エースパイロット用のカスタムチューニングである。

儀礼的においてあった艦長用のC型を、整備兵が勝手にカスタムチューンを施したものも少なからずあり、また、元々S型は、R型が完成するまでの、つなぎであり、個人カスタムということで、整備にも手がかかるため、実働数はかなり少数であった。