昏睡になったら


気がつくと、あなたは、どこかのベッドの上にいる。
周りにも、似たような怪我をした人たちが居て、カメラを肩に担ぎ、マイクというメスで、負傷者を情け容赦なく切り刻む人の群れが見える。

目を覚ましたあなたに、看護していたとおぼしき家族が気づき、医者を呼ぶ。
病室に備えられたテレビには、玉突き事故のニュースと、郊外の病院のニュースが交互に報道されている。

一生分の不運か、幸運を使い切った気がする。事故に遭う不運、生き残った幸運、どちらを使い切ったのかは分からない。一つ確実な事がある。

明日からはまた、いつも通りの昨日が繰り返される。
おそらく、死ぬまで続くのだろう。