怪異


怪異と言うのは、噂が真実となったモノと言える。

噂という共同幻想によって、アストラル界にあらたな神界が生まれた。と言う言い方もできるが、実際にはそこまで確固たるものではなく、噂と言う集団幻想で、微弱なエーテルによって凝固したというのが真相だろう。

そのため、怪異は、噂によって提示されたパターンでしか行動できないモノも多く、人格と言うか、意志を持っていない事も多い。その為、怪異のアストラル界を守るもしくは発展させるために、小学生を脅しているとはとても思えない。怪異の神界があるとすれば、驚愕や恐れと言ったエーテルを集積して、それを維持していると考えられる。

怪異への攻撃は、煙に殴りかかるようなもので、ほとんど無意味である。霊格2の特技ともなれば有効打を与えることは可能であるが、倒したとしても、それはエーテルが霧散化したに過ぎない。噂の広がり具合と、信用度によっては、即日の復活(と言うか新たに生まれる)もあり得る。

退治するためには、噂で指定された手順を踏むことが必須だが、通常、怪異の噂は、難を逃れる程度の手順しかない事が多い。怪異をやり過ごす方策はあっても、退治にまで踏み込んだモノはないのが実状だ。

完全な解決策としては、新たに噂を広めることで、弱点を作ることも可能だが、その噂が定着するのに時間もかかるし、定着したらしたで、噂の的になったと言うことで、エーテルの収集率が上がり、強大になっている可能性もある。

反面、噂は、不安定なので、噂が下火になると、怪異はエーテルを維持できず、その存在は消えてしまう。例えば、噂の発生源である廃校が取りつぶされてしまえば、怪異は自然消滅するだろう。現代では、その効果は疑問だが、高僧によって退治された。と言う噂が、怪異の噂より広まれば消えてるだろう。

怪異からの攻撃は、そのほとんどが幻覚によるもので、あまりにリアルな幻覚であるが為に、ダメージを受けた気になって、被害者は自らEPを失っているに過ぎない。たき火の煙に実害がないように、怪異そのものに実害はあまりない。

半端な霊能者が心霊スポットに怯えるように、なまじ、中途ハンパに知覚できるが故に被害に遭うとも言える。霊格2なれば、はっきりと知覚できるので、歯牙にもかからない存在となるだろう。退治は困難だが。


怪異の種類は、怪談話やうわさ話の数だけ存在するが、実体は噂なので、それらの個体全てをひっくるめて怪異と言う一個の超常体だとも言える。

怪異は噂が定着すれば、その土地からエーテルを得ることが出来る。いわば土地神や自然霊のような存在になってしまう(恐怖のエーテルを好むイヤな土地神だが)。そうなると、EPの自然補給が出来るようになるので、目撃例が増え、より強固な噂として広がり、エーテルが増大する。

定着した怪異は、一超常体として存在しているので、退治は可能。退治できた場合、退治されたという噂が広まることで、完全にその怪異は消滅するだろう。

怪異には、作り話から発生した、無意識エーテルの集合による幻覚じみたものから、超常体が絡んでいるものまで幅が広い。

事故が多発する心霊スポットも、実は超常体ファントムが原因ではなく、事故の噂話が怪異化しただけという事もあり得る。テレビの心霊スポット特集で行くような場所はほとんど、コレ。

逆に、超常体ファントムが起こした事件に尾ひれが付いて、怪異化(と言うより、ある意味神族たちが、信仰によってエーテルを回収しているに近い状態。噂を信じる、神を信じるの違いはあるが)すると言うこともあり得る。その場合は、中心にいる超常体を退治すれば、怪異現象は自然消滅するだろう。


妖怪のなかにも、怪異は多く存在する。神が零落して妖怪となったモノもいるが、怪談話によって生まれた怪異も多い。付喪神などもその一例だろう。妖怪の域まで上り詰めた怪異は、独自行動を行うが、基本的には、噂で指定された行動パターンを踏襲するので、突飛な行動が多い。

同じ妖怪でも、品格に差があるのは、こうした怪異の存在のせいかもしれない。つまり、零落した水神のホンモノの河童の行動と、怪異の河童の行動が、ごちゃ混ぜに語られているのが、現在の妖怪としての河童なのだ。そのために、日本の精霊と言える妖怪の分類は非常に難しくなっていると言える。


実際に使用する場合は、学校の怪談(七不思議のパターンが好ましい)などで、怪談のほとんどは怪異で実害がなく、歌うピアノも、ピアノの付喪神だったりと言うコメディーチックにして、最後にホンモノの超常体を出す。と言うパターンになるかと。

発生間もない噂なのに、怪異となった場合、特異体並のキャラクターが絡んでいることがある。不安定な思春期と相まって、エーテルを固めてしまった可能性もある。

ともあれ、集団幻想として、現代物の前フリとして、怪談話チックなライトなシナリオネタに、便利に使っていただければ幸いです。



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