シナリオ



PCは、市営(設定の街の規模にあわせて変更して下さい)バスに乗って、移動中です。学校や職場からの帰りか、とにかく、「愛車」を持っているPCも、所用(車検や修理)があってバスを使用しているか、車を取り上げたいなら、PCの愛車を事故に巻き込こんでも構いません。

外は、夕暮れ、いわゆる黄昏時です。

難易度1の加護チェック(霊感+神族加護)をして下さい。成功すれば、何か危険を察知して、対ショック姿勢を取ることが出来たことになります。ないし、座っていたか、立っていたかのチェックにしても良いでしょう。

加護チェックに失敗した人は、難易度2の敏捷チェック。成功した人は、難易度0の敏捷チェックを。

敏捷チェックに失敗すると、衝撃に耐えきれずどこかにぶつけてしまいました。HPに1ダメージを受けます。ファンブルした人は2ダメージ。

敏捷チェックに成功していれば、痛みはするモノの、特にダメージと言えるほどの損傷は受けていません。痣ぐらいは出来ているかも知れませんが。成功度が2以上、上回っていれば他の人をも助けること出来たとします。

衝撃の感じや、ふらつく頭を起こして、窓から外を見てみると、どうやら玉突き事故に巻き込まれたようです。バスなので車体に大したダメージはありませんが、直前を走っていたのが、大型トレーラーだったため、バス前方はかなりのダメージで、ドアが開きません。また、後部の乗降口も開かないようです。運転手や、座れなかった一般人の中には、頭から血を流している人もいます。

窓から周りを確認した感じでは、帰宅の時間帯、と言うこともあってか、かなりの台数が巻き込まれた、玉突き事故のようです。

◆後部の非常口から出る事は出来ますが、PCが何も思いつかなくても、五分としないウチに救急隊が到着します。
脱出の際、手荷物をどうするか聞いておいて下さい。

また、違法武器(銃器など)を所持しているPCには、どう行動するか、カマかけて見て下さい。


PCは比較的軽傷だったので、警察の事情聴取につきあわされた後、後発の救急車によって、脳やなんかの精密検査を受けるために、病院へ運ばれることになります。

乗り込んだ、救急車は明らかに、理不尽なほど長距離を走り続けますが、そのことをPCが訪ねると救急隊員は「先ほどの事故で、近隣の病院は手一杯なので、少し遠い病院に向かいます。」と説明します。

何かの専門技能で嘘を見破ろうとした際には、難易度3で判定して下さい。成功した場合、救急隊員には、なにやら後ろめたい隠し事があるようです。

都市部から少し離れた病院、と言うよりは郊外の巨大な療養所のような感じのするところへ到着します。

直感チェックに成功、もしくは病院名を確認すると言ったPCは無条件で、門のところにある看板から病院名が読みとれます。意思チェック(一般技能:情報通使用可)で「数年前に医療ミスを起こして、衰退し、現在は入院介護をメインしているが、虐待の噂もあり、現代の姥捨て山」と言う噂のある病院と判明します。この情報は、病院内で何度でも出すことが出来ますので、特に気にしなくても大丈夫です。

さび付いた鉄の車輪が擦れあうような嫌な音が、車の後方から聞こえます。どうにかして、外を確認すると門が閉まっていきます。とうてい電気仕掛けには思えない、古びた門ですが…アストラルサイトを使用すると、超常体(インプないしエレメンタル)が門を閉めているのが見えます。

救急車は、地上ではなく、地下駐車場へ降りていきます。建前は「急患口は地下だから」と言いますが、明らかに嘘がバレバレです。

停車後、救急隊員の一人に誘導されて、下車します。病院側の出迎えはありません。地下駐車場は、病院から発せられるイヤな、ざらついた感触に満ちています。霊格2なら、怨嗟のエーテルが渦巻いているのが分かります。

突如、悲鳴が聞こえます。悲鳴の方向を見ると、先行していた救急隊員が犬に噛みつかれており、喉笛をかみ切られます。

薄暗い中、犬をよく見ると、眼球が飛び出していて、視神経によってぶら下がっています。ぶら下がった眼球でPC達を見つけると、腹から、はみ出した内臓を引きずりながら、PC達の方へ近寄ってきます。


◆戦闘:ゾンビドッグ(数はPCのレベル、人数で調整して下さい)。
データは、超常体ブラックドックを流用のこと。PCのレベルを1つあげても構いません


地下駐車場は、それなりに広いですが、出口はすでに厚いシャッターで閉ざされており、脱出は出来ません。救急車でシャッターに突撃すれば、何とかなるかもしれませんが、乗っている人は、まず助かりません。

それを知らしめるために、残っている救急隊員が車で逃走しようとして、失敗し、車もなくしてしまう方が良いかもしれません。


◆戦闘終了後、もしくは戦闘中、救急車を漁れば、武器になるものも沢山あります。
出て来るものは、マスターの判断にお任せします。

一例としては、EP回復薬。解毒薬など。本数は、PCの人数分と言うのが望ましいです。

他には、前衛の防御力が乏しいようでしたら、ヘルメット*3(死亡した隊員の分3つ。物+1)。
場合によっては、メス(ダガー扱い)、ファイアアックス(ハンドアクス扱い)。などが考えられます。

ガソリンを抜いて火炎瓶が作れるでしょうし、スプレー缶とライターで簡易火炎放射器が作れるでしょう。
消火器も利用できます(逃走アイテム扱い:煙幕代わりに散布)。いろいろと、アイディアを示唆したり、採用してあげて下さい。


◆基本的に、事故に遭ってますから、各PCが申請しない限り、手ぶらな状態となります。
拳銃を持ってきているかどうかも、決めておいてください。所持している場合は、事情聴取の際に、警察官に見とがめられる可能性があります。


◆ここからは、探索モードです。申し訳ありませんが、GMの責任でMAPを作って下さい。
気休めですが、各階の設備の目安と、イベントのアイディアを列記しておきます。

地下一階:自家発電装置、放射線治療用の原子炉(?)、遺体安置所(ラスボスの場所:駐車場とは区画が分けられていますので、駐車場からは移動できません。撃退後には搬出扉は開くようになります)。警備員詰め所

一階:駐車場からここに出ます:ロビー、外来受付、事務室、売店、自販機コーナー。外来診察室

二階:ナースステーション、集中治療室。一般病棟。医局(?)、薬剤保管庫(EP回復薬の補充)。

三階:一般病棟。CT室。MRT室。個室病棟。研究室。院長室。

四階:手術室(中ボスのいる目的地)、特別病棟(個室や仮病の政治家用)。

最低移動順路:地下駐車場>一階>二階>三階>四階>地下一階
一階から四階は、防火シャッターで区切って、遠回りさせたりして下さい。三階建てにする場合、手術室を三階に持っていって下さい。

必須イベント
日記や実験記録の類から、交通事故で不随になった娘を蘇生させるための研究記録が読みとれます。他人の人体を利用したもので、まさに悪魔的な研究といえます。手術中に実験したり、意図的に危篤状態にして、実験に同意させたり、警察に言えない治療を求めてきた人間を使ったり、交通事故などの急患を利用していました。

最終的な問題点を、使者の知恵によって解決できた。となっています。

院長室:もみ消しの証拠があります。
示談金を積んだり、暴力団に介入させたりして、医療ミス(と言う建前の実験)を隠していたことが分かります。
それら裏の必要経費や愚痴が書き込まれています。

実験台にされた人間のゴーストやファントムを出して語らせるというのもアリかと思います。

イベントトラップ
◆ベッドから苦悶の声が上がります。実はゾンビもしくはゴースト(ベタネタ)

◆部屋から何かが転がり出てきた。よく見ると人間の頭部で、PCと目が合うとにやりと笑う。

◆低レベルの超常体と契約出来るイベントを作っても良いでしょう。

ひーほー君とひほ子を出して、医者と看護婦と言うので、ちょっとほのぼのさせても良いでしょう。


◆手術室に到達すると、そこはSFの実験室のような機材が持ち込まれ、中央に10歳くらいの少女が横たわっています。
父親である医者は、外見は、すでに初老の域に達しているように見え、疲れ果てていますが、眼光だけは、異常なほど鋭く輝いています。

「ふん、もはや実験の必要はない。手術は成功したのだ。さぁ、もうおまえは自由だ…」
と、少女に起きあがるように促します。

少女は、人工呼吸器や様々な器具を取り外しながら、娘は起きあがります。
呟くように「お父さん…」と言うと、医者は涙を流し、娘と父親、双方が歩み寄ろうとしますが、娘は数歩、歩いたところで、頭髪が抜け落ち、顔面の肉も腐汁となって、墜ちていきます。

骨と腐汁だけになった娘は、歯を打ち鳴らし続けています。何かを必死で訴えているようです。

何らかの技能で、娘とコンタクトした場合、次の言葉が聞き取れます。
「お父さん、もう良いの…もう止めて…私は、20年も前に死んだのよ」

父親は、骨と腐汁に成りながらも生きている娘を抱きしめつつ、聞き慣れない言語で叫びます。

叫びに答えるように、陽炎のように半透明の悪魔、ビフロンズが登場します。
「私との契約は、娘の甦生だったはずだ。肉体の腐敗を考慮しなかったのは、貴様の短慮だろう。今まで腐敗しなかったのはサービスだ。契約が履行された今、私が腐敗を止めておく理由はない。」と高笑いし、

「貴様の絶望、憎しみ、怒り、心地よいぞ」と、かき消すように消えていきます。

◆騙されていたことを察知した父親は、半狂乱でPCに襲いかかってきます。

医者(NPCの欄参照)、エレメンタル2体(数は調整して下さい)。
半狂乱なので、戦術オプションは取ってきません。がむしゃらに攻撃してきます。

医者を倒した後、娘を成仏(会話戦闘ないしカルトの祈り)させることが出来たなら、二人で取り合って天へ登っていくのが見えます。天には、母親とおぼしき人物が手を広げて待っています。屋内ですが見えます。幻覚か事実か、それはPCに任せましょう。

先に娘を成仏させた場合、医者は涙を流して、微笑みながら天井を見つめています。天の母親の元に行く娘の姿が見えます。父親にも、同じものが見えているのかもしれません。

父親も、妻子に誘われるまま、天に昇っていきます。地上には、呆けた表情の医者がいます。意識はありません。

通常攻撃で倒してしまうと、親子は、腐汁となって床にしみこんでいきます。娘の方を先に倒してしまうと、父親はバーサーク状態になり、ライトニングを乱射します。

◆死にそうなPCにさらに攻撃が行ってしまったら、娘が我が身を盾にし、父親が正気を取り戻す。と言うのもアリですし、娘を殺すことで、バーサークしても構いません。

◆娘は、ビフロンズのネクロマンシーによって、自分の肉体に封魔されている状態にあります。彼女の心残りは、父親だけです。その当たりを突けば、容易に成仏するでしょう。「君がこの世に止まる限り、お父さんの暴走は止まらない」等々。娘との会話戦闘では、細々したトークンの移動は無視して、決めゼリフのみの要求で構いません。勝利した場合、浄零が自動的に適応されます。


◆医者を倒したのち「ちっ、想定ほどの資質は無かったか。我らが女帝も見る目がない事よ。」と声が響き渡り、
部屋の外からシャッターの開く音が聞こえます。

「来るが良い、私を倒さぬ限り、この土地から出ることは叶わないのだ」

手術室を出ると、開かったシャッターが開いており、エレベーターが起動しています。


◆地下の遺体安置室へ。

娘を成仏させている場合、ラスボスは、HP/MPが半減した状態で登場します。上限はそのまま。ダメージを受けた状態と考えて下さい。「おのれ…人間ごときが…」

そうでない場合は、ラスボスは、天井からしたたり落ちる腐汁を飲んでいます。「恨み、苦しみ、悔恨のこもった良質のマグネタイトだ…お前たちに、感謝するぞ。ヤツの残飯というのが気にいらんがな…」

「あの世で誇るが良い、この私の手に掛かったことを」

安置室には、魔法陣が描かれており、魔道技能者ならば、すぐに分かります。魔界との門を開こうとしています。
アストラルサイトや、見鬼、視鬼を使えば、まるで、ゼリーを流し込んだ容器の様にゴーストが部屋中に押し詰められています。食霊は食べ放題です。

霊格2の高レベルキャラならば、ビフロンズのままで良いと思いますが、霊格1で始めた場合、まず勝てないと思うので、もっと格下の堕天使系を登場させて下さい。アンドラスを登場させても良いでしょう。

原型のメガテンチックなシナリオのままで行くなら、ウラベを登場させても良いです。



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