システム総評


メガテンと言う枷から飛び立ち、鈴木大司教ワールド全開となった。それだけに、世界設定は懐が広く、魅力的。概ね、メガテンの基本設定を踏襲(真・メガテン1は、教皇がおつくりになったのだから、至極当然ではあるが)していて、メガテンファンならば、問題なく入り込める。

反面、メガテンよりも、神族、神話設定が色濃く世界設定に食い込んでいるので、シナリオの終着点が一つに集約してしまう欠点を併せ持つ。また、世界設定が、完成され、魅力的であればあるほど、私個人は、シナリオは作りにくくなる。ワールドオブダークネスのヴァンパイア・ザ・マスカレードも、完成された世界観であるためにシナリオが作りにくい。

カッチリとしているが為に、グレーゾーンが見つけにくい。と言うことなんだと思う。だったら、世界設定を崩せば良いのだが、安易に崩すには、勿体ないほど魅力的であるがために、崩すことには躊躇してしまう。この魅力的な世界観を活かせないとは、なんてダメな人間だろうと思ってしまう。

基本的な、シナリオ制作方針は、メガテンと同一ベクトルで問題ないはずだが、それでも、ややシナリオを作りにくい。と感じさせるのは、霊格1の技能では、エーテル体の超常体に対抗できない。となれば、敵役として利用できるのは、実体の超常体だが、それだと、数体しかいない。

単発シナリオならば、霊格2でエンターテイメントルールを採用した方が楽しいだろう。しかし、覚醒や、大破壊という重厚なテーマを丹念に扱いたいのも率直な感想。カルトやニューエイジにもう少しエーテル体と対決できる技能があればなぁ。しかし、安易に増やすとバランス崩しそうだし。

システムの方では、ジャックダイス。トランプゲームのブラックジャックの様な、判定方法を用い、斬新で、非常に魅力的ではありますが、若干分かりにくいと言う感じもします(難易度の設定が付けづらい)。これは多分、私が、あまりにパーセンテージダイスに慣れすぎたタメと思います(感覚的な判定基準が出来ているため)。

ブラックジャックが、手持ちのカードをいかに21に近づけ、相手との心理ゲームにいかに勝つか。と同様の駆け引きが出来ます。例えば、判定値が10の場合、10面体ダイスを振り、合計が10になるまでサイコロを振ることが出来る訳です(ちなみに、0の目は10でなくて、0)。サイコロを振った数が、難易度と同数以上になれば、成功となります(判定値が10で、難易度が2ならば、10面体二個で、出目の合計が10以下になれば成功となる。ダイス数が多ければ大きいほど、その成功は華麗な物となる。)。

難易度を隠すことで、プレイヤー側は、ダイス2個まで成功したけど、難易度3かも知れない。けど、バースト(判定値を越えること。ブラックジャックなら、21を超すこと)しそう。など駆け引きが出来るわけです。バースとしてしまえば失敗ですが、ショート(成功度が、難易度以下の場合)だと、無意味なこともありますが、部分的な成功となる場合もあり、妥協するか、完全を目指すかまた、葛藤があります。

これに、ゲインやフィーバー(いわゆるクリティカル)、ファンブルなどの要素が絡み、大変魅力的になってます。スワップダイスと言い、ジャックダイスと言い、天才的な方だとつくづく思いますわ。

ただまぁ、パーセンテージダイスでの難易度設定に首まで浸かった身としては、斬新すぎるが故に、難易度設定に少々悩みます。

簡単そうだけど、実は難しい。と言うのが、新世黙示録の感想のまとめになります。



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