1,出発する。
N◎VAでカゼを手配して、オーサカへ。
「へぇ、死国までねぇ。ワイが暇やったら、死国まで行ったるんやけど…こう見えても、結構いそがしいんや」
最後だからと、色々と世話を焼きたがった奴が手配したのは、まだ若いカゼ。WINZで直結しているせいか、こっちを向いたまま、べらべらと喋り続けている。
「そや、政府の掃討作戦でな、大手のバンデットが壊滅したんはええんやけど、その分、ミュータントが増えてもうてな」
どういう事だ?
「ウォーカーの練習やら、調整に、まぁ、面白半分にやってたのが、無くなったちゅーわけや。大規模な隊商には楽になったけど、ワイら、個人のカゼやら、小規模のジプシーは難儀しとるで」
山賊なら、小物は狙わないだろうからな
「ま、あちらを立てれば、こちらが立たず。ちゅーのんは、いつの世でもあるこっちゃ。せやから、個人のカゼより、隊商に潜り込んだ方がええで。死国にいくんならな」
やけに親切だな。
「まぁ、ワイもアイツには借りがあるんや。アイツの恩人やったら、ワイの恩人や。ホラついたで、オーサカや。いや、代金はいらん。もう、もらっとる。帰る時には、ここいらで、コヘイ・ヤマダいうたら、直ぐにつながる。まぁ、すぐに送れるかは、わからへんけど。」
どういう事だ?
「あん?、アイツから往復の代金もろうとるんや。コッチでの仕事が終わったらN◎VAに帰るんやろ?、ほななぁ」
ホイールスピンとゴムの焼ける臭いを残して、バンが去っていく。どういう事だ。まぁ、確かに、他に行くにしても、一度N◎VAに戻ってからの方が便数は多いのだが。
オーサカでは、コヘイの言うとおり、隊商をあたったが、仕入れに手間取り、出発は二日後だという。しかし、死国までやってくれるカゼが見つからず、結局、ジプシーの隊商に潜り込むことになった。
「ここいらも、治安が悪くなってな、何かあったら、頼むぜ。」
運賃はいらない。と言うのは、そう言うことか。とは言え、ここいらの山賊はウォーカーに乗ったアラシだ。生身でどれだけの事が出来るというのか。
「そんな顔しなさんな。ウォーカーにつっこめなんて言わないさ」
無精ヒゲ、そして日に焼けた肌と対照的に白い歯が大きく揺れる。耳鳴りがしそうな程、豪快な笑い声とともに。
「ハザード前は、ここが海の底だったって言われて、あんた信じるかい?」
セトロード。ハザード前は、瀬戸内海と呼ばれた群島の内海だったらしい。すっかり干上がった現在では、かつての島は断崖となり、群島は断崖絶壁の迷宮となっている。その証拠に断崖の上には、緑が茂り、赤く塗られた木製のモニュメントが見える。
「さぁ、ついたぜ。ここが、アンタが示したポイントに、一番近いキャラバンだ。こっから、死国へは送ってくれるような、物好きは居ないだろうよ。天狗やカッパも最近活発だしな。もし居たとしても、そりゃあ、追いはぎだ。でだ、出物のトライク(三輪バイク)があるんだが。どうだい?」
なかなかに、商売が上手い。モノは確かに良い。
「コイツなら、死国の荒野も泥地も問題なく突っ走れるぜ。」
1,購入を決める。
2,他を当たる。