2,売らない


足を失う訳にはいかない。何かと理由をつけて断る。
「そうかい。ただ、コレだけは言っとく。オレたちの仕事は、道の外へ出ようとするミュータントの捕獲。ソレが生きていようが死んでいようがな。泥棒やスリの逮捕じゃない。」

何が言いたいのか分からないが、待ち合わせ場所である、酒場という名の酒場へ向かう。店の脇にトライクを止め、背を向けた途端、気配を感じて振り返る。

ソコには、フレームだけになったトライクがいた。かすかに霧散する人影が見える。ピラニアだってもっと時間かかるだろうに。あまりの早業に、怒りや呆れは通り越し、驚嘆さえ覚えた。

まぁ、店から出る頃には、トライクの面影はタイヤ痕だけになっているのだろうな。

1,店にはいる。