日本のD&Dとも言える地位に登りつめたと言っても過言ではないソードワールドです。ファンタジーTRPGと言えば、と聞いたなら、かなりの高確率でソードワールド。と言う答えが返ってくることでしょう。
ルール的にも、セールス的にも、普及させるのを目的としたような作りが随所にあり、その意図が伺えます。
初と言っても過言ではない(T&TやFF(ファイティングファンタジー)がありますが)、文庫本のTRPGルールで、地方都市の田舎に住むモノにとって、ホビーショップなど都会の象徴。現代のようにネットもなかったですから、通販となると、非常に手間。
そんな中で、少し大きめの本屋にいけば手に入るソードワールドは、TRPG人口拡大に大きく役立ったはずです。
また、同じ理由で、多面体ダイスの入手も困難。そこで、ソードワールドでは、一般的な6面体を使用することを決めたことも、人口拡大を狙ったものでしょう。
文庫サイズには、賛否あり、確かに入手しやすく、価格も手ごろ。ボックスタイプだと、当時、安くとも4000円近くしたものですが、文庫本では1000円でお釣りが来ます。反面、文庫本と言うことで、分厚くなり、データを参照しづらく、また、コピー(参照しづらいので、モンスターデータなどをコピーしてた)を取るにも不都合でした。
後年、完全版とか言うタイトルで、A4サイズにリメイクされましたが。
システムの方は、レーティング表が多少煩雑であるモノの、非常にベーシックな作りで、初心者、特に、数字にアレルギーのある人(特に、女性の文系の方)でも、躊躇なくとけ込めるようになってます。
また、レーティング表を使用することで、2D6という、確率分布としてはあまりよろしくない六面体サイコロという乱数発生器でも、上手い分布曲線を描くようになっている…と、物の本で読んだことがあります。すいません、私も数学ダメな人間なんで。
基本世界も、一応、アレクラスト大陸という標準世界が付随してますが、自分で世界を作ることも容易に出来る、汎用ルールに仕上がっています。
考えてみれば、最近(2000年代)のルールは、とある世界観を再現するためにルールを作ると言うパターンが増えましたなぁ。昔のゲームは、ルールは判定基準の提示が主で、世界設定など、自作が当たり前だったのですが。まぁ、昔でも、その世界設定のためのゲームというのは少なくなかったですが、それでも自作の世界に転化できました。
まぁ、今のルールでもやってやれないことはないんでしょうけど…各マスターが世界を創世できないと言うのも、TRPG衰退の原因かしらね。
話が逸れました。ソードワールドも、ファンタジールールなんですが、判定方法が、非常にベーシックな作りですので、他の世界設定に容易に変換できます。クトゥルフタイプのホラーはちょっと無理ですが、退治型のホラー、CHILLやゴーストハンターの様な世界観ならば、問題なく転用できましょう。幽霊などの非実体モンスターの通常攻撃は、MPダメージにするとそれっぽいです。
種族表は、基本性格に置き換えます。エルフは神秘主義者。ドワーフは現実主義者などに変換する訳です。
また、スペースオペラは、宇宙空間でのファンタジーと言える感も含みますので、変換はより容易です。スターウォーズのような、ヒーローモノの世界観ならば、よりやりやすいでしょう。
どちらも、銃器のレーティング換算が少し手間ですが。学生の頃、試案だけは作ったので、それを引っ張り出すことにしましょう。
ともあれ、ソードワールドが、ここまでの地位に登りつめたのは、こうしたセールス手法や、ルール設定だけではなく、コンスタントにシナリオ集を出し続けたことではないでしょうか。
本家アメリカで、D&Dが未だに愛されているのも、簡易で奥深いルールだけではなく、その類い希なシナリオモジュールの数に、その一因があると思います。
そしてその根底には、このルールを楽しんで欲しい。と言うのもあるでしょうけども、それよりも「テーブルトークRPG」そのものを、長く楽しんで欲しい。と言う気持ちの表れではないかと思います。
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