2004

「牛方とやまんば」
日本の昔話   松谷みよ子 再話 『おはなしのろうそく』より
むかし、雪のちらつく寒い日のこと。三十郎という牛方が牛の背中にひだらを積んで山越えをしていると、銀色の髪をふりみだしたやまんばが追いかけて来た。

やまんばに言われるままに、ひだらも牛もほうりだした三十郎は必死の思いで逃げた。
山小屋をみつけて逃げ込むと、そこはやまんばの棲み家。
三十郎が天井裏にひそんでいると、やまんばが 「ひだらを1俵、牛を1匹食べたが、三十郎を食べ損ねてくやしい」とひとりごとを言いながら帰ってきた。
三十郎は「火の神さま」になりすまし、やまんばをだまして釜にとじこめ、やまんばを焼き殺してしまう。 後でみてみると、やまんばの正体は大きな山蜘蛛だった。

寒い季節にぴったりのちょっと怖い話。「馬方とやまんば」など、類話が多数ある代表的
な日本の昔話の1つ。 時間も5分ほどなので、小さい子でも十分聞ける。 山小屋で、
三十郎がやまんばに見つかりそうになる場面を、十分間をとって話すとスリルが出ると思う。


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