見つけたのはティアラだけではない。
国として、王としての在りかた。
まさに理想の息づいた場所であった。
いつか現在と違うドルフィシェを、傍らにはティアラ。
クラウドが描く未来の姿である。
『夢の中で在りし日の貴女の面影にお会いしています。
貴女の夢に私の姿はあるのでしょうか。
我が親愛なるティアラ・サファイア姫』
ダンラークのティアラへ想いを書き綴るクラウドの手紙には、距離と年月の隔たりが、
いかに大きいかを物語るには充分すぎるほど表われていた。
『夢の中の殿下は、いつも私に会いにきてくださってるからと信じております。
あなたのティアラ・サファイア』
想いに応えるような一文で結ばれたティアラからの手紙を何度も繰り返し読み直し、
クラウドは再びペンを執るのである。
婚約中に交わした恋文の多さは、本人が認識する以上に膨大な数であった。
<完>
おそらく男は女よりロマンチストだと思う。
竹を割ったような性格のクラウドは、元々手紙どころか字も上手ではないはず。
筆まめに変わったのは、ひとえにティアラに覚えていて欲しいから!
ティアラが嫁いでくるまで、「姫、姫」と周囲は耳がタコになるほどだったでしょう。(笑)
サイト開始から五年。
いまだ未熟ではありますが、どうぞ今後ともよろしくお願いします。
2008.1.3
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