フローリア:「今回は皆様ご無事でお帰りになってようございました。」
ティアラ:「お母様!?」
マーガレット:「まあ、貴女様が…。」
フローリア:「はい。いつも陰ながら拝見しておりましたが、一言ご挨拶に。では失礼いたします。」
サラティーヌ:「ごゆっくりできないのですか。」
フローリア:「何分、実体がないものですから。お会いできて嬉しかったですわ。」
マーガレット:「もういかれてしまいましたわ。」
ティアラ:「お母様。旅の間のことが気がかりでしたのね。」
サラティーヌ:「無理もありませんわ。あら、ご挨拶が遅れまして。今回は夫が大変お世話になりました。」
ティアラ:「こちらこそ父と夫がお世話になったそうで、感謝しております。」
マーガレット:「色々ご迷惑おかけしませんでしたか。」
サラティーヌ:「とんでもありませんわ。夫のジェフドは旅慣れてますもの。」
ティアラ:「思ったより元気で戻ってきて安心しました。」
マーガレット:「殿方ばかりで、一体どんな食生活していたのか、心配だったのですけど。」
ティアラ:「はい、本当に。お父様はともかく、私の夫は料理が出てくるまで座って待っているタイプです
から。」
サラティーヌ:「普通はそうですわ。」
ティアラ:「でも何か思うことがあったらしく、最近皮むきの練習を始めまして…。おかげでアップルパイと
ポテトパイの毎日ですの。」
マーガレット:「そういえばエンリック様も、珍しく弓を持ち出してサミュエルの所へ通ったりしてますわ。」
サラティーヌ:「ご子息のコーティッド公、何もおっしゃってませんか。」
マーガレット:「いいえ。サミュエルがどうかいたしましたでしょうか。」
サラティーヌ:「随分とわがままを言って困らせたようなんです。城で子供達とも遊んでくださいましたし。」
ティアラ:「私の子達とも仲良しですわ。」
マーガレット:「あの子は、結構面倒見が良くて。」
ティアラ:「サミュエルは案外しっかりしてますわ。クラウドも褒めてましたもの。」
サラティーヌ:「ティアラ様のご夫君は頼もしそうな方ですね。」
ティアラ:「サラティーヌ様こそ、優しそうで多才なご夫君ではありませんか。」
サラティーヌ:「すぐに外に出ていきたがってしまって。」
ティアラ:「そういう所も気が合ったようですわ。」
マーガレット:「でもお二方とも武芸に自信がおありでしょう。申し上げにくいのですが、エンリック様はいささか
その方面は…。」
ティアラ:「確かにお父様はお得意では…。」
マーガレット:「旅に剣も持たずに、足手まといになっているのではと。」
サラティーヌ:「他の事でお役に立ってくれたそうですわ。」
ティアラ:「買い物と料理の下ごしらえが上手なんですって。逆に何も出来なかったのはクラウドですわ。」
サラティーヌ:「あら、そんなことありません。一緒にいると絡まれることがなかったと言ってますもの。」
マーガレット:「やはり三人で楽しかったということでしょうね。」
ティアラ:「友達が出来たとそれは上機嫌でした。」
サラティーヌ:「対等に話せる相手が嬉しいのですわ。遊びばかりでなく、少しは勉強もしてきたようですし。」
ティアラ:「時々真面目な顔してカイル卿と話し込んだりしてますわ。」
マーガレット:「諸国を歩くと参考になるというのは本当ですのね。」
ティアラ:「旅の話だけではなくて、お土産もいただきましたわ。」
サラティーヌ:「ええ。綺麗な織物と香水。」
ティアラ:「私は貝殻のお人形と金細工の腕輪でした。お母様は?」
マーガレット:「象牙の櫛と貝細工の小物入れですわ。」
サラティーヌ:「きっと自分で選んだのでしょうね。」
マーガレット:「心遣いが嬉しいですわ。」
ティアラ:「はい。何より本人が元気ですもの。」
マーガレット:「顔を見て、安堵しましたわ。」
サラティーヌ:「そばにいてくださるのが、一番幸せだと気がついてくれますかしら。」
マーガレット:「もちろんわかってくださってますわ。」
ティアラ:「お名残惜しいですけど、そろそろ迎えの時刻のようですわ。皆様、ごきげんよう。」