制服
(注:ギャグ要素ありです)
戦闘から帰って、パイロットスーツをしまおうとしたキラは、クローゼットの端にかけてある赤の制服が目に入った。
ラクスが手配してくれたもので、一度しか着ていない。
(これ、アスランにあげよう。)
エターナルに移乗して、現在は隣室同士。
アスランはオーブの制服も持っているが、ザフトの制服を着ていることが多い。
やはり馴染みがあるのだろう。
手にとって、ドアの外へ出た。
アスランはシャワー後だったらしく、まだシャツのままだった。
ベッドの上に制服が出してあるのは、着替えの準備で、ただ散らかっているわけではなさそうだ。
キラが制服を手渡すと、
「もらっていいのか。」
「僕はもう着ないし。少しサイズ大きいから、アスランも着られると思うよ。」
アスランはじっと赤の制服を見つめる。
ザフトのエースパイロットの証。
今は袂を分かちたとはいえ、着慣れた服だ。
「ありがとう。」
素直にアスランは礼を言った。
何よりキラが袖を通したものだ。
たとえ着られなくてもいい。
「袖、通してみれば。こっち片付けておくから。」
アスランが上着を羽織ってる間に、ベッドにある制服をかき集め、クローゼットにしまいこもうとして、妙な顔をした。
動きが止まったキラに気付いたのか、アスランが声をかけた。
「どうした。」
「特注なのか、これ。それともフリーサイズ?」
笑いをおさえながら、キラが制服のズボンを見ている。
ウエストがゴム製だ。
キラが使った制服は普通に仕立ててあった。
アスランが真っ赤になって取り上げ、クローゼットに投げ込み、ドアを閉める。
「こ、これは艦内用だ!脱ぎ着が楽なように、ザフトは二種類あるんだよ!」
「そうなの?」
疑問に満ちたキラの目。
「いいんじゃないか。アスラン、昔から器用なくせに面倒くさがりだったもんなあ。」
ボタンはめる手間が掛からないからと、被り物ばかり着ていた。
今は手元にあるのは支給品ばかりなので何ともいえないが、少なくとも服装には無頓着であるには間違いない。
「ちゃんと、ボタンはめられる?アスラン。」
「当たり前だろう!ちゃんと着られるから、もういいよ。」
アスランはキラを入り口まで引っ張っていった。
ドアの前でキラは言った。
「平和になったら、一緒に買い物行こう。選んであげるよ。アスラン、センスないから。」
「余計なお世話だ。」
アスランは怒ったように、部屋からキラを追い出した。
その後で、ふっと考え込む。
(俺って、そんなにセンスないかなあ。)
ゴム制服を考案したのもアスランで、試しにサンプルを支給してもらったのだが、ニコルはとまどい、ディアッッカは大笑いし、イザークに至っては、
「制服はパジャマじゃねえんだよ!こんなの考えたのは一体どいつだ!」
怒って試着さえしなかった。
まさか自分だといえず、黙ったままだったが。
ただ便利性が認められ作られているが、好評でないのは言うまでもない…。
<完>
真面目なアスランファンの方が読んだら泣くか、怒るか、笑うかというシロモノ。(汗)
何気なくSEEDの話をしてた時、
私:「アスランってボタンはめられないから、被りのニットしか着ないのかな。」
種友:「まさか−。そんなんだったら、ズボンだってはけないじゃない。」
私:「ウエスト、ゴムだったりして…。」
テーブルに突っ伏して大爆笑!
「ねえ、アスラン好きだよね。」と聞かれて「うん♪」と答えながら笑い転げる私。
絶対アスランは同じデザインで色違い十枚とか持ってそうな気がする。
どう贔屓目で見ても、アスランの服のセンスはダサい…。