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アルミホイルでカイロを作る

                            

 化学カイロといえば、鉄粉を使うのが定番ですが、鉄に限らず金属なら何でも、さびるときには発熱しますから、アルミニウムでカイロにならないかと思って挑戦しました。また、この実験はすべて家庭で手に入る材料でできるように工夫しました。

【準備】
『器具』 やすり、紙の封筒、台所用ポリ袋
『材料』 アルミホイル、備長炭(炊飯用などの最高級のもの、または活性炭)、食塩水(濃度は任意)

【実験方法】
(1) アルミホイルの芯を抜いてつぶす。それをヤスリにかけて約5g(大さじ2杯)のアルミ粉を作る。
(2) 備長炭もヤスリにかけて約4g(大さじ2杯)の粉を作る。
(3) 濃いめに食塩水を作る。ティッシュペーパーを半分に切って封筒に入る大きさにたたみ、食塩水をたっぷり含ませて軽くしぼる。
(4) アルミ粉、備長炭粉、食塩水を含んだティッシュペーパーを封筒に入れてよく混ぜる。
(5) すぐに発熱が始まるので、封筒をポリ袋に入れて口をしばる。ポリ袋に小さな穴を2,3カ所開けておけば、発熱が長時間持続するであろう。

【注意】
 ティッシュペーパーに含ませる食塩水が多すぎると、発熱しないことがあるので、適量にすること。

【参考】
 アルミ粉がさびる反応を、単純にアルミニウムと酸素および水との反応と考えますと、化学反応式は次の通りです。なお、食塩は触媒としてはたらいています。
 4Al+3O2+6H2O→4Al(OH)3 +熱

 紙の封筒は自由に酸素を通しますから、この反応が一気に進んでしまい、カイロは高温になり、しかも短時間で発熱が終わることになります。そこで、カイロをポリ袋に入れ、小さな穴から少しずつ酸素が入るようにすることによって、おだやかに長時間、発熱が持続するようになります。市販のカイロの袋にも、同じ工夫がなされています。

 木炭粉は表面にアルミ粉と食塩水、酸素を吸着することによって、これらの物質の出合いの場を提供しています。
 なお、試薬として販売されているアルミ粉を使うと発熱しないことがあります。これはおそらく、表面が厚い酸化皮膜におおわれているためでしょう。

【参考文献】
1)『化学』編集部編「CMをにぎわしたヒット商品」化学同人(1998)