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CODって何?水を汚す原因探し

千葉県立柏高校 山本喜一

 水の汚れを調べる実験というと、欠かさず取り上げられるのがCODの分析ですが、これは実験そのものが複雑ですし、得られたデータを計算する理論も難解です。そういうややこしいことをやらずに、沼や川が汚れる原因を知らせ、CODとはどういうことなのかを簡単に示せないかと思って、この実験を開発しました。

実験1 汚れた水ときれいな水

【準備】
『器具』ビーカー、三脚、金網、バーナー、駒込ピペット

『試薬』0.1mol/lKMnO(過マンガン酸カリウム)水溶液・・・KMnO41.6gを水100mlに溶かす。
  6mol/lHSO・・・水60mlに濃硫酸30mlを少しずつかき混ぜながら加える。このとき、発熱するので、ようすを見ながら注意深く行うこと。なお、濃硫酸に水を加えると激しく発熱し、硫酸が飛び散る。絶対に、水の方に濃硫酸を加えること。

『試料』ドブや川の水、水道水

【実験方法】
 ドブや川の水と水道水を300mlずつ、別々のビーカーに沸騰させておく。その中に、駒込ピペットで6mol/lHSOを5mlほど入れ、硫酸酸性にする。そして、両方に0.1mol/lKMnO水溶液をピペットで1滴ずつ加え、ようすを見る。汚れた水はKMnOと反応し、その紫色を消すであろう。


実験2 水を汚すもの調べ

 家庭から排水と一緒に流してしまうようなものの中に、硫酸酸性KMnO4と反応するものがあるかどうかを調べる。

【準備】
『器具』試験管、ビーカー、三脚、金網、バーナー、駒込ピペット、薬さじ、ガラス棒
『試薬』0.001mol/lKMnO水溶液・・・0.1mol/lKMnO水溶液を100倍に薄める。
  6mol/lHSO
『試料』台所にあるいろいろな食品や調味料、石けんや洗剤、シャンプー、リンスなど、

【実験方法】
(1)0.001mol/lKMnO水溶液100mlに対し、6mol/lHSOを2〜3ml加えて酸性にする。これを、何本かの試験管に約3mlずつ入れておく。
(2)この試験管に、調べてみたいものを少しずつ入れる。砂糖やみそ、ご飯、ジャガイモ、ワカメ、牛乳、ジュース、石けん、合成洗剤、シャンプーなど、いろいろなものを試すとおもしろい。
(3)大きめのビーカーにお湯を沸かしておき、上の試験管を加熱する。そして、KMnO4の紫色が消えるかどうかを調べる。

 【写真左】 実験開始直後のようす。試験管には左から、ご飯、トマト、ハム、牛乳、合成洗剤が入っています。加熱しなくても、KMnOと反応しているものがいくつかあります。
 【写真右】 しばらく加熱したあとのようす。どれもKMnOと反応していることがわかります。
【解説】
 汚れた水にアオコなどが発生する富栄養化現象は、川や沼に流された多量の有機物が原因です。硫酸酸性のKMnOは強い酸化剤で、有機物と反応(有機物を酸化)しますから、汚れた水はKMnOの紫色を消し、水道水は消さないという結果になります。(実験1)

 実験2で分かるとおり、家庭から流すものは、ほとんどが有機物で、富栄養化の原因になります。台所に三角コーナーを置くのは、固形物で流しのパイプがつまらないようにするためだけでなく、水になるべく有機物を流さないようにするためでもあります。
 なお、この実験で、食塩(無機物)がKMnOと反応することがありますが、これは、食塩中の塩化物イオンが、KMnOで酸化されるためです。


実験3 CODって何?

【準備】

『器具』ビーカー、三脚、金網、バーナー、駒込ピペット
『試薬』0.1mol/lKMnO(過マンガン酸カリウム)水溶液
『試料』実験1で使った汚れた水と水道水、みそ

【実験方法】
(1) 実験1で使った二つのビーカーを再沸騰させる。
(2)ドブや川の水の方に、ピペットでさらに0.1mol/lKMnO水溶液を1滴ずつ加える。そして、何滴のKMnOの紫色が消せるのかを実験する。
   おそらく、数滴加えたところで、紫色が消えにくくなるであろう。これが、この水に含まれている有機物の量と関係している。
(3)次に、水道水が入っているビーカーに、ガラス棒で少量のみそを溶かす。そして、この中に0.1mol/lKMnO水溶液を1滴ずつ加え、何滴まで紫色が消えるかを実験する。
   こちらは、数十滴、数百滴のKMnO水溶液と反応するであろう。みそ汁などにはケタ違いの量の有機物が含まれていることが分かる。

【写真】 多量のKMnO水溶液の紫色を消すみそ汁。

【解説】
 硫酸酸性のKMnOは有機物と反応しますから、一定量の水にどれくらいのKMnOが反応するかということは、含まれている有機物の量と関係します。一定量の水と反応するKMnOの量を実験で求め、KMnOを酸素に換算した値がCODなのです。

 みそを溶かした液が、多量のKMnO4と反応することから分かるように、みそ汁や牛乳、米のとぎ汁、油などはかなり高いCOD値を持っています。お椀1杯のみそ汁を薄めて、魚が住めるようにするには風呂おけ約5杯分の水が必要だと言われているほどです。
 したがって、家庭からなるべく有機物を流さないように心がけることが大切ですが、トイレやお風呂からの有機物は流さないわけにはいきません。これらの処理のためには、きちんとした汚水処理場の設置が必要です。

 なお、工場からも有機物は排出されていますが、それは全体の約25%で、残り75%は家庭からの排出だといわれています。1)

【参考文献】
1)中西準子「水の環境戦略」岩波書店(1994)
 なお、この本に書かれている有機物の割合は、BODとしての割合です。

 山本喜一「すぐできる環境実験」、理科教室、500、52、新生出版(1997)
 山本喜一「CODの原因探し」、左巻健男・市川智史共編著『誰にでもできる環境調査マニュアル』東京書籍(1999)