朝鮮高校除外論に文科省に「反対」意見送付
橋下知事の暴言には抗議
いわゆる《高校無償化》制度の対象から「朝鮮高級学校(朝鮮高校)を除外することについて、鳩山内閣は検討する姿勢を示しています。その理由を首相は「朝鮮高校の教育内容が見えない」などとしています。
他方、では橋下・大阪府知事は「北朝鮮は不法国家である。暴力団が関わっている企業を府が発注事業の指名から除外しているように、朝鮮高校を無償化対象から除外するのは当然」と述べました。
協会では事態を重視し、文部科学省に対して「除外することは朝鮮高校生に対する重大な権利侵害」との意見を送付しました。
橋下知事の発言についても厳しく抗議しました。
理由の要旨は以下のとおりです。
@ 国会に上程されている『無償化法案』は制度の対象を「高等学校の課程に類する課程を置くものとして
文部科学大臣が指定する」各種学校が含まれると規定している。朝鮮高校は各都道府県知事から各種学校として認可され、確立されたカリキュラムにより安定した教育を長年にわたり実施してきている。そのことは日本のほぼすべての大学が朝鮮高校卒業生に対して、日本の「高校を卒業した者と同等の学力がある」として受験資格を認定していることからも明瞭で「教育内容が見えない」というのは「見ようとしない」立場からの《いいがかり》である。
A 課外活動の分野でも各種競技の全国高校大会に参加が認められ、今年の全国高校ラグビー選手権大会におけるベスト4進出は耳目に新しい。
B 政府・与党の一部には適用除外の理由に「北朝鮮との間に国交がない」ことをあげる意見もあるが、国交の有無を理由とすること自体が教育の機会均等の原則に反するだけでなく、国交のない「台湾」系の中華学校に制度の対象として想定されているのだから、いっそう辻褄があわない。
C 橋下知事の《暴力団うんぬん》発言に至っては、北朝鮮を《不法国家》と認定することには議論の是非があるとしても、在日コリアン生徒の学習権をなんら制限する理由にはならず、あまりにも非論理的な暴言である。
第52回定期総会 呉満教授の記念講演
韓国と日本 これからの
日韓のはざまに生きて
母が私を背負って
空襲下の三ノ瀬公園を
呉さん 私は1944年、布施(現東大阪市)で生まれた在日韓国人です。太平洋戦争の末期ですから、母が赤ん坊の私を負ぶって、空
襲下の三ノ瀬公園を逃げまどったと聞いています。
少年時代は日本が戦後のいちばん貧しい時期で、布施の駅前にバラック小屋がいっぱい建っていました。私たちの家族も貧しく、銅線を拾ってきて兄にほめられた記憶があります。
50年に布施第7小学校に入学しましたが、おりしも《韓国動乱》=朝鮮戦争が勃発。《朝鮮特需》景気が始まりました。
私の家族は、まもなく三重県の青山町のアホ(阿保)と書いてアオと読む変な所(笑)に転宅しました。小学校には雪が50センチも積もっていました。松原市にも同じ地名があり、在原業平の父・阿保親王に関係している由緒ある地名で、本当は変なところではありません。
天理大 → ソウル大へ
学問としての朝鮮語を
呉さん 大学は天理大学に行きました。
私は学問として朝鮮語を学びたかったのです。当時、関西で朝鮮語を学べる大学は天理大と大阪外国語大だけでした。その後、韓国政府の国費留学生としてソウル大の言語学科を終了し、いま、大阪経法大では韓国語と地域(コリア圏)文化論を教えています。
韓国の大学で痛感するのは学生が「猛烈に勉強する」ということです。
こんな話があります。
「お金が入るとソウル大生は本を買う。〇〇大生は
服を買う。▼▼大生はマッコリ(濁り酒)を買う」
強烈な学校間格差を揶揄していますが、韓国が苛烈な学歴社会であることの1側面でしょう。「よい学校をよい成績で出る」という勉強第一。比べて日本の大学生は勉強しませんネ。(笑)
白頭山の天池の水に
呉さん ご承知のとおり、コリアは南北に長い半島で、さらに海上に少し離れてチェジュ(済州)島があります。半島の北部と最南部の済州島では、気候が大きく異なります。だから、「北部の人は済州島を、済州島の人は白頭山を、一度、見てから死にたい」がコリアンの願望の1つだといわれたりします。
私の親は済州島出身。私は白頭山に2度、登りました。親孝行でしょう。(笑)
2度目のとき、頂上のカルデラ湖=天池の水に足を浸してみたのです。冷たいのなんの2秒ほどで慌てて足を引き抜いたら、浸していた部分がまッ赤。貴重な経験です。(笑)南北コリアの人々が済州島や白頭山に、互いに気軽に行ける日が早く来ることを願わずにはおれません。
北の根本理念《赤化統一》が変わらないこと
呉さん そこでコリア南北の統一の問題ですが、これは北朝鮮の根本理念である《赤化統一》が変わらないと難しいと思われます。
いま、北朝鮮の6者協議への復帰を巡って、米国と中国が努力していますが、米・中の思惑もあり、北朝鮮のいわゆる《後継者》問題や《体制維持》といった問題もからみ、どういう結果が出てくるのか。見通しはむずかしい。また、北朝鮮の問題になると、日本の学者の観測がマトモに当ったためしがない。(笑)
日本の植民地支配の実相克明に示す史料まとめる
呉さん 大阪経法大出版部刊行の書物に『満州事変前夜における在間島日本総領事館文書』上・下があります。私は著者の一人。上が5万円、下が3万5千円ですから、簡単に買って下さいとはいいませんが、貴重な本です。日本はアジア太平洋戦争の敗戦時、植民地支配に関係する資料の多くを焼却などして湮滅しましたが、当時、総領事だったS氏が命がけで持ち帰った資料が原本です。その翻訳・解説に参加できたのは、研究者としていささかの誇りです。
間島はコリア民衆の抗日運動が強かった地域です。それだけに日本の植民地支配の実相を克明に示す公文や機密文書がいっぱい含まれているからです。
日本の《韓国併合》から今年は100年。これからの100年はどのような両国関係が構築されるのか。日本が過去を真摯に清算することが前提ですが、日韓のはざまを生きてきた者として、あらためて強い使命感のようなものを実感しています。
(抄録/文責編集部)
『日清・日露戦争の虚像を解明する』に 早くも反響!
協会刊行の『日清・日露戦争の虚像を解明する』に会員の皆さんから嬉しい反応です。 刊行のお知らせを載せた『にっこり通信』がお手許に届いたその日、早くも協会顧問の姫野浄さんから20部の注文がありました。
理事の菊井忠雄さんも10部を普及です。
また、弁護士の松井清志さんから「早速、面白く拝読致しました。気がついた
点をお知らせします。《5頁下段の駆遂を要請する公文書》とあるのは《駆逐》のではありませんか」とのファックスが届きました。まことに丁寧な読み方をして頂いています。
「松井さん、ご指摘のとおりの誤植です。お知らせ、有難うございました」
会員の皆さんからのご感想をお待ちしています。また、ぜひお一人10部程度の普及にご協力を!
新年 おめでとうございます
理事長 飯 田 光 徳
ご高承のとおり、今年は旧日本帝国主義が「旧韓国」を植民地として支配する「条約」を押し付けた − いわゆる《日韓併合》から100年になります。
これを機に日本とコリア関係の新しい100年に向けての取り組みを論ずる思潮があります。相互尊重・共栄の関係に向けての新たな模索は、もとより必要なことです。しかし、そのためにも植民地支配の清算は不可欠です。北朝鮮との国交正常化と韓国に対してもなお残る諸懸案の解決こそ急がれます。
日本コリア協会・大阪はそれらのためのさまざまな取り組みを強めていく所存です。皆様のご協力・ご支援をお願いいたします。
なお、《併合100年》にかかわって日本コリア協会・大阪が刊行した冊子=「日清・日露戦争の虚像を解明する」の普及にも、格別のご協力を訴える次第です。
市史の中のコリア
戦死者に対する
《盛大》な葬儀
寝屋川市史第6巻・近現代史料編によると、同市の『寝屋自治会文書』として『明治37年8月7日 日露戦争戦死者村葬順序』が掲載されています。
「故陸軍歩兵一等卒〇〇君葬式順序
第一砲 礼 砲
第二砲 一同着席
第三砲 出 棺 式」
といった具合に「第八砲(式終ルヲ告)までに対応する次第が示され、そのあと《行列順序》がじつに詳細かつ仰々しく記されています。
一旭尋常小学校生徒職員諸氏
一交南尋常小学校職員諸氏
一交南高等小学校生徒職員諸氏
にはじまり「先駆 警固 銘旗 立花」とつづき、その立花の名義人には郡長、郡教育会らのほか、驚くのは「真宗以外の各宗僧侶」として、なんと24の寺院の名があげられ、真宗からは15寺と、郡をあげての
寺院の参加です。
また、紅旗 白旗 赤十字旗 愛国婦人会旗 北河
奉公義会旗が立てられ、高張堤燈、楽人とその附属太鼓・助音、鈴、香炉その他が並びます。
さらに「会葬者」には
一官 吏
一各町村長
一村会議員
一愛国婦人会員
ほかがあげられています。
葬送行列は喪主より前に葬主(村長)、副葬主(常設委員)が歩きます。
一庶民といえどもこういう大規模かつ「荘重」な葬儀が挙行されるのは「お国のために命を捧げた」からであり、それは「いかに名誉なことか」という宣伝でしょう。
ちなみに、日露戦争における同市の戦死・戦病死者数は20名、日清戦争では2名で、同市史の旧版=1965年版には氏名も記載されています。
絵馬寄進の運動
住民に強いる?
ほかにも、日露戦争に関して同市史は『明治39年3月』時点での『日露戦争絵馬寄付名簿』(小寺辰夫家文書)を掲載しています。「非常組」なる組織が発起人となり、計92名が、少ない人は2銭から多額の人は2円50銭まで、寄金しています。日露戦争を《愛国心の育成》に結びつけたい当局の意図が浮かび上がっています。
このような動きを(司馬遼太郎にならって)同戦争に対する《国民の支持》の広さと指摘する向きもあるでしょう。しかし、興味深いのは寄金者の名簿中に、一旦、寄金に応じながらその後、取り消した人がいることや、発起人として「非常組」に名を連ねながら寄金していない人もいることです。この絵馬寄進が民衆の自発性によるとはいえないものを感じさせます。
朝鮮問題で両国
険悪で開戦へ
なお、日清・日露戦争に関して同市史旧版)は、次のように述べていることを追記しておきます。
「明治二七年、朝鮮問題で日本・清国間が険悪となりついに戦端をひらくにいたった」「日清戦争後、満州問題の紛糾が大きくなり、明治三七年当時世界最強といわれたロシヤを相手に戦わざるをえなかった」「これ(梅原健三氏の戦死=編集部)は日露戦争における陸海軍を通じての最初の戦死というので全国的に知れわたった。…時の郡長斉藤研一が国民の士気を高揚させるため、いまに語り草となる立派な葬式を営んだ…」
『地方参政権』に新展開
次期通常国会で法案提出も
在日外国人への「地方参政権付与」(以下、単に地
方参政権)問題について鳩山首相は、来年1月に招集
される次期通常国会での提出も「視野に入れて準備を
していく必要」との考えを示し、注目されています。
日韓首脳会談
以後の動き
地方参政権について民主党はかねてから、その実現に賛同の意向を示してきましたが、先の総選挙マニフェストには取り入れず、10月9日の日韓首脳会談でも「個人としては前向きに考えているが、国民の理解が十分とはいえない」と述べ、その《動揺》ぶりが懸念されていました。
ところが、各紙報道を総合すると、公明党が法案提出を準備しているとの情報が流れたことから、10月22日の記者会見で、次のように表明しました。
「政府としては法案提出の準備ができていない。だから、この臨時国会での提出はむずかしい」「来年1月の通常国会では、政府として提出も視野にいれての準備が必要だと思う」
政府・与党内に
根強い異論も
しかし、この鳩山発言、政府・与党内でも見解が簡単に一致するようには見えません。
社民党から異論は出ないでしょうが、亀井静香国民新党代表(金融・郵政担当相)は「慎重に扱うべき」との見解を公表していますし、民主党内にも異論の持ち主が相当数、存在していることが以前から知られています。
ただし、小沢幹事長は来日した李相徳韓日議員連盟会長=李明博大統領の実兄=との会談(9月19日)で「なんとかしなければならない。通常国会では目鼻を付けたい」と語り、付与に「あらためて賛同」したと『民団新聞』が報道しています。
なお、公明党は民主党の動きをうけ法案提出を見送りました。
新議員相手に
民団、動き活発
ここに来て在日韓国民団は付与実現の取り組みを強めています。本部や各支部では「推進派の新人議員」をターゲットに「大規模の集会や個別に親交を深める」方向です。
総選挙で当選した民主党の新議員は143名。その大半は「推進派と目されています」が、彼らの選挙区の支持者などから、もし強い反対論が出てきた場合、どこまで推進派として態度を貫けるのか、その「理解度や覚悟は必ずしも十分といえない」点を危惧しているからです。
たとえば、総選挙後、民団が兵庫県で開いた『学習会』に参加した議員の一人は「反対のメールがたくさん届いていることに困惑」と、率直に語った経験も伝えています。
大阪ではすでに民主党所属の衆院議員15名、参院議員2名を招き《政策懇談会》を開催しました。
市史の中のコリア
松原市
三宅村空襲の時の
話をご存知ですか
1944年12月19日午前1時45分−というから、人びとの実感としては18日の深夜、大阪市の東南周縁部(当時/瓜破村)と松原市の西部(当時/三宅村)の上空で、航空機の鈍い爆音が急速に高まったかと思うと、1機のB29(当時の米空軍の最大の爆撃機)から18個の爆弾が投下されました。
大阪府下に対する最初の空襲(以下、三宅村空襲=編集部)として記録されています。
大阪府下に向けての米軍空襲は、その後の45年3月13〜14日の『大阪大空襲』と呼ばれるものをはじめ、《終戦》前日の『京橋駅空襲』まで50余回、警察の発表によっても被災者=122万4千名余、死者・行方不明者あわせ=約1万4千8百名という残酷なものですが、三宅村空襲は米軍にはほんの小手調べだったのでしょうか、さいわい−というのもおかしな言い方になりますが、投下された爆弾は
― すべて田んぼと大和川の川床に落ち」 ( 『松原市史』 511〜2)ました。
(ただし、家屋半壊/軽傷者2名との説もあります)
しかし、この空襲には重大な側面がありました。
『松原市史』 は次のように記述しています。
― 大阪府警察局作成の 「空襲被害状況ニ関スル件」 は、 このとき両村に爆弾が投下された 「主要原因」 として 「(1)大阪金属株式会社(現ダイキン工業/編集部)大和川航空機製作所及其ノ附近ニ工場建設ノ為飯場ニ居住セル鮮人家屋ノ灯火管制不良ナリシコト」…「(2)附近ニ重要施設ノ所在スルコト」の二点をあげたうえで、
― 「今後教育訓練実施上相当考研ヲ要スルモノアリ」と記していた。 ・・・「重要施設」とは・・・上記の「航空機製作所」と「大正飛行場」(現・八尾飛行場/編集部)…を指すとみてよかろう。引用文中の「鮮人」は、植民地支配下の朝鮮人に対する差別語である。…だが、この時の空襲では、爆弾が落とされたあとで、慌てて警戒警報が出されるという状況であった。しかも、この時期には…大和川航空機製作所の建設は、4ヶ月前には完全に終わっていて…飯場はすでに存在していなかったのである。この朝鮮人労働者と工場建設当時の状況については、横山篤夫「大和川航空機製作所の用地買収と朝鮮人労働者」(『戦争と平和』大阪国際平和研究所紀要
平成4年)で明らかにされている。同論文は、工場用地として農地を提供した農民側の交渉委員の一人だった北風甚蔵の証言を中心とした…研究である。
関東大震災時を思い起こさせる!
『松原市史』 は続けてダイキン工業の生い立ちや軍需工場としての性格について、詳しく述べていますが、今はその点は略し、さきに「重大な側面」と記した理由を書きましょう。
それは、この時、まだ飯場が存在していたら「どんなコトが生じていたか」という問題です。
「居住していた」朝鮮人は否応なしに拘引、拷問され、「相当考研ヲ要スル」罪を犯したと、デッチ上げられた可能性があります。
警察は飯場がすでに存在していないのに、あえて「今後教育訓練実施上相当考研ヲ要スル」と書いているからです。
さらに、その《事実》が《流言》としてひろがれば―なにしろ警察が《認定》した訳です―その後のあい次ぐ空襲の下で「朝鮮人が爆撃を《誘導》している」とネジ曲げられていった恐れも否定できません。
そうなると、慄然となる連想が…そうです。関東大震災時、「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ」というデマが官憲筋から流されて、おぞましく恥ずべき、あの『朝鮮人大虐殺』が惹き起こされたことです。
この事実を市史に書き留めた松原市の市史編纂委員会に敬意を表します。
『朝鮮通信使縁地連絡協議会』の第16回全国交流集会が10月17〜18日、
雨森芳洲ゆかりの滋賀県高月町で開催されました。
パネルディスカッション
雨宮芳洲庵 芳洲像
雨宮芳洲庵 庭を臨む
雨宮芳洲庵 資料室
朝鮮通信使行列
《教科書採択》で各市教委に要請
『つくる会』 版だけでなく、分裂グループ執筆版にも警戒が必要
日本コリア協会・大阪は、 このほど、 府下各市町村の教育委員会にあてて、 2010年度から使用される中学校「社会科歴史 ・ 公民的分野」の教科書の採択に関し、
いわゆる 『つくる会』 教科書 (扶桑社版)もしくは 『つくる会』 から分裂したグループが執筆している 『自由社版』 教科書が採択されることがないよう、
要請書をおくりました。
市町村教育委員長殿
日本コリア協会・大阪
理事長 飯田光徳
2010年度用教科書の採択についての要請
謹 啓 貴市(町村)の教育行政に関する日ごろのご精励に敬意を表します。
2010年度から使用される教科書について、その検定に《合格》したものの中に「新しい教科書をつくる会」(以下、「つくる会」)のメンバーが執筆・編集し、扶桑社が刊行した教科書(以下、「扶桑社版」)が含まれています。また、「つくる会」の内紛で分離したグループが作成、自由社が刊行した教科書(以下、「自由社版」)も、今回、新たに検定合格となっています。両者は、侵略戦争を肯定する時代錯誤かつ偏狭な歴史観と記述内容において瓜二つです。
そして、前回の教科書採択時、「扶桑社版」が内外世論のきびしい批判をあびたことは、貴職におかれても、すでにご高承のところと存じます。
今回も「扶桑社版」および「自由社版」は、早くも内外からの批判が集中するところとなっています。
つきましては、今回の教科書採択に際し、下記の要請内容をふまえ、教科書が公正かつ民主的に選定されるよう、十分にご配慮いただきたく、お願い申し上げます。
【要請内容】
1 現場教員が十分な時間的保障のもとに教科書についての調査・研究が出来るよう配慮するとともに、その意見を重視して教科書を選んで下さい。いかなる教科書を用いるかについては、日ごろから生徒・児童と深くかかわり、その状況をよく把握している現場教員の意見が重視されるべきことは、国際的にも確証されています。
2 各教科書の調査から採択に至る過程すべての情報を公開して下さい。
3 憲法の理念と教育の目的にふさわしい教科書を選んで下さい。「広い視野に立って社会に対する関心を高め、諸資料に基づいて多面的・多角的に考察」(学習指導要領の目標)な
ど、総合的な基準によって採択して下さい。「我が国の国土と歴史に対する理解と愛情」など、学習指導要領の断片のみを基準としないで下さい。
4 わが国の過去の戦争を美化したり、武力をもって国際社会に対応することを強調する教科書は採択しないで下さい。
5 以上の観点を総合し、中学校「社会科歴史・公民的分野」の教科書には「扶桑社版」および「自由社版」を採択しないで下さい。
以 上
2009年7月31日
「喜志の宮さん」に通信使絵馬をたずねて
なぜ、桜井村に通信使の絵馬が
近鉄長野線の「喜志」駅から程遠くない『美具久留御魂(みぐくるみたま)神社』。地元では「喜志の宮さん」と親しまれています。
この神社には、《全国でも一つしか存在しない》と思われる珍しい絵馬が奉納されています。淀川を行く朝鮮通信使の船団です。(以下、通信使絵馬)
喜志桜井村(以下、桜井村/現・富田林市内)は大和川の支流・石川に沿って江戸期までは水運に恵まれた地域でした。しかし、通信使が往来した淀川からはかなり離れています。そういう桜井村に通信使絵馬が奉納されているのには、どういう事情があったのか。経緯を語る添え書もなく、故シン・ギス=辛基秀さんはじめ、学者や新聞社なども調査したそうですが、はっきりしないといいます。
それでも、何か事情の一部でも窺い知ることがあれば―と思い、美具久留御魂神社を中心のフィールドワークを6月の『コリア問題講座』に設定し、現地講師には富田林市教育委員会の中辻清さんのご協力を頂戴しました。
粟が池は日本一古い人工池か?
まず訪れたのは、駅から神社に向かう途中にある《粟が池》。中辻さんが参加者に質問されます。
「日本でいちばん古い人工の池は?」
誰かがおずおずと、答えます。
「狭山池ですか」
「そういうことになっています。しかし、狭山池は7世紀前半の造成、発掘によれば粟が池はもっと古いと思われます。そして、大阪狭山市と富田林市は隣接している。つまり、この地域には大きな池を造成できる技術を持った集団が存在したこと。その集団は朝鮮半島からの渡来人。狭山池造成のリーダー行基さんが渡来系の人だったことからも推定できますネ」
11名の後裔は現在も在住か?
つづいて訪れた美具久留御魂神社は、河内国二の宮という由緒にふさわしく、堂々たる風格です。
お目当ての絵馬は、畳一畳より少し大きく、画面上部には「奉掛御寶前」、左に「乙亥元禄八年九月吉日」下部に「喜志桜井村」の文字があり、続いて平蔵以下11名の名前が書き込まれています。
宮司の青谷正佳さんが説明して下さいました。
「現在はこのように、収蔵庫を兼ねた絵馬堂内に掲揚していますが、以前の絵馬堂は開け放たれたまま。その上、朝鮮が日本の植民地とされていたために、由緒なども一切、判らないままに放置されていたのが実情です。ずいぶん傷んでいました。辛基秀さんから『これは貴重なもの』といわれて、私たちは初めてその価値に気がつきました」
絵馬の傷みは、青谷さんが多額の私費によって文化財修復で著名な方に依頼、丁寧に修復されています。その後、各所の展示会に出展、アメリカにも渡ったことがあるそうです。
絵馬に名を連ねる方の後裔は、果たして現在も桜井にいらっしゃるのか。
宮司さんによると『市蔵、菊松、小右衛門』の3名の子孫に当たる方は判明していて、いずれもHさんと名乗られています、他の人々については判然としないそうです。

百済と深く関わる豪族の一連の遺跡
「喜志の宮さん」をあとにして、中辻さんがご案内くださったのは『オガンジ池瓦窯跡』『お亀石古墳』『新堂廃寺』。どれも特色のある遺跡です。
【お亀石古墳】は、埋葬施設がよく観察できます。興味深いのは、埋葬施設周囲に瓦が壁状に積み上げられていたこと。こういう古墳は全国でお亀石古墳だけ。
その瓦は【オガンジ池瓦窯】で焼かれたもので新堂廃寺に使用されており、飛鳥寺や山田寺などと通ずる百済系の瓦です。しかも、百済系の瓦が使用されている比率は飛鳥寺で40%、新堂廃寺は100%。
【新堂廃寺】には、さらに注目される点があります。
「新堂廃寺の遺構は、北に向かって中門、塔、金堂、講堂が一直線上に並び、その周囲を回廊が巡る伽藍配置です。近年、韓国の旧百済地域で発掘された寺院遺跡にまったく同じ構造のものがあります」
「韓国忠清南道にある聖住寺跡は『三国史記』で烏含寺=ウガンジと呼ばれている寺で、それがオガンジという風変わりな名称の源流ではないか。一連の遺跡は百済と縁の深い氏族との関わりを物語っています」

中辻さんの丁寧な説明に、感謝するところの多い1日でした。(記/R・N)
北朝鮮の核実験に厳重に抗議する
日本コリア協会・大阪 理事長 飯田光徳
5月25日、北朝鮮は『朝鮮中央通信』を通じて、同国が核実験を実施したことを公表しました。
核廃絶を求める国際世論に逆らうこの核実験に、厳重に抗議します。
北朝鮮は、今般の核実験を同国が「強盛大国」にいたる門を開くものとして自賛していますが、とんでもありません。かえって、世界の人々からの非難を浴び、国際的孤立
を招くだけの「愚挙」というべきです。
私たち日本コリア協会・大阪は、同国がその安全を真に確保するためには、コリア南北の和解と協調を増進することこそがもっとも有効な方策であり、かつ、その内容は韓
国民衆に支持・歓迎されるものであることだと、かねてから指摘してきました。
先に、北朝鮮が衛星打ち上げを口実としたロケットを発射したことに関し、それを批難する国連安保理の議長声明が意に沿わないとして、6カ国協議からの離脱を表明した
際にも、そのように論じました。
今般の核実験に関しても、かさねて同様に指摘します。同時に、核廃絶を希求する国際的良識に北朝鮮がしたがい、核兵器開発の道をみずから封ずるとともに、6カ国協議
に速やかに復帰することを要求します。
2009年5月26日
北朝鮮自身にも益のない愚挙
安保理決議違反とは断定できないが
4月5日、 北朝鮮は《衛星》を発射しました。
自制を
強く求める国際的な声を顧慮せずに強行
された発射は、 まことに 「遺憾」 ですが ……
北朝鮮は、衛星の発射は宇宙の《平和利用》の範囲であり、どこの国に対しても国際的に認められている権利であり、国際機関の規制にもとづき必要な《通知》も行なっている。自制を求めたり、非難すること自体が国家主権に対する《不当な干渉》だと開きなおっています。
この言い分について米・日・韓などの政府は、国連安保理事会が北朝鮮に対して求めている「ミサイル発射規制」の決議に反した挑発的軍事行為だと非難しています。
日本コリア協会・大阪は発射がただちに安保理決議に違反するとは断定しませんが、この発射行為はコリア半島と北東アジアの平和に有害であるばかりか、北朝鮮の国防や経済発展のためにも何のメリットももたらさない《愚挙》だと考えます。北朝鮮が追求すべき路線は、韓国民衆の支持を得られる南北協調の強化ではないでしょうか。
(にっこり通信4月10日号より抜粋)
「にっこり通信」のその他の記事
1 いま、大阪府政は?
2 日清・日露戦争の虚像を解明する
3 竹島問題 正確に理解するために |