(fake) Day By Day: The Complete "Get Back" Sessions Vol.31
レーベル: (fake)Yellow Dog
カタログ番号: YDD061/062
リリース時期: 2002年夏
メディア:CD-R
これは昨年夏にヨーロッパで出回り始め、その真偽をめぐっての議論が海外では激しかったニセの『Day
By Day』である。Vol.29-32の4巻分が一時にリリースされており、その後Vol.29と30については本物が出ている。しかし、今後の『Day
By Day』の発売が絶望的になった今となっては、偽物とはいえVol.31と32が出されていたのは結果的に幸いだったことになる。内容的には正確に本家のVol.30と繋がっており、音質面でも遜色はない(若干ヒス・ノイズが大きめか?)。
ゲット・バック・セッションのサウンドトラック・テープのコピーの完全セットは複数のコレクターが所有しているようで、事実、パーフェクト・クライム(Perfect
Crime)というブートレガーによる『Beggining Of The End』シリーズという『Day
By Day』とほぼ同内容のブートレグもある。今後は別のブートレガーが『Day
By Day』のあとを引き継ぐことに期待したい。
disc A
track1 (roll 504A-1)
*Oh! Darling | 27.06 |
*Let It Be | 27.07 |
Let It Be | 27.08 |
アスタリスクをつけ、赤字で表記した演奏はBロールには録音されておらず、このAロールでしか聴くことができない。特に、「Oh!
Darling」が一度キーを落して試演される場面は新鮮で中々面白い。次のDDSI27.07「Let
It Be」もAロールのみの収録である。
Bロール(1093B)は27.08の途中から録音が開始されていて、Aロールにはテープ交換中のために捉えられていない27.08の後半及び27.09が収録されている。このように、Aロールでは聴けない部分がBロールで聴けたり、または逆にBロールには未収録の部分がAロールには入っていたりという場合が今後も引き続き出て来る。これが、完全収集を期すコレクターが、大半が内容的にダブるとは言えAとBの両ロールを欲する理由である。
なお、これと次のロールは両方とも504とアナウンスされていて、その後のロールでもこのずれが正されることなく続けた番号でコールされていく。このためダグ・サルピー氏はこのロールを504A-1、次のロールを504A-2と呼んでいる。
【注:ここで用いているDDSI番号は、Gol
Wax誌に掲載されていた「Day By Day検証」とは違って私独自の観点による変更は加えておらず、「910's
Guide Vol.2」でダグ・サルピー氏が付与したものをそのまま(もっともこれもサルピー氏に確認を取ったわけではなく、私の推測に過ぎないが)使っている。】
track2 (roll 504A-2)
Let It Be | 27.10 |
Let It Be | 27.11 |
Let It Be | 27.12 |
Let It Be | 27.13 |
Let It Be | 27.14 |
「Let It Be」のリハーサルが続いている。27.10は通し演奏だが、Aロールでは途中からの収録。ジョンのベースが相変わらず粗い。ポールがリンゴにドラミングについて指示してから始まる27.11は曲の後半部のリハーサル。27.12は歌なしの状態で続く、軽快でファンキーな感じもする演奏で(ジャム的でもある)、終盤でジョンやジョージが気ままに歌い始める。そのあとポールは初めから演奏を始めるが(27.13)、ビリー以外の3人はドラム音がPAに拾われているかどうかを確認していてしばらく加わらない。この27.12と27.13はBロールでは不完全収録だった。これも通し演奏である27.14の途中でこのロールは時間切れとなる。
track 3 (roll 505A)
Let It Be | 27.14 cont. |
Let It Be | 27.15 |
Let It Be | 27.16 |
Let It Be | 27.17 |
Let It Be | 27.18 |
The Long And Winding Road | 27.19 |
27.14の続きからテープが始まる。短いリハーサルである27.15のあとではジョンが6弦ベースで「The
Train Kept A-Rollin'」のリフを弾くのが聴ける。27.16は流して演奏しているようなテイクだが、いつものこの曲とは違って軽快で陽気な感じなのが面白い。ポールが前半でボーカライズする以外は殆どインストゥルメンタル。27.17はふざけ半分に始まる完奏テイク。曲の後半ではジョージが、コーラスを長く歌い続けているポールを正して最終バースへ入らせている。おまけ的な27.18が丁度終るところでロール1094Bは終了していた。ポールは次に取り組む曲を「The
Long And Winding Road」に決めると早速最初から演奏を始めるが、いつもの通り気になるところがあると皆を止めて指示をしつつリハーサルを進めていく。
track 4 (roll 506A)
The Long And Winding Road | 27.19cont |
The Long And Winding Road | 27.20 |
「The Long And Winding Road」の地道なリハーサルが続く。しばらくの間バンドのメンバー達とジョージ・マーティンがPAやエコー・ユニットなどについて話し合ったあと27.20(しまりのないリハーサル・テイク)が始まり、その途中でテープが終る。
disc B
track 1 (roll 507A)
Little Demon | 27.21 |
The Long And Winding Road | 27.22 |
The Long And Winding Road | 27.23 |
The Long And Winding Road | 27.24 |
Save The Last Dance For Me | 27.25 |
improvisation | 27.26 |
Old Brown Shoe | 27.27 |
27.20が終った直後からテープが始まる。ポールがマイクに向かってふざけた声を上げ始めるとリンゴやジョンがそれに合わせ、スクリーミン・ジェイ・ホウキンスの「Little
Demon」をジャムる。27.22は全くのおふざけで、27.23の「Winding
Road」が真剣な演奏。リンゴがブラシを使っているのが特徴的。演奏の出来は昨日のテイク1(発表されたテイク)には及ばない。この日はこの曲と「Let
It Be」のいずれもマルチトラックには録音されなかったようだ。27.24から26はアウトテイクのフィルムが音声付きで広く出回っている。そしてポールに代ってジョージがピアノに向かうと昨晩出来たばかりで、先程皆に披露してみせていた「Old
Brown Shoe」(この時点ではタイトルはまだ決まっていない)を弾き始める。マイクを通していないので歌声は殆ど聞こえない。途中からリンゴがドラムで加わる。
track 2 (roll 508A)
Old Brown Shoe | 27.27 cont. |
「Old Brown Shoe」をジョージが一人で演奏している。リンゴのドラムとポールのベースが加わり、ジョージの歌声もついにオンになる。ジョージは一旦演奏をやめるが、7分過ぎからまた曲を再開し3人でのリハーサルが続く。難しいリズムの曲を不慣れなピアノを弾いて演奏するのはジョージにとっては困難なことで、途中で「ピアノはとても難しい」と言っている。リンゴはドラミングを試行錯誤している。
ビリーがエレクトリック・ピアノ、ジョンがレズリー・スピーカーを通したギターを弾いて演奏が仕切り直される。このテイクが終ると、シンバルを使わないドラミングをジョージがリンゴに希望し、改めて演奏が始まる。リンゴはスネアで、疾走する蒸気機関車のようなリズムを叩き、ジョンは指の赴くままにギターを弾いていく。
track 3 (roll 509A)
Old Brown Shoe | 27.27 cont. |
improvisation | 27.28 |
先程の演奏の続きから始まり、1:08からは、イエロー・ドッグの『All
Things Must Pass Part 1』以来聴き馴染んできたテイクが開始される。誰もがこの曲の演奏には苦労していて、まだこの段階では曲の流れについていくのが精一杯という感じである。最後にミドル部分を中心としたリハーサルが行われ、この日のこの曲への取り組みは終る。そして、ジョンのギターが中心となった気だるいインストゥルメンタルの途中でテープは時間切れになる。
track 4 (roll 510A)
improvisation | 27.28 cont. |
*High Heel Sneakers | 27.29 |
*Get Back | 27.30 |
*improvisation | 27.31 |
improvisation | 27.32 |
"I Told You Before" | 27.33 |
27.28の続きからがこのテープに収められている。次の3つの演奏はAロールにしか捉えられていない(この前後で彼らは昼休みをとったと考えられる)。27.29は「High Heel Sneakers」というよりは即興ジャムで、ビリーのオルガンが黒さ/ファンキー感を振りまいている。27.30の「Get
Back」はお遊び的なものでポールがドラムを叩いている。27.31のジャムが始まって20秒程で録音が一旦止められる。
27.32の演奏途中から再びテープが回される(ロール1099Bの方がわずかに早く録音再開)。これも即興のインストゥルメンタルで『Thirty
Days』で初登場していた。マーク・ルイソン氏が「レコーディング・セッション」において、「10分54秒の長さがあり、ヘヴィで非構成的で・・・・・ほとんど聴くに堪えない」と表現していた「Untitled
Jamming」がこの演奏のことだと思われる。ジョン・バレットのノートによると、EMIの保管庫にあるE90497番のマルチトラックに収録されている。
まさにヘビーな演奏でドラム・キットにはポールが座っている。曲自体は単純なもので、ジョンが鳴らしているドローン効果的な音が隠し味になっている。それが終るとすぐさまビリーが「"I
Told You Before"」をオルガンで弾き始め、バンドがそれについていく。ポールはドラムから離れてベースに戻り、ジョンはマラカスを振る。ビリーの熱い演奏がビートル達を鼓舞し、リンゴとジョンが所定の楽器に戻ると全員による力のこもったパフォーマンスが繰り広げられていく。
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