Beatles 64![]() 英国でデビューシングル"Love Me Do"が 62年10月5日に発表されたのを記念して2000年の同日FM Port Waveで Mさんとともに、彼らの特集を組んだ。ポール担当の彼女は "All My Loving" を選び、ジョン担当の僕は "Please Please Me "を選んだ。その放送で「ジョージのミスにつられて、ジョンが歌詞を間違えて歌っている。そして笑いを堪えて歌を誤摩化している。そこがこの曲の聴き所です」とコメントした。このレコード(OR-7041)はミス無しバージョンが収録されているのに対して、幾度目かの再発(AR-8026)はミスありバージョン。どうなってんだ?差し替えたのか?裏面のライナーは高崎一郎。ポールとジョージの年齢誤表記に加えて「ビートルズ気違い」なんて言う単語も使用されています。ネットもないSNS すらないおおらかな時代だったということですね。レコード会社は東芝音楽工業。ジャケットで違いがあるのは、Odeon から Apple への変更と1500円から1700円の値上げ。 ![]() ![]() ![]() Please Please Me/Ask Me Why 3.5 4曲入りコンパクト盤 Twist And Shout/Please Please Me/I Want To Hold Your Hand /She Loves You 8.5 ![]() ![]() ![]() ![]() 小六時代に良く聴いていたのが I Should Have Known Better / I'll Cry Instead のドーナツ盤。(0R-1139 赤盤)。それぞれ「恋する二人」「ぼくが泣く」という邦題がついています。邦題を付ける仕事担当だったのが当時東芝勤務時代だった高島父(娘がバイオリニストのちさ子)だったそうです。特に「恋する二人」のポップさにしびれていたのです。このアルバムが「凄く良い」と教えてくれた同級生もいました。今考えるとすごい小6が集まっていたクラスだったなと改めて思います。Richard Lester が監督した映画はおそらく中学の頃良く通った京都会館で開催されたビートルズ復活祭で観たと思うのですが、ひょっとしたらTV でだったかもしれません。モノクロ映画でしたがコメディータッチのとても面白い映画でした。この監督は65年の「四人はアイドル」でも監督しているのですが、TV で一度観た感想はそれほど面白いとは思いませんでした。この2作品の間に"Knack"という映画を撮影しており、リバイバル上映で観たのですがドリフターズの元ネタの様なシーンもあり劇場で笑いをこらえるのに大変でした。この映画の端役に今年(2023年)訃報が伝えられたJ.バーキンもいたそうです。その映画の音楽を担当したのが007シリーズで有名なJ.バリー。彼女と結婚します。 このアルバムを買って聴いたのはかなり大人になってからです(90年代初頭?)が、もう最高過ぎてどうしてもっと早く聴かなかったのか不思議です。ジョンが絶好調過ぎてポールの曲が霞んでしまうくらいの充実作です。ポール作の"And I Love Her" はムード歌謡に聴こえるし、"Things We Said Today" は"Hollywood Bowl"のライブバージョンの方が良い。このアルバムは映画用に書かれた曲も素晴らしいのだけど、特に B 面はかっこ良いジョンの曲が多数収録されています。特に"When I Get Home"から"I'll Be Back"までの3曲は怒濤の展開です。中でも "You Can't Do That" のドラムブレイクの部分が興奮せざるをえない。そしてジョンの壊れたリードギター。以前TV で観たジョンのドキュメンタリー映画で誰のギターなのかわからないと伯母さんに言われて、わざと少しだけチューニングをずらすみたいな発言をしていていました。ジョン仕切りのビートルズのアルバムの中で最もジョンが輝いていたアルバム内容だと思います。 ![]() ![]() ![]() ![]() I Should Have Known Better/I"llCry Insted 9.5 Matchbox/Slow Down 11.5 A Hard Day's Night/I Should Have Known Better/ Please Mister Postman/ And I Love Her 65/1.5 ![]() ![]() ![]() ![]() Rock And Roll Music/Every little Thing 65/2.5 "The Beatles Million Sellers" She Loves You/I Want To Hold Your Hand/ Can't Buy Me Love/ I Feel Fine 70/2.5 Miles Davis "Kind Of Blue" 1959
![]() ![]() 左 国内初回モノラル盤 COLUBIA YL-143 右 国内再発SXMARKII 盤 SOPL 155 Personnel: Miles Davis, trumpet and leader Julian Adderly,alto saxophone John Coltrane,tenor saxophone Wyn Kelly, piano Bill Evans,piano Paul Chambers, bass James Cobb, drums 初めてのジャズ体験は何だったか。昔からメモ魔だった僕は日記帳にどこのレコ屋で何を買ったかを几帳面に書き記していた。メモが正確なら 1988年11月20日京大農学部近くにあったJoe's Garage で買った Herbie Hancock "Maiden Voyage"。 暫く間があいて1990年9月3日修学院時代のクレモナでChick Corea "Now He Sings,Now He Sobs"となる。日記を書く習慣以前に何かを買った気もするが思い出せない。 ではマイルスの初レコードは?これははっきりと覚えている。90年年代初頭にやはりクレモナで買った"Steamin'"(56年)だ。えらいポップで聴きやすいなという感想だった。それからマイルスを集めだした。では"Kind Of Blue"は?90年代初頭、超ブラックな書店勤務時代。あまりの辛さに退職し、お金を使う時間が全くない職場だったので、貯金からかなりの金額を引き出し、独り山陰地方に向かった。温泉津温泉(ゆのつ)〜出雲〜松江そして大原美術館を含む岡山という旅程になった。なぜなら知っている地名があればそこで下車しホテルをとり、という自由気ままな旅行だったから。何日目かは覚えていないが、父が小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の研究者ということもあり、松江で下車し、夕日に染まる宍道湖を眺め、帰路に着くサラリーマンにお薦めのご飯屋さんを教えてもらい、お刺身などを美味しく頂く。ホテルに戻りジャズが聴けるバーを教えてもらい、薄暗い店内に入る。「マイルスの"'Round About Midnight "をかけてもらえませんか?」と女性店主にリクエストをする。「すみません、そのレコードはないのですが、これなら」といって盤をターンテーブルに乗せ、ジャケットを飾り、かけてくれたのが "Kind Of Blue" だった。直にこのレコードの良さが理解できた。あるいは店内の雰囲気にぴったりとハマった。いや何処であってもこのレコードは雰囲気を変える魔力があるのだと今では思う。そして旅行から戻り、東山二条の太陽レコードにチャリンコで買いに走る。 彦根での書店勤務を経て四日市のFM Port Wave で番組制作や選曲をしていた時代。ジャズ専門で番組を作っておられた方にマイルスを含めたジャズを教えてもらうのがとても楽しみだった。2000年12月7日自分の番組"Vinyl Trial"で前半の新譜コーナーでは Medeski Martin and Wood "The Dropper"(Blue Note)を特集。後半はモード・ジャズを軽く紹介した時に選んだのが Miles Davis/ So What Herbie Hancock /Maiden Voyage そしてMccoy Tyner / Passion Dance の3曲。コルトレーンが抜けているのは時間上どうしようもなかった。ちゃんとことわりをいれましたが。 正確な日付は失念したけれど、四日市のジャズ小屋にJ.コブ(ドラム)E.ゴメス(ベース)J.スタイグ(フルート)そしてピアノ(名前は覚えていない)がライブをやりに来た。J.コブは"Kind Of Blue"に参加。E.ゴメスとJ.スタイグはB.エバンスとこのアルバム中最も有名な "So What"を演奏している。そしてかなり後になって知ったのだが、J.スタイグはソロでも取り上げていた。FM 局で知り合った英語が話せる才女 M さんに中休み中に通訳してもらってJ.スタイグさんに通訳してもらう。「ビースティーズがあなたの曲をサンプリングしていているのを聴いたことはありますか?」「その話は良く聞くけど、聴いたことないな」。Beatie Boys / Sure Shot のネタが "Howlin' For Judy" 。ジクソーバズルの様にメンバーを組み合わせれば"So What"が完成なので頼んでみる。E.ゴメスが一言 "No!"。けっ。しかし後半でスタイグさんはアドリブでそのビースティーズネタを挿入してくれた。なんて親切なんだ。 2001年京都に戻り再び書店勤務が始まった。文庫担当になって、たまたま目に留まったのが中山康樹著『マイルスを聴け!2001』(双葉文庫)。再びマイルス集めに拍車がかかる。かなりのタイトル(たぶん20以上)を入手したけけれど、生活苦から処分。でも今ではそれでも構わないと思っている。元からコレクターじゃないし、数枚のアルバムが残れば良い。 太陽レコードで初めて買って聴いた時に最初にすとんと入った曲は "So What" ではなくて、2曲目の"Freddie Freeloader "(この曲だけピアノはW.ケリー。他の4曲はB.エバンス) だった。"So What" の冒頭のピアノがどうもとりとめないように響いたのが理由だ。だからというわけじゃないと思うのだが、Neo Soul の Erykah Badu の "Live" の1曲目"Rim Shot"の冒頭で "So What" を軽く挿入しているのだけれどそのピアノパートはばっさりと省略されている。Jazz Funk ギタリストRonny Jordan 然りたしか Acid Jazz の Vibraphonic もそうだった。たぶんB. エバンスのピアノが絶妙に外したコード感(和声?)で分かりにくいとずっと思っていた。マイルスのトランペットは本当にメロディアスかつクールでしびれるのですが。しかし昨年たまたま百万遍のリサイクルショップで日本初回盤の"Kind Of Blue"(邦題『トランペット・ブルー』YL-143)を発見し聴いてみると腑に落ちた。このレコードはモノラルで聴こえ方がまったく違う。ステレオが広がりすぎるのに対して、モノはしっかりと着地している。その証拠といってはなんだが、BS NHK の『美の壷』でハープ?琴?演奏の冒頭部分が使われていてモノ故とても美しい。ちなみにその番組ではArt Blakey And The Jazz Messengers / Moanin' が使われているのだが、まことしやかに言われているのは当時ヒット曲だったこの曲をマイルスがパクったという伝説だ。確かにモードという手法は違えど良く似ている。NHK のスタッフもわざとその悪ノリで伝説に乗っかったのではないか? 初回盤の裏面は瀬川昌久氏によるびっしりと書かれたライナーなのだが、どこにもモードなんていう用語は見当たらない。そういう用語が使われ出したのはいつからなのだろうか?ジュリアード等でジャズが教材として取り入れられてからなのかもしれません。正規盤裏面のB.エバンスの解説文にもモードなる用語はない。 Dee Dee Bridgewater は"Live In Paris" (1986)で 同収録曲"All Blues" を歌唱。他にE.Ganer / Misty やAretha Franklin / Dr.Feelgood も取り上げています。 初回盤のレーベルはジャケ通りB1は "Flamenco Sketches"B2が "All Blues"になっているのだが、実は間違い。再発盤もやはり裏面のクレジットはそのままなのだけれど、レコードのレーベルにはちゃんとした曲順がクレジットされています。たしかにインストだと判らないな。どの段階で間違いが判明したのか気になります。そしてもう一つの謎はジャズは録音年月日がしっかりとクレジットされているのだけど、何時発売されたかというのがハッキリしないこと。販売網も発達してないのは容易に推測できますからね。当時プレス工場は一つだったのか複数あったのかも知らないし、もし一つの場合、東と西はかなりの距離だ。詳しくはジャック・ケルアック『路上』を。ジャズもテーマになっています。 |