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 前立腺がんとPSA(前立腺特異抗原)
 
  男性にのみ存在する前立腺という臓器は、膀胱のすぐ下に、尿道を取り囲む 
 形で存在しており、精液成分の分泌や射精に関与します。
 前立腺の異常には前立腺肥大症と前立腺がんがその代表としてあげられますが、
 前者は老化現象により腫大した前立腺が膀胱出口を圧迫することにより、
 尿の出や勢いが悪くなる病気で、疫学的には50才以上男性の5人に1人は
 認められるともされます。
 
  一方、前立腺がんは米国ではすでに10年ほど前より男性がんにおける発生率の
 第1位を占める重要な疾患ですが、わが国ではいまだその1/10程度の発生率で
 あることからあまり関心がもたれない傾向にありました。
 しかし、最近の統計では、2015年には、1995年の2.93倍の死亡率に達し、全がん種の
中でも増加の程度が最も高くなると予想されています。 
  前立腺がんにおいて注目すべきことは、近年根治可能ながん、すなわち早期がんが
 増加しつつあることであり、これに大きく寄与しているものとして前立腺特異抗原
 (PSA)という血液検査があげられます。PSAの上昇は必ずしもがんの存在を
 意味するものではないものの、前立腺がん患者さんの90%以上で上昇が 
 認められ、またその上昇程度はがんの進行度と極めて良好に一致することも
 判明しました。
  したがって、症状の認められないことも多い早期前立腺がんにおいては、
 PSA検査によってのみ発見されることが可能であるていっても過言ではないのです。
 早期前立腺がんに対する治療として、従来より開腹手術が行われておりますが、
 最近では切開を要さない放射線治療や腹腔鏡下手術といった低侵襲治療によっても
 良好な治療結果が得られるようになってきています。また、ホルモン剤などの薬物
 療法においても長期間にわたり制がんが可能です。
 
  PSAは泌尿器科医のみならず、ほとんどの医療施設で検査可能ですので、50才を
 過ぎましたら健康診断の一つとしてぜひ検査を受けることをお勧めします。
 
                       おぎはら泌尿器と目のクリニック 荻原 雅彦
                                福島市政だより(2003年1月)