むかし、丹沢のふもとの七沢村に一けんのとうふ屋さんがあった。

村ではよい豆がとれるうえ、とうふ屋さんの井戸には一年中丹沢のおいしい水がゆたかだったから、できたとうふのうまいこと、うまいこと。

ある年の冬のことじゃった。とうふ屋さんは、いまもむかしも朝が早い。

うすぐらいうちからおきだすと・・、

 とうふ屋さん「きょうもうんまいとうふをつくるべえ。」と、たすきをかけ、いつものように店をあけた。

夜中にふった雪はやんでおったが、店のまえの雪の上に、まだあたらしい足あとがついておった。

とうふ屋さん「こんなに早く、もうお客さんがきてくれたとみえる。戸がしまっていたので、帰っていったようじゃ。

むだ足をふませてすまないことをした。とうふが できしだいもっていってやろう。」

足あとは、山のほうへてんてんとつづいとった。

とうふ屋さんは、できたてのとうふを一ちょうさげると足あとをたどっていくことにした。

足あとは、広沢寺の門をくぐりぬけて、もっとさきへつづいとる。

 とうふ屋さん「はて・・、このおくには、もう家などないはずじゃが・・。」

足あとは、広沢寺のおくの地蔵どうのまえでとまって おった。

とうふ屋さん「このおどうのお地蔵さまがうちにとうふをかいにきたんだべか。

お地蔵さまがとうふをたべなさるなんてきいたこともねえが・・。」

とうふ屋さんはふしぎに思いながらも地蔵どうのまえにとうふをおいてかえってきたんだと。

 するとそのばん、とうふ屋さんの ゆめまくらにお地蔵さまがにこにこ顔でおらわれて、こんなことをおつげになった。

お地蔵さま「けさのとうふはうまかったぞ。わしは及川村のある寺のせわになっておったが、あの村にはとうふ屋がない。そこでわしは、すきなとうふがたべたいばかりに、長い間つかえた及川村の寺とわかれて、七沢村の広沢寺にやってきたんじゃ。

これからもこの店のとうふがたべたいので、よろしく たのむ。そのおれいとして七沢村にわるい病がはいるのをふせいだり、災いがおこらないようにしよう。」

  この話がひろまると、村の人たちはかわるがわるこのとうふ屋さんのとうふをかって、地蔵どうへそなえるようになったんじゃ。そしてこのお地蔵さまを“とうふ地蔵”とよぶようになったんじゃと。おかげで、村には、わるい病がはやることも、災いがおこることもなく、みんな長生き したということじゃ。」

<広沢寺門前のとうふ地蔵説明碑>

企画・厚木市立中央図書館

協力・厚木市教育研究所、広沢寺、柏木喜重郎

編集・株式会社 教育画劇

制作・厚木市教育委員会

 七沢に伝わる昔話を題材に、商品の形を錦玉糖という製法で豆腐にみたて、お地蔵様の足跡をピーナッツ煮豆であしらってみました。

23回全国菓子大博覧会、栄誉金賞受賞

賞味期限30

 箱サイズ210×250×43mm