■ FREEZE MOON6




 そろ。と瞼を開けると、視界に朝日を浴びて輝く豪奢な金の髪が映り込んでくる。
 その下にあるあどけない寝顔にロイは微かに破顔し、昨夜ここに彼が泊まる事になってしまった原因である目の腫れを確認するように、柔らかい肌を指でなぞった。
 どうやら腫れは引いているらしい。これなら意地っ張りの兄を弟の所にちゃんと帰す事が出来るとロイは安堵した。

 ――― 昨夜は、色々あったからな。

 緊張が解れたからか、あの後ココアを飲んだエドワードが急に欠伸をし出したので、色々言いたそうな顔をした彼に気がつかない振りをして、早々にベッドに放り込んでしまった。
 横にロイが滑り込むと、暫く顔を白黒させていたが、結局は眠気のほうが勝ったらしい。
 そのうち横からは規則正しい寝息が聞こえ始めたのに安堵した。

「う…ん……?」
 起こさないようにとそっと触れたのだが、それがかえってくすぐったかったのか。微かに声を上げると、エドワードは手探りで自分の頬に触れているロイの指を握りこむ。
 そのままロイの手首までを抱き込むように抱えると、擦り寄るように頬を寄せた。
 驚くロイの目の前に、ふわりと幸せそうな微笑が浮かぶ。
「……あったか…い」
「……鋼の?」
 呼び掛けても返るのは規則正しい寝息ばかり。
「こら。私はそろそろ起きなければならないんだがね?」
 溜め息交じりに自由なほうの手で額を軽く突付いてみても、隣で眠る子供が起きる気配は全く無い。
 余りにも無防備な様子に眠っている時はいつもこうなのだろうかと一抹の不安が過ぎるが、もしかするとその位信頼して貰えているのだろうかと思えば、幸せそうな寝顔に、無意識にロイの口元も綻んで。
 我ながら現金なものだと思いつつも、飴色の睫にそっと口唇で触れるだけのキスをしたのだった。





END
長らくお待たせしてしまいましたが、これでこの話はおしまいです。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!
2007.07.07UP
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