■ 砂礫の王国11




 ブゥン……と鈍い音がして、『扉』が封印された。
「……これで、大丈夫ね」
「もう……後、何個あるんだろ」
「後、二つだよ」
 ぼやきでしかなかったアリスの呟きに、確かな確信を持った青年の声が響く。
 答えが返ってくるとは思っていなかったアリスは、驚きに大きな目を見開いて青年を見上げた。
「何でそんな詳しいの?ぼく達だって分からないのに」
 二対の瞳に見つめられ、青年は困ったように笑う。
「ひとつめの『扉』の守護者は僕だったから」
「え……?」
「今の教団本部の地下に、最初の『扉』があったのは二人共知っている?」
 少女達はお互いに顔を見合わせ、緩く頭を振った。
「僕の存在に呼応して、扉が出現したんだ。それを僕が封印した」
「きみが……?」
 訝しげなアリスの声に、青年は頷く。
「『扉』の守護者は全て元コリエルメンバーなんだよ、アリス」
「………!」
 アリスが声にならない悲鳴を上げた。
「コリエルメンバーは表立っては12人……実際は13人居たけれどね」
 指を折って青年は人数を数え始める。
「一人はあの時祭壇で倒れ、一人はこうして正気のまま生き延びて……そして」
「……もう一人は神の元に」
 イライザが呟いた。
「そう。だから僕はもう一度神に会わないといけない。何が望みか、本当に狂ってしまっているのかを確かめなければいけないんだ」

――― そして、兄さんが何を望んでいたのかも。

真実が明らかになる事を願い、只、前へと進み続ける。






END
捏造RPGバロックですた(笑)
以前に本で出したものの改訂版なのですが、結局2倍くらい長く…なりました(苦笑)。当時はよっぽど急いで書いてたんだなと思います。
今回のような未完の終わり方にするか、最後まできちんと話を書くかで随分悩んでいたのですが、どう考えても最後ほもな展開になるので書くのを自粛しましたヨ(笑)
明確な白黒がつかないほうがバロックらしいよね?…と、自分を正当化してみたり。
ここまで書いて来て、角ちゃんが出て来てない事に気がつきましたが、角ちゃんは大家がいらっしゃるので私ごときが書かなくても良いかと(苦笑)。
たぶん、アリスとイライザ付きのメイドさんだと思われます。

本当に色々な意味で長く時間がかかってしまいましたが、最後までお付き合いありがとうございました!
2007.07.07UP
おまけ的な話を少しだけUPしました。読んでも良いよ!という剛毅な方はコチラから 
>> back <<