VOL.4

信州に移住してからの数年間、タクシー運ちゃんで生計を立てながら人間ウォッチング。
カルチャーショックにおびえながらも 絵を描き始めるきっかけになった時代です。



【緊急スイッチ】

 コンビニなどにある防犯用緊急スイッチがタクシーにもついていて、何かあった場合スイッチONで事務所のベルが鳴り響き、車番も確認される。
 ところがだ、地方のタクシーにゃほとんど無用の長物なのがこのスイッチ。 その場所さえ知らない運転手がいっぱいいて、何かのハズミでスイッチにさわってしまう。 その度、事務所のベルは鳴り響く。 無線係もいいかげん面倒くさくなってくると・・・
「○○号車、緊急が入ってますよォ〜! 切って下さあーい」
「エー、どのスイッチですかァ?」
「ホレ、ハンドルの××××にあるやつ!」
「ハイ!いかがでしょ。切れましたかァ!」
「そのスイッチじゃなくてェ〜!」と、
まあおおっぴらにやり合うからすべてのタクシーに筒抜け。
 このあいだは笑った。
「△△号車、緊急が入ってますよォ〜〜!クビでもしめられてますかァ〜ッ!」だったもんな。




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