VOL.18

信州に移住してからの数年間、タクシー運ちゃんで生計を立てながら人間ウォッチング。
カルチャーショックにおびえながらも 絵を描き始めるきっかけになった時代です。



【更 生】

 小諸駅に電車が着いた。降りてきたお客さんたちが列をつくる。
 僕は5台目に構内に入った。とすると僕の乗せるお客さんはと・・・エ〜ッ! うっそ、あのサングラス掛けて、両手ポケットに突っ込んで多少猫背ぎみに体をグラインドさせてる、どー見たってその筋のお兄さんか! マイッタの二乗、三乗だ。・・・
そして、やっぱりそうだった。トホホ。
「オイ! 悪いけどよ、小諸ケイサツ行ってくんねえかい」
「は? ケイサツなんか行っちゃうんですか?」
 すると、突然口調が変わり
「ハイ! お願いします・・・」だと。
「私、出所したばかりなんすけど、実は逮捕されたとき小諸ケイサツの刑事さんに良くしてもらいましてね。本当にうれしかったんですわ。しっかり更生したし、どうしても一度御礼が言いたくて来たんですわ。なつかしいな・・・小諸か」

 これ以上は書きません。
 とってもいい人でした。




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