VOL.32

信州に移住してからの数年間、タクシー運ちゃんで生計を立てながら人間ウォッチング。
カルチャーショックにおびえながらも 絵を描き始めるきっかけになった時代です。



【ポンコツ車】

 タクシーは売り上げ順に程度の良い車をあてがわれる。 僕は会社にしてみればオマケ・宿り木・小判ザメみたいな運転手だからポンコツ車しかもらえません。
 この日、お客を乗せて走っていたらエンジンがものすごい音を立て始めたの。
「運転手さん、なんだいこりゃ!?」
「チョチョ、チョット待ってね!」
 降りて車の下をのぞき込むとマフラー(消音)に穴が開いて浅間山の大爆発じゃありませんか! やっぱり来たかポンコツ車!
 いまさら戻ることもできないし、お客さんは肩身狭そうにちっちゃくなってるし、車が指定地に着くなり料金を払う右手と、釣り銭を催促する左手が同時に飛び出してきたもんな(笑)。
 もし、会社に戻る道すがら手をあげる客がいたとしたら、暴走族取り締まり中のオマワリさん・・・あなたです。




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