VOL.34

信州に移住してからの数年間、タクシー運ちゃんで生計を立てながら人間ウォッチング。
カルチャーショックにおびえながらも 絵を描き始めるきっかけになった時代です。



【パラグライダー】

 それはある日突然やってきた。ポッカリ青空に音もなくカラフルなパラグライダー。にじ色のシャボン玉のように、さわやかな風とともに流れていく。キレイだなあどこへ飛んでいくんだろう・・・。だれもがそう思う。
 ところがパラグライダーはどんどん大きさを増してくる。エ、何で、どーしてこんなに大きく見えちゃうの!?
 そのうちパイロットの姿が見えてくる。それも引きつって、脂汗も浮いている・・・。
 着陸目標は何とわが家の庭ではないかぁ!! 
 慌てて庭に出してあった農具をかたずける。 巨大化したパラグライダーは、家のまわりすべてを日陰に包み込み、頭上を横切り裏庭の雑木の中へ突っ込んでいった・・・。
 枝の中で宙づりにもがくパイロット。
「大丈夫ですかぁーッ!! 降りられますかぁーッ!!」
 その光景を見たとたん、さわやかな気分は音もなく遠い空のはてに消えてしまった・・・。




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