──おはなし──

ここでは未発表の小作品を紹介しています。
小さな小さなお話です。

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2010年・後半のおはなし                            「にじ」

「では、ようい、始め!」
先生のごう令に合わせて、生徒たちはとくせいペンキを空いっぱいにぬります。

雲の上の学校では、今『にじ』づくりのもうとっくん中。
たくさんいる生徒の中から七色のペンキをぬる、七人だけが選ばれました。

七色のペンキを、リズムに合わせてきれいにぬるのは、とても大変な作業です。

赤・オレンジ・黄・みどり・青・こん・むらさき
さあ、仲良くならんで、1、2の3.

あーあ、ぜんぜんだめ。

七人の気持ちはまったく合いません。そのうち、けんかになってしまいました。

「赤のヘタクソ」・・・黄色が赤色をおしました。
「青のバーカ」・・・むらさき色が青色の足をふんづけました。
「オレンジなんかあっちへ行け」赤色がオレンジ色のあたまをポカリ。
「黄色なんか出て行け」・・・こん色が黄色を足げりしました。
「こん色なんか変な色」・・・オレンジ色がアッカンベーをしました。
止めに入ったみどり色も、みんなにもみくちゃにされて、もうメチャクチャ。

けんかのせいで、ペンキがたおれて、あちらこちらへと飛び散ってしまいました。

赤色のペンキは、みどりの山をたちまち赤くそめてしまって、動物たちは大さわぎ!
オレンジ色のペンキは、青い海をくまなくオレンジに変えてしまって、魚たちはビックリ!
黄色のペンキは、町中の家を黄色にしてしまい、町の人たちは大あわて!
緑色のペンキは、色とりどりの花を全部みどりにしてしまったので、虫たちが大めいわく!
青色のペンキは、赤いお日様の顔を青い顔にしてしまったので、お日様がどこにいるのかわかりません。
こん色のベンキは、お月様のところへとんで行って、お月様の顔にベチャ!
お月様はまん月だったのに、三日月になってしまいました。
むらさき色のペンキは、空にうかぶ雲じゅうに広がり、雨雲もフワフワ雲も、まったく区別がつきません。

それを見ていた、カミナリ校長先生は、
「ゴロゴロ!ピカッ!」
と、大きなカミナリを一つ落としました。
けんかをしていた七人をひょいっとつまみあげ、校長室へ連れて行きました。

「ガミガミガミ、ゴロゴロゴロ」
生徒たちはたっぷり、おしおきをされました。

カミナリ校長先生は大雨をふらせて、ベンキの色を落としました。
お日様の顔も、お月様の顔も、雲のじゅうたんでとんで行って、きれいにふきました。

みんなは気持ちが一つになるように歌を歌いました。

♪ 青いお空に夢乗せて リズムに合わせてランラララン
  心合わせて ランラララン
  七色 光の にじの橋 わになって おどりましょう
  七色マーチでおどりましょう ♪     

お空に、大きなにじのはしがかかったとき、そっと耳をすましてごらん。
歌がきこえるかもしれませんよ。
                                                               おしまい